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第974章
2020/06/05

ウィズコロナ時代に求められるIT ~注目が集まる技術を特集~(後編)

新型コロナウイルスの影響によって、働き方や生活様式が大きく変化しています。それによって求められるITやテクノロジーにも、変化が訪れ始めています。ウィズコロナ時代に注目の集まるITについて、前回に引き続きご紹介します。

④ BPOコンサルティング

既に成熟してきた感のあるRPA市場ですが、コロナの影響で更なる浸透気運が高まっています。リモートワークの拡充により、今後更なる事務作業の効率化、事務所スタッフの削減が考えられています。一時のリモートワーク用ではなく、今後に向けて長期的な働き方改革の一環として関心を集めるでしょう。

一方、このところRPAの問題点も指摘されるようになってきました。一番はガバナンス面です。結果的に業務の中身がブラックボックス化されたり、システムとしてのセキュリティ面、業務の変更が入った時の改修運用など、ツールに依存することの問題点が指摘されています。

それにより、最近は業務改善のコンサルティングを行う中で、RPAを適用するスタイルが広がっています。「RPAエンジニア」というツール導入を目的としたSEポジションではなく、そもそものオペレーション改革・効率化という業務を高い視点から捉えた「BPOコンサルタント」が、積極的にRPAを活用しているイメージです。BPO事業を行っていたコンサルティングファーム、大手SIer、それにアウトソーシングベンダーなど、BPOのプロ達がRPAを巧みに活用しています。

⑤ 公共系システム

コロナ対策用に、国や自治体から公的支援策が相次いで提示されています。実は給付金の施策はかなり多く、融資や税制の措置も含めると相当な数になります。施策策自体は、実は色々と整備され始めているのです。

ただ、それらオペレーションが全て円滑に進んでいるかとなると話は別です。申請は書類で行うケースが多く、それを開封する職員の確認時間も膨れ上がり、入金まではかなりの時間を要する事例も出てきています。

マイナンバーカードの低い普及率といった、そもそもの問題点も当然あります。ただ、こういう緊急時における業務の設計力、および柔軟かつ高速なシステム構築力が自治体にあれば、この窮地を少しでも効率化することが可能なはずです。

現状、一律10万円を支給する「特別定額給付金」の対応については、各自治体が独自に対応案を練っています。人海戦術で乗り切ろうとする自治体もある一方、東京都荒川区ではSalesforceを使って管理システムを構築。兵庫県加古川市でもkintoneを使った独自のオンライン申請システムを構築するなど、自治体ごとにシステムの足並みが異なっているのです。

公共システムには「スマートシティ」という概念が存在します。IoTのセンシングデータやエネルギー消費量、交通機関や行政サービスなど、都市における生活インフラデータを一元的にコントロールし、市民に有益な情報として提供する仕組みを大枠で刺します。新型コロナの影響で今後推進されるという分析もあるのですが、この概念は非常に壮大で、まだ実証実験フェーズです。その一方、今回のような緊急時に現場で利用されているのは、Salesforceやkintoneといった高速開発プラットフォームというのも興味深い辺りです。自治体や公共団体に、優秀なITの指南役がいるかいないかで、最適かつ柔軟なIT投資が可能になって来ます。

今後に向けて

2回に渡って特集して来ましたが、これら以外にもトピックはあります。動画配信プラットフォームのネットフリックスは過去最高益を記録。宅配代行サービスのウーバーイーツも需要増加中と言われています。巣ごもり需要にマッチした企業は、軒並み好調でしょう。

逆に、今後厳しいと見られているのはオフィスITです。ビジネスフォン、複合機、事業所内のネットワーク工事などは、今後リモートワークが定着すると需要減の可能性も叫ばれています。現に、スタートアップや一部Web系企業等では、既にオフィスの解約を初めています。ただ当然ですが、今後オフィスが完全に無くなるということも無いでしょう。育児との両立の難しさ、クリエイティブな議論の機会の喪失など、リモートワークにも課題は残っています。

いつの時代も働くのは「人」です。例え自宅にいようと、ロボットが手伝ってくれようと、新しい社会を創造し、構築するのは人の仕事でした。これからもそうです。仕事の環境や生活スタイル、そしてそれに必要なITの形は、時と共に変わっていきます。だからこそ、エンジニアやITコンサルタントが必要なのです。オリンピックの年だったはずの2020年は、今やすっかり時代の分岐点でしょう。ここから起こる変化に、どんなITが使われ、そして生み出されるのか。注視していきたいと思います。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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