ケンゾウの戦略コンサル物語

戦略コンサルタントの仕事やふだん考えていることなど、戦略コンサルタントの実態をありのまま綴ったコラム

筆者プロフィール

ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。
第28話

使えるものは使い倒す

私が採用面接で聞かれたある質問

こんにちは、ケンゾウです。以前に書いたように、戦略ファームの採用面接では、ケース面接というのがあります。私が入社するときも、やはりケース面接を何度か実施されました。その時の質問の1つに、以下の様なものがありました。

「あなたがあるメーカーで、SCM(サプライ・チェーン・マネージメント)を見直すプロジェクトを担当したとします。その場合、どんなフレームワークで検討を進めますか?」

そして、入社して数年が経って、面接でその質問をしたパートナー(Aさん)と雑談していたとき、以下の様なやりとりがありました。

ケンゾウ「そういえば、入社面接の時にAさんからはSCMのフレームワークとか聞かれましたけど、今考えると、Aさんがそんなケースを出すのって、少し意外な感じですね。」
パートナーAさん「え、そんな質問したっけ?おかしいな〜、そんなこと聞くかなあ・・・?(しばらくして)あ、思い出した。多分その頃、クライアントからSCMの話が出ていて、いろいろ調べてた頃だったんだよ。」

つまり、パートナーのAさんは、面接にやってきた私の履歴書を見て、SCMに詳しいんじゃないかと思って、SCMについてディスカッションしようと上記の様な質問をしたということでした。採用面接のはずなのに、クライアントとの議論のためのネタ出しですか!って思いますよね(笑)。

使えるものは使い倒す

戦略ファームの場合、特定の知識を売ってフィーを頂くというプロジェクトは殆どなく、多くのプロジェクトでは、業界・業務知識は短期間で吸収し、その上で課題解決に向けて知恵を絞るというものです。そのため、あらゆる方法を使って、知識を吸収したり、有識者とのディスカッションでアイディアを出そうとしたり、様々な努力をします。

社内のライブラリーに業界専門紙はかなり揃っているのですが、なければバックナンバーをまとめて発注することもありますし、自分自身や社内のネットワークを使って有識者の方にインタビューをさせてもらったりすることは当たり前です。同僚の友人やご家族でインタビューしたい業界の方がいらっしゃれば、もちろんお願いをしますし、どうしてもツテが見つからない場合は、手紙や電話などのコールドコールで連絡をとって、お話を聞かせて頂けるように依頼することもあります(会って頂けるようにいろいろ工夫をしないといけないので大変ですが)。

そういう意味では、私の面接でのSCMの質問についても、質問したパートナーとしては、SCMに関する新しい分析の切り口や考え方を整理するのに良いチャンスと思って、私にそのような質問をしていたのです。つまり、採用面接ですら活用する。ただ、もちろん面接ですので、そのディスカッションを通じて私の思考パターンを見るといったこともちゃんとやっていたわけですが。

とにかく、使えるものを使い倒して、クライアントにバリューを提供する。そのために創意工夫もしないといけませんし、努力も必要です。また、大胆な発想や、遠慮しないというマインドも必要なのです(ただし、相手に失礼にならないようにしないといけませんよ!)。

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