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第985章
2020/08/07

価値のある人材紹介(転職エージェント)とは何か

前回の私のコラムでは人材紹介とダイレクトリクルーティングについて、今後の主軸となるのはどちらかという話を記載させていただきました。今回は人材紹介(転職エージェント)について、価値のある人材紹介とは何かを私なりの考えで記載しようと思います。

私が考える人材紹介(転職エージェント)の価値として、まず転職を考えている相談者の方の目線ですと、「相談者のキャリアを深く考えることができるか」という点は大きな価値だと考えます。1人で転職活動をしていても、どの企業に応募すれば良いのか迷う点もあると思いますし、有名企業にとりあえず応募してみようと考えてしまうこともあると思います。

転職活動の目的が有名企業に入りたいという目的であれば挑戦はしても良いとは考えますが、当然ですが有名企業は人気や倍率が高いため難しい挑戦になりますし狭き門です。この時に大切なのは合格した時よりも不合格だった時の対応です。

企業に応募して結果だけを聞いての繰り返しでは成長はできません。なぜ不合格だったのかを考えることが大切です。特定の領域の経験不足という理由ならば、そのまま転職活動を強引に継続するよりも、経験不足と言われたことを今の会社で補い、その後で再度挑戦するというステップを踏んだ方が目標実現への近道となる場合もあります。また、今の会社で補うことができないのであれば、一度補うことができる会社に転職して最終目標の企業を目指すという戦略も考えられます。

相談時の最初は有名企業に入社したいという理由でも、面談でお話を聞いて想いを整理し言語化していくことをお手伝いさせていただくと、有名企業でなくても実現できる選択肢が出てきたりもします。

この様に、単なる求人紹介ではなく、選考結果に対するフィードバックや今後のキャリアについてアドバイスができること、相談されたことだけではなくそれ以外の想定していない選択肢などを提案することなどが、人材紹介(転職エージェント)の価値のある部分だと考えます。

「書類選考通過率は〇%なのでとにかく数十社応募しましょう」や「経験ではなく希望の会社に応募しましょう」という様な話も聞きますが、冷静に考えてみてください、それは人材紹介(転職エージェント)の目線ですと深く考えていないという見方もできます。なぜなら相談者が応募したいという企業にただ応募すれば良いだけですので、これであればダイレクトリクルーティングやAIに代替できてしまいます。つまり、相談者の希望通りにすることは聞こえとしては良いですが人材紹介(転職エージェント)の価値としては弱いですし、価値に危機感を持たないと転職者に選ばれなくなってしまいます。個人での転職活動やAIに出せない価値を提供することが人材紹介(転職エージェント)に必要な価値であり、相談者の希望に加えて、それ以外のキャリアの選択肢を提示できるのがプロフェッショナルであり、今後生き残れる人材紹介(転職エージェント)だと考えます。

次に、企業目線での人材紹介(転職エージェント)の価値です。前回の私のコラムではダイレクトリクルーティングがまだまだ伸びていないという企業の実情を記載させていただきました。その際に企業の人事の稼働についても触れています。

企業がなぜ人材紹介(転職エージェント)に依頼するかというと、可能な限り人事の稼働を軽減したいという意図が大きいです。我々でさえも自社採用に人材紹介(転職エージェント)を活用しています。そのため、人事側からの我々に対する期待は、入社まで結びつく良い方を効率的にご紹介するということになります。

稼働削減では効率的にという点がポイントで、応募があれば人事は書類選考や面接を実施しますので稼働が発生します。そのため、紹介された人材が全員内定という状態が理想になりますし、100人紹介されても全員が不合格だと、逆に紹介されることで選考稼働が増えるというマイナスの結果になることもあります。

人材紹介(転職エージェント)は職種名に紹介が入っていますが、求められる価値は右から左に流す単なる紹介や引き合わせではないと考えております。我々に求められるのは斡旋であり、双方の間に入って両者の関係が上手くいくようにとりもつことまで求められるものだと考えていますし、おせっかいの様に感じることもあると思いますが、逆におせっかいな人材紹介(転職エージェント)こそが、価値のある人材紹介(転職エージェント)と考えております。

筆者 南條 充
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