- プロフィール
- 有名私立大学の理工学部を卒業後、外資系大手SI会社の子会社に就職。その後、より開発経験を積むために転職を決断し、中堅SI会社に入社。だが、キャリアに危機感を覚え、再度転職活動へ。困難を乗り越え、デロイト トーマツ アクトへの転職に成功。
だが、翌年、新型コロナウイルスの影響で状況が変わる。プロジェクトの規模が軒並み縮小され、新人に回ってくる仕事が極端に減った。
異動を願い出て実現したものの、任される仕事は希望とは全く違った。環境を変えなければと焦燥感から自力で転職活動に挑み、中堅SI会社に入社。
その会社では確かに開発の仕事はできた。だが、入社前に抱いていたイメージとは異なり、商流があまりにも低すぎた。3次請け、4次請けの仕事が多く、胸に去来する自身のキャリアへの危機感。
今度はエージェントの支援を受け、再び転職活動を行った。しかし、応募した会社の面接で失敗し、内定はゼロ。精神的に打ちのめされた。
そんな時、リーベルからスカウトメールが舞い込んだ。この人とならもう一度転職活動に挑める。サポートを受けながら転職活動を再開した。
結果は前回とは真逆。複数の内定を受けた。その中から最も好感が持てたデロイト トーマツ アクトへの転職を決めた。
一度は全滅した転職活動をどう立て直したのか。事のてん末を本人が語った。
コロナ禍で崩れてしまった理想のキャリア
開発を経験し、技術力を付けてからプロジェクトリーダー、そしてITコンサルタントになる。それが思い描いた理想のキャリアだった。就職活動では希望の会社に就職。順調にスタートしたかに見えた。
—— 就職活動では希望の会社に入社できたようですね。
Oさん:開発を経験したかったので、外資系大手SI会社の子会社に入社をしました。プライム寄りの仕事が多く、技術力も高い会社だったため、自分が思い描いた通りにステップアップできそうだと期待は大きかったですね。実際、最初のプロジェクトでは、顧客とのミーティングに参加し、顧客の要望を直接聞きながら開発に携わりました。その他、保守業務も行うなどバランスよく様々な経験ができ、良いスタートが切れたと内心では思っていたのです。
—— ただ、潮目が変わる出来事が起きてしまった。
Oさん:新型コロナウイルスの影響で、様々なプロジェクトが遅延すると共に、軒並み縮小される事態となったのです。予算が削られる中、私を含む新人社員はプロジェクトから外れ、アサインされた他の案件でも、極端に業務が少なくなる状況。最初のプロジェクトで成長できた実感があっただけに、落差を感じる日々でした。最後の方は稼働時間の3割くらいでタスクが消化できてしまう状況となり、「このままではまずい」と思い、上司に相談し、開発が出来そうな部署に異動することになりました。
—— 配属先の仕事はどうでしたか。
Oさん:配属先の仕事も希望とは違い、レガシーな技術や汎用性の低い技術を用いる保守案件で、それが転職の原因になってしまったのです。私としては、Javaなどを使ってバリバリと開発を行い、ビハインドとなった成長を取り戻したかったのですが、待っていたのはそのような境遇だったのです。焦燥感を抱いた私は、上司に再度異動を願い出ました。しかし、2回目ということもあり、すぐに実現するのは難しそうな状況でした。そこで、自分の理想とするキャリアに向かうため、私は転職という手段を取ることに決めたのです。
—— 転職活動はどのように行いましたか。
Oさん:とにかく開発をしたいという気持ちが先行してしまい、どういう会社なら自分のキャリアを叶えられるのかといったことを余り深掘りせず、経験の棚卸も十分にしないまま、見切り発車で転職活動を進めてしまいました。自分で職務経歴書を書いてみたのですが、経験が少なく、スキルも低く見えたため、果たしてこれで受かる会社があるのだろうかと思いました。案の定、面接を受けても手応えはなく、内定はなかなか出ません。それでも、とにかく技術系に強いところを受けようと何社も応募。開発に力を入れている会社であれば、2次請けでもいいという思いでした。そうやって地道に転職活動を続けた結果、ようやく中堅SI会社から内定が出ました。そこで経験を積み、いずれ上流側に行ければいい。そんな考えで私はその会社に転職することに決めたのです。
期待感とのギャップにさいなまれ、再度転職へ
何とか転職を果たし、開発経験を積むために臨んだ新天地での業務。だが、その会社は、仕事のスタンスも案件の内容も、自身の期待とは大きく外れていた。商流が低く、一体何の開発を行っているのかも分からない。再びキャリアへの焦りを感じ始めた。
—— 転職先ではどのような仕事を?
