SIビジネスは今後下火になってくる。数年前からそのような情報がメディアにも取り上げられてきました。
では、本当にSIビジネスはなくなり、世の中からSIerはなくなるのでしょうか?
そうとは言い切れません。むしろ、SIビジネスに新規参入してくる企業もあり、今後もSIerは重要な役割を担うはずです。今回はSIerの将来性について記載します。
1.SIerの現状と問題点
事実、今後SIのビジネス量は減っていくと言われています。事実として、 “人月モデル”と称されるような特定顧客にエンジニアを張り付けて稼働工数を請求する、旧態依然としたビジネスモデルは限界を迎えています。
OSSやクラウドの普及により、特定ベンダーありきのシステム開発・システム運用という時代は終わりを告げつつあります。金融系の大規模案件なども依然ありますが、今後は徐々に少なくなっていくでしょう。
また、情報処理推進機構(IPA)がまとめている「IT人材白書2019」にも、IT業界の人材流動トレンドとして「IT企業から、ユーザー企業へのIT人材の流動化が高まっている」という報告があります。
2.SIビジネスに新規参入してくるプレイヤー
では、ただSIビジネスが減るだけかというと、そうとも言えません。むしろ、新たに参入してくるプレイヤーも多数います。
一例として、これまで一般消費者向けにスマホアプリを提供していた幾つかのWeb系企業が、新たにSIビジネスを始めています。今までBtoCで提供していたサービスを、自治体や大企業等に向けてBtoBで提供しているのです。なぜでしょうか
その理由は、Web系企業の培ったサービス力にあります。消費者向けに作りこまれたユーザビリティや信頼性など、サービスの構築力に目をつけて、クライアント企業から発注が来るのです。
つまり、Web系と思われている企業が、新たなSIerとなっているのです。彼らが新規参入してくるほど、SIビジネスは活況な市場と言えます。
特にFintechやMaaSなど、「既存事業×デジタル」という組み合わせのシステムであれば、今後より一層需要が高まるでしょう。AIやモビリティ、IoTなどのデジタル技術は需要が高く、金融から製造業まで、ありとあらゆる業種で求められるはずです。そこには、必ずSIerの需要があります。
3.SIerの新たな取り組み
また、このところIoT領域だけを扱うSIerや、AWSやSalesforceだけを専門的に扱う特化型のSIerも出てきました。世の中の需要に合わせて、新たな形態のSIerがベンチャーとなって生まれています。
一方、既存のSIerも当然のように時代の変化に合わせて組織や事業内容をブラッシュアップしています。数年前からデータ分析やIoTなど、新領域のSI部門をどの企業でも立ち上げています。既存のシステム保守だけでなく、最新技術を扱えるSIerにこそ、ニーズが集まっているのです。
また自社でクラウドサービスを立ち上げるなど、SI以外にも新たな取り組みを始めているのです
4.まとめ
以上のように、SIerに将来性がないと決めつけることはできません。扱う技術や役割が変わるだけで、これから先もIT活用の現場にはSIerが求められるはずです。SIerの将来性を悲観しすぎず、技術力を伸ばしていきましょう。