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コラム:転職の技術
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第996章
2020/10/09

混沌とした時代に適応する力

今年は新型コロナにより「テレワーク」や「脱はんこ」など、これまでの既成概念が大きく変化しようとしています。その影響もあり、転職活動の選択肢の1つにテレワーク制度を考慮する人も増えましたし、企業も暫定で認めていたテレワークを正式な働き方の制度として採用する流れも出てきています。

企業側も社員が求めるニーズに柔軟に対応しなければ、これまで社員の定着や採用が順調だった企業も、場合によっては徐々に退職者が増えたり採用で苦労したりなどの影響が出てくる可能性もあります。企業であっても個人であっても、素早く変化に対応する適応力が必要な時代です。

変化には当然メリット・デメリットがあり、影響を受ける人と影響を受けない人も居ます。大きな変化の波に対する適応力というのは、先入観に縛られずに常に先を考え、常日頃も変化を察知するアンテナを張っている必要があります。

企業であれば、昨年まで順調だった事業も、既成概念が大きく変化することによって今年の様に打撃を受けるリスクはありますし、社員を留めるためにニーズの高い新しい生活様式にあわせた制度設計に変化させる適応力も必要になります。

個人であっても、自分の今の仕事が永遠に無くならないのかという事を考える必要があり、影響を受けた場合のリスクとして今から何を準備しておくべきか、今よりもニーズの高いキャリアは何かなど、先に察知して自ら能動的に行動する力が必要になります。

例えばIT業界の中ですと、これまでITデリバリー組織を持たなかったコンサルティングファームが、ITデリバリーまで一気通貫で対応できる組織作りを始めたり、SIerがITコンサルとしてクライアントのビジネス課題に踏み込む組織作りを始めたりなど、ここ数年でお互いにビジネス領域を拡大してきています。

IT業界においても、この様に業界全体の変化も常に掴んでおくことも時代に適応するためには必要で、IT業界の中で先を見据えて市場価値を高めるには、知識として何を身に付けるべきか、強みにする技術は何が良いのか、プロジェクトのどのフェーズを経験しておけば良いのかなど、自身のキャリアを考えていく必要があります。

IT技術者が不足しているとよく言われますがそれは確かで、コロナ禍でもIT企業が求める即戦力採用はそこまで影響はありませんでした。しかし、そのIT業界の中であっても、将来AIに代替されてしまうリスクのある業務は存在します。つまり、ただIT業界にいれば良いというわけではありません。IT業界のキャリアの中でも、常日頃から自身のキャリアにリスクが無いかを考える必要があります。

リスクという観点ですと、IT業界の職種にはSEと呼ばれる技術者だけが存在するわけではありません。ITガバナンスの評価やシステム監査など、ITに関するリスクコントロールのプロフェッショナル職もあったりします。既成概念の変化でIT化を促進している企業も増えたことで、それに伴う情報セキュリティリスクの相談も増えており、IT業界でのリスクのプロフェッショナル職の需要も今後は増えていくのではと考えます。

数年後に無くなってしまう恐れのある業務もあれば、新しく生まれる業務や今より需要が伸びていく業務もあり、右肩上がり時代とは違い、混沌とした時代だからこそ、先入観に縛られずに先を考え、常に変化を察知するアンテナを張って適応する力を高めていくことが必要です。

筆者 南條 充
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