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第873章
2018/12/14

ネットワークエンジニアのキャリアについて(後編)

— ネットワークエンジニア経験を持つエージェントからのメッセージ —

ネットワークエンジニアのその先に

もちろんネットワークエンジニアとして尖っていくというキャリアもあるのですが、どうしてもニーズは縮小していくと言うことは絶対的に言えます。ですが、これまでのネットワークエンジニアとしての経験が無駄になってしまうかというと決してそうではありません。

ネットワークエンジニアからのキャリアアップ・キャリアチェンジの道として、以下3通りに分けて説明いたします。

  1. インフラエンジニアとして技術・知見を広げていくキャリア
  2. 製品エンジニアとして各種機器に尖っていくキャリア
  3. セキュリティエンジニアに挑戦するキャリア

まず(1)に関しては先述した通り、「ネットワークだけ」ではなく、サーバーやDB、ストレージ、仮想化、さらにはクラウドまで広げて「インフラエンジニア」としてキャリアを伸ばしていくという道です。

OpenStackやSDNはもちろん、Dockerや昨今ではKubernetesなど、「インフラ」の範囲が随分広がってきたなと私も感じていますが、確かにインフラとして基盤全体を理解しようとする場合には、ネットワークだけでなく広く知っておく必要があります。裏を返せばインフラエンジニアとしてキャリアを広げていく場合に、ネットワークはそれぞれを繋ぐ上で最も重要な「流れ」を押さえることにもなり、ネットワークからサーバー、DB…などと広げていくのは素直な道と言えるかもしれません。ただ、「業務ではどうしてもネットワークしか出来ない」という場合や「もうシニア層になってしまい、今から未経験のクラウドを業務で任せてもらうのはいくらやりたくても絶対的に難しい…」という場合もあると思います。

ここで重要なのが自己研鑽、つまり「個人で何をやっているか」です。かつて私も自宅PCでVMwareやVirtualBoxなどに仮想でサーバーを構築し運用することで、少しずつ、浅くでも広く全体理解に努めて来ましたが、自身でやってみるのが一番の近道です。今はGoogleなどで調べれば構築方法などはいくらでも探すことが出来ます。AWSも無料で試すことが可能ですし、さらにはConnpassなどで調べれば外部の勉強会なども多く開催されていますので、自らアンテナを高く持てばいくらでも学ぶ機会はあります。もちろん、自己研鑽と実際の業務での経験は大きく違います。ただ、「ネットワークだけでなくインフラエンジニアとして広げていきたい」という場合には、この熱意と行動力が何より大切です。一秒でも早く行動に移すべきである、と強く思います。

自身が希望している企業と、企業側のニーズに乖離がある可能性などはありますが、それでも確実に熱意が伝わる企業はありますし、今は無理でも努力を続ければ数年後にはチャレンジ出来る可能性もあります。そのためにも、自己研鑽というのは大きなポイントになります。

(2)の製品に尖っていくというキャリアもあります。
外資系企業やエージェンシー(商社)を志す場合などのキャリアですが、ひとつの製品、ないしは一企業の製品群に詳しくなるという道です。この場合、前提としてあるべきネットワーク知見はコンサルタントの説明時にも申し上げたCCNAレベルで十分である場合も多いです。

ネットワークを構築する上でもインフラとして広く見ていく場合でも、Ciscoをはじめとした「機器」は必須です。何かしらの機器が無ければインフラは構築出来ず、使いやすさや安さ、