Oさん:インフラ会社の顧客情報管理システムを再構築する案件や、銀行のワークフローシステムを改修する案件など、確かに開発の仕事に携わることはできました。しかし、私にとって、いくつかの誤算がありました。
まず1つが、クライアントとなる企業に個人単位で常駐し作業をするという形だったこと。私は自社メンバーとチーム単位で常駐するものと思い込んでおり、それがいきなり常駐先で面識のない人と仕事をすることになってしまったのです。
さらにショックを受けたのが、商流が2次請けではなく3次請け、4次請けと低かったこと。システム全体の全体像を理解できずに開発をせざるを得ず、前職はプライムに近い立場だっただけに、違和感の大きさは相当なものでした。入社前は1次請け案件もあると聞いていたので、2次請けがメインと思っていたのですが、思った以上に商流が低く、部分的な開発がほとんどでした。
こうなってしまったのも、内定を受ける前に、その会社の仕事のスタイルや内容を自分がしっかり確認しなかったのが原因です。ですが、このまま続けていくとキャリアは危機的な状況になってしまいます。まだ、入社して1年も経っていない時期でしたが、局面を打開するには職場を変えるしかない――。そう考え、私は、再度転職することを決心しました。
—— 2度目の転職はどのように進めましたか。
Oさん:当初、リーベルではない他の2社のエージェントに支援を依頼しました。「技術を磨きたい」「上流工程にも興味がある」と伝え、その意向に沿って候補企業を選定し応募したのですが、書類は大半が通ったものの、面接で落とされてしまい、1社も受かることなく、“全滅”してしまったのです。理由は、応募した企業の数が非常に多かったことと、業種が多岐にわたりすぎていたこと。自分は何をしたくてこの企業に応募したのかなど、会社に合わせて回答を考えるといった面接の準備が追い付かず、面接官が納得するような答えをしてアピールすることが全くできませんでした。かなり自信を喪失してしまい、一旦インターバルを置いた方がいいと考え、転職活動を休止することにしました。
—— その後はどうされましたか。
Oさん:活動自体は休みましたが、その間も転職するという意思は持ち続けており、転職サイトには登録していました。そんなさなかに届いたのが、リーベルからのスカウトメールでした。メールのタイトルも内容も、テンプレートの使いまわしではなく、1から10まですべて私向けに書いていることが分かり、自分の状況や悩みも的確に言い当てていました。「このメールを書いた担当者の話を聞いてみたい」と、その場で即座に連絡を取ることにしたのです。
転職活動での失敗を糧に、リーベルと再挑戦
再度挑んだ転職活動で結果が出ず、精神的にどん底に突き落とされた。だが、リーベルからのスカウトメールで、活動を再開する意欲が徐々にわいてきた。タッグを組んだリーベルの担当者とは、どう巻き返しを図ったのか。
—— リーベルの担当者の第一印象はいかがでしたか。
Oさん:信頼できる方だと思いました。他のエージェントとは違い、担当者自身にエンジニアとコンサルタントの経験があり、自身の体験や考え方を交えつつ、業界のタイムリーな動向、各社の特徴や求人の最新情報を、非常に分かりやすく話してくれたからです。
—— 最初の面談での印象が良かったのですね。では、実際の進め方はどのように?
