前回は、ネットワーク業界の資格取得がどれほどメリットがあるのかを詳しく説明しました。しかし、資格を取得することは必ずしも良いことだけがあるわけではありません。間違った方法で資格を取得しまうと、思わぬ落とし穴が待っています。
今回は、私自身の実体験を交えて、資格取得のデメリットを紹介します。
見せかけのプロフェッショナル
間違った方法で資格を取得すると、見せかけのプロフェッショナルになってしまいます。見せかけのプロフェッショナルとは、保持している資格に自身の能力が見合っていない状態です。
これは、資格を取得したことによる、恐らく唯一のデメリットであり、こうなってしまうのであればむしろ資格を取得しないほうがマシとも言えるでしょう。
ネットワーク業界では、前回紹介したCCNAやCCNP、少しインフラに幅を広げてLinuC(旧LPIC)やMicrosoftの資格取得を目指される方が多いと思います。
これらの資格試験は全国のテストセンターで受験することができ、試験の方式も選択問題がほとんどです。
また、認知度が高い資格なだけあり、問題集や対策サイトも非常に充実しています。そのため、実務経験が全くなくとも、これらを使って試験対策をするだけで取得できてしまう実情があります。
更に言えば、試験とほとんど同じ問題が掲載されている問題集も存在します。
これを使えば、その資格に求められる知識が全く理解できていなくとも暗記だけで試験に合格できてしまいます。
このように、問題集や対策サイトを駆使して資格を取得すると、
「見せかけのプロフェッショナル」になってしまうのです。
実際にCCNAやCCNPを取得している方とお話しをすると、参考書より問題集を解くことに重点を置いて勉強してこられた方が多く、保持している資格に見合った知識が身についていないな、と感じることが少なくありません。
何故このようなことが起きてしまうのでしょうか?それは知識を身につけることではなく、資格を取得することが目的になってしまっているからです。
残念なことに、資格を取得することが目的になってしまうと、自分自身に大きなデメリットをもたらしてしまいます。
ここで一例として、炎上案件に参入してきたAさんの話をお伝えします。
炎上案件に増員として参入したAさん
私が炎上案件にアサインされているとき、CCNPを保有しているAさんが増員メンバーとして参入することになりました。
ただでさえ人手が足りていない状況だったので、増員は大変ありがたく、且つCCNPを保有しているとのことで、現場の期待感は非常に高まりました。
しかし、蓋を開けてみるとAさんはネットワークの知識が全くなく、むしろ私たちがAさんにネットワークの基礎を教えなければならないという状況になり、大きな負担になってしまいました。
働いていた私たちも期待感とのギャップに苦しみ、Aさん自身も求められる結果を出せず苦しむという最悪の状況になってしまったのです。
Aさんに話を伺ってみると、前職に勤めている際に、試験と同じ問題が載っている問題集を使って資格を取得されたとのことでした。
まさに、取得している資格と能力が見合っていない、見せかけプロフェッショナル状態になってしまったと言えます。これでは誰も幸せになれませんよね。
これが、せっかく資格を取得したにも関わらず、まさに資格が「足かせ」になってしまった実例です。
さらに言えば、CCNAといったベンダー資格は受験料も数万円と高額でもあります。お金と時間を掛けて得たものが逆効果となってしまっては、元も子もないと私は思います。
では、デメリットではなく資格取得のメリットを最大限得るためにはどのようにすればよいのか。次回はこれまでのコラムを踏まえて、資格の在り方についてお伝えさせていただきます!
今回もお読みいただきありがとうございました。どうぞ次回もお楽しみに!
(次回につづく)