緊急事態宣言が解除されました。長かった引きこもり生活も、これで一区切りという方もいるでしょう。今後、徐々にでも経済活動が復活していくことを切に願っています。
弊社も3月末からリモートワークを行っていました。中途採用市場の先行きも依然不透明ですが、現時点では継続採用をしている企業が圧倒的に多いと言えます。異業種に比べて業績への影響がまだ限定的だからとも言えますが、既にITは医療や他のライフラインと同じく、大事なインフラと位置付けられているとも言えるでしょう。世の中が大変な状況だからこそ、エンジニアやコンサルタントが必要になるのです。
今回はこれからのアフターコロナ/ウィズコロナの世界を見据え、注目が集まるであろう技術や業界、職種、IT企業などを前編、後編に分けて考えてみたいと思います。
① 医療×ITサービス
コロナ禍で一番大変な思いをされたのが、医療従事者の方々だと思います。現場の方々には本当に頭の下がる思いですが、今回の件から組織や運用面にはまだまだ改善余地、ITの活用余地が多い業界だとも感じています。
例えば、昨年には詳細な医療情報を収集・匿名加工した医療情報プラットフォーム事業を、NTTデータが開始しています。将来的には電子カルテ情報なども含まれるようで、診療行為結果を医療機関や国が連携・共有することで、医療の高度化、製薬における研究開発の加速化への貢献が期待されています。特に、今回のような未知のウィルス/未知の病に対しては、非常に有益なデータとなるはずです。
また、遠隔医療アプリ「CLINICS」を提供しているメドレーも最近注目が集まっている医療ベンチャーです。対面型ではなくリモート型での医療・診察行為は、新しい診察の形として今後の定着が期待されています。
また個人ユーザー向けにも、ヘルスケアサポートアプリの「CARADA健診サポート」を提供しているエムティーアイ、医師・薬剤師の転職支援サービスを提供しているエムスリーキャリアなども、注目が集まっています。個人の健康意識向上、医療従事者のキャリア形成など、あらゆるベクトルから医療業界×ITサービスが脚光を浴びています。
② ビジネスSaaS
クラウドサービスはすっかり定着したものと思われがちですが、意外にそうとも言えません。今回のコロナ禍でも、およそ6割は毎日出社していたというデータがあります。
(参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2005/27/news114.html)
もちろん出社が避けられない仕事もありますが、職種に関係なく大企業ほどリモートワークの実施率が高く、従業員数が50名未満の企業の実施率は20%台に留まっています。察するに、IT投資によってリモートワークの環境整備が出来ている企業と、そうでない企業とで差がついているのです。日本企業にはまだまだクラウドサービスの導入余地(市場)があり、それによって恩恵を受ける方々が多くいます。
徹底的にクラウドを使い倒せば、無駄な出社は限りなく減らすことが可能です。既に業務アプリケーションの多くはクラウド化していると思いますが、昨今はクラウドネイティブで開発されたものもかなり増えてきました。
例えばラクスは中小企業向けの業務アプリケーションを次々とクラウド化しているSaaSベンダーです。オフィスにいようと自宅だろうと、インターネットに繋がりさえすればユーザーの環境は不問。オンプレミスのシステムは、今後より一層減っていくでしょう。会計システムを提供する弥生やマネーフォワードも、SaaS事業者として安定したサービスを提供している企業と言えます。
また、電子印鑑サービスにも注目が集まっています。リモートワークにもいち早く取り組んだGMOインターネットはグループ企業で電子印鑑サービスを提供しており、社としても印鑑の完全廃止の方針を打ち出しています。契約書の捺印の為だけに出社された方も多くいるはずで、今回の件で非効率業務の筆頭と認識され始めています。
③ コラボレーションツール
クラウドサービスの中でも、より必要性が高かったのはコラボレーションツールと言えるでしょう。社内の情報共有システムで、TeamsやSlack等がそれに該当します。これらツールを使い倒せば、オフィス内で共同作業を行っているようにシームレスな情報共有やミーティングが行えます。中小企業でも導入がしやすいはずですが、大規模になると初期構築だけでなく、権限設定や既存アプリケーションとの連携、綿密な移行計画および社員への教育など、一筋縄ではいきません。ここはクラウドに強いSBテクノロジーのようなIT企業には、大きな期待が寄せられるはずです。ちなみに中心的な存在のマイクロソフトソリューションは大手SIerやITコンサルはどこも注力しており、今後もニーズは続くでしょう。(後編へ続く)