Oさん:大きな方針は次の2つでした。まずは前回、短期間で数多くの会社を受けて精神的に追い込まれてしまった反省を踏まえ、受ける会社を絞って応募することにしました。そうして、1社1社に対してしっかりと対策を練った上で、面接を受けていくことにしたのです。最終的には、今回、入社することに決めたデロイト トーマツ アクトを含め、6社に厳選して応募することになりました。
もう1つが、レジュメのブラッシュアップと面接練習を徹底的に行うこと。レジュメについては、文面が真っ赤になるほど担当者が細かく添削をしてくれて、見違えるほどアピール度の高い内容になりました。一方、面接練習も時間を掛けて実施。最初に言われたのが、私の癖である早口についてです。相手の理解を着実に得るために、ゆっくり話すことを意識した方が良いと指摘されました。また、強みや弱み、失敗した経験、仕事で工夫した経験などについて、エピソードをまとめる作業を一緒になって行っていただけたことも非常に有益でした。
—— 万全の準備を行った上で、面接に臨んだわけですね。
Oさん:そうです。そして、リーベルの担当者と想定し考えていった答えが、本番の面接でも非常に役に立ったのです。特に、どの会社でも聞かれたのが、失敗した経験や仕事上で工夫した経験です。単に、失敗したこと、工夫したことを挙げるのではなく、次につなげるためにどのような対処を考えたか。つまり、PDCAを回すことを意識していることもしっかりと回答に組み込んだ点がポイントです。それもリーベルの担当者にアドバイスされたことであり、本番でもスムーズに回答を返すことができました。面接は、今までにないくらい良い感触で、手応えも十分でした。
—— 結果はいかがでしたか。
Oさん:それが、前回全滅したのがウソのように、4社から内定を取得することができました。デロイト トーマツ アクトに加え、コンサルティング会社やSI会社などから次々と内定が出て、「こんなにうまくいくものなのだろうか」と目を見張るほど、最高の結果を得ることができたのです。
成功も失敗も紙一重、鍵はエージェント選び
前回とは真逆の結果が出た。元々ポテンシャルは高く、“正しい”転職活動を行うことによって、4社からの内定という形で実を結んだ。ただ、そのうちどの会社を選ぶかは慎重に見極めた。以前の転職での失敗を2度と繰り返したくなかったからだ。
—— 4社の内定を得て、どこに行くかは悩まれたことと思います。
Oさん:各社を見た場合、まず給与面で大きな差がありました。オファー頂いたどの会社も、業務内容やキャリアは魅力的だったので、よりポテンシャルを評価してくれる会社に行きたいと考えました。結果、4社の中では水準が比較的低いSI会社の2社は選択肢から外し、残ったのはデロイト トーマツ アクトと大手外資系コンサルティング会社。前者は自分の技術志向に合った仕事ができ、それから上流工程に上がっていけます。他方、後者はマーケティングやビジネス系の業務もできそうで、新しい領域として興味を持てました。
—— 2択で迷われた。どのように決断を?
Oさん:最終的に決め手となったのは、最前線で業務を行う社員や管理職の方と話をする現場面談での感触でした。コンサルティング会社は面談に出てきたのが30代前半のリーダークラスで、私が次に目指すポジションの方。ただ、今の自分とはスキルや業務に開きがあり、いまひとつイメージしづらい部分がありました。
それに対し、デロイト トーマツ アクトは、私と同年代で少し前に転職してジョインした若手と、マネージャーの2人が対応。私と同じような立場で入った若手の方がざっくばらんに社内の様々なことを教えてくれ、マネージャーの方はそれをフォローする形で話をし、全体的に好感が持てる面談でした。特に、自分と同じ立場で入社した人がうまくやっていけていることを実感できた点は大きかったですね。
—— その現場の様子からデロイト トーマツ アクトに決めた。
Oさん:はい。自分もやっていけそうな感触を得られました。前回の転職ではこうした現場面談を行わず、人事の人としか話さなかったため、実際の仕事のやり方や中身を知らないまま入社してしまいました。そこが反省点であり、同じ失敗を繰り返さないためにも、今回は現場面談をしっかりと行い、それを有力な判断材料としたわけです。結果として、自分にとって最良の選択ができたと思っています。
—— 転職が成功した理由をどのように分析しますか。
Oさん:やはり、前回の転職活動で何が悪くて失敗したのかをしっかりと振り返り、手を打てたことですね。その甲斐もあって、内定獲得率を大幅に上げることができました。そして、もう一つが、エージェントの力が大きかったこと。リーベルのスカウトメールや支援がなければ、今もまだ転職活動を続け、路頭に迷っていたかもしれません。実際、今までうまくいかなかったことが、これだけうまくいったわけですから、その要素は重要だったと考えています。
—— 最後に転職候補者の方々にメッセージをお願いします。
Oさん:転職はやり方次第です。成功も失敗も紙一重だと思っています。それは、まさに自分の経験が如実に物語っているといえるでしょう。その点でいえば、どのエージェントに相談するかが鍵を握っているわけです。とにかく寄り添ってくれて、信頼できる人物と一緒に行うことが何より大切。その担当者と相談しながら、精神的にも体力面でも負荷の掛からない形で進めていただければと思います。
—— 経験者ならではのとても説得力のある言葉ですね。自分のお気持ちを正直に話していただき、ありがとうございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。