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第942章
2019/12/13

IT業界で食っていけるフリーランス、ジリ貧のフリーランス(第六回)

フリーランスになってからして頂きたいこと

前回は、フリーランスになる前にしておいて頂きたいことについてお伝えしました。今回は、フリーランスになってからして頂きたいことについてお伝えします。

フリーランスになってから

① いい仕事を選ぶ

仕事を選ぶことができる、というのはフリーランスの最大の魅力です。その魅力を最大限に活用して、ちょっと上のレベルの、キャリア的に良い仕事を選んでください。

この「ちょっと上」、というのがポイントです。前回のコラムで書きました通り、フリーランスの方に教育を施す前提で仕事を任せよう、と思う企業は稀です。一方で、ちょっとだけなら教えるよ、という優しい気持ちもあります。ちょっとだけ教える必要はあるけど、ほとんど教育しなくていい、という仕事であれば任せて貰えますので、ちょっと上、というのを意識して仕事を選んで頂きたいと思います。

では、ちょっと上の仕事かどうかはどうやって判断すれば良いでしょうか。残念ながら自分で判断するしかありません。自分で判断するためには、自分の生きている世界を知らなければなりません。アプリケーションエンジニアならアプリケーションエンジニアの世界を、インフラエンジニアならインフラエンジニアの世界をよく知り、その中でどういう仕事があって、どういうスキルが求められているのかを俯瞰的に見ることが必要です。

せっかくフリーランスで自由になるんだから、そんなことに縛られず自由に生きたいよ、考えるなんて面倒だよ、と思われるかもしれません。でも、フリーランスだろうがなんだろうが、社会の一員であることに変わりはありません。結局、社会のニーズがあり、求められるスキルがあり、それによって自分の仕事が決まってくる、というのはどのような立場であろうと変わらないのです。

そのため、面倒かも知れませんが、会社に頼らず生きていくのであれば、個人事業主という言葉の通り、フリーランスという自分事業の主=経営者として、大局的な視点と自分なりのキャリア観を持ってご自身の仕事を選んで頂きたいと思います。

ちなみに、そもそもちょっと上の仕事を希望したとしても、どこまでフリーランスに任せて貰えるの?という疑問もお持ちかと思います。ここまで私も散々、フリーランスに任される仕事は限定的だと書いてきましたので、不安に思われるのも無理はないと思います。

ただ、人というものは、任せることができるなと思ったら、それが自社の社員であろうがそうでなかろうが、関係なく任せるものです。

実際、私も一次請けのリーダーをしていたとき、協力会社にとても優秀な方がいたので、その方に開発メンバーのマネジメントを任せたことがあります。また、その方は技術にも強く、アーキテクチャにも知見があったため、次期システムのアーキテクチャを検討する際にはその方も呼んで、共に新しいアーキテクチャを考えたりもしました。

フリーランスには重要な仕事を絶対に任せないかというと、そんなことはありません。フリーランスという立場に甘んじず、高い専門性と広い視野を持っていれば、重要な仕事も任されます。

フリーランスになったとしても、単に自由を謳歌するのではなく、将来に備え、長期的視野に立ってチャレンジを続けて頂きたいと思います。

② プロ意識を持つ

フリーランスになること自体がプロフェッショナルの証だろう、と思われるかもしれませんが、私は少し違うと思っています。世の中では、スペシャリストとプロフェッショナルが同じような意味で使われていますが、スペシャリストであってもプロフェッショナルではないフリーランスの方のほうが圧倒的に多い印象です。

何が違うのか、ですが、スペシャリストとは、特定の領域に秀でたスキルを持つ方のことを指します。そしてプロフェッショナルとは、本来の意味はさておき、慣習的には自分の仕事の成果に誇りと責任を持つ方のことを指しています。

もちろん、スペシャリストの方も、自分の仕事の成果に誇りと責任を持っていますが、プロフェッショナルと言われる方は、「仕事」の捉え方がちょっと違います。自らのタスクを遂行して完遂することだけを仕事とは捉えておらず、顧客が享受するメリットであったり、世の中に対する価値であったりに視点があり、それらが十分であるかどうかで仕事の良し悪しを判断しています。

フリーランスになると、与えられる仕事内容と完了条件が定義されていることが多いため、ついついそれをこなすことに終始しがちです。もちろん、タスクの完遂はMustであり、それができないと話になりません。ただ、それだけだとただの便利屋になってしまいますので、仕事をより広くとらえ、目的や価値、効果などを意識して仕事に当たって頂きたいと思います。そうすることで自然と発言や行動が変わり、任される仕事も自ずと良いものになってくると思います。

③ 自己研鑽をする

いまは会社員でも、40~50代になったらリスキルや再教育が必要と言われています。ましてや教育の機会を提供して貰えないフリーランスの方は、自分自身に教育を施していかねばなりません。

施すべき教育は、コアスキルに対してはもちろんのこと、それ以外の領域についても必要です。いろんな会社の教育制度をご覧になれば分かると思いますが、そのラインナップは多岐にわたります。

なぜ多岐にわたるかというと、それらが社会や顧客から必要とされているからです。最近ではエンジニア派遣の会社でも、ロジカルシンキングや課題解決スキルを学べるような教育カリキュラムを社員に提供しているところが増えてきています。技術者であっても、技術だけを知っていればよいという時代でなくなってきたことの分かり易い例と言えます。

スキルが特定の分野に偏ってしまったり、視野や視点が狭くなったりしてしまうと、ご自身の将来の選択肢が狭まってしまいますので、そうならないように、フリーランスになってからこそ、会社員のとき以上に意識的に自己研鑽をして頂きたいと思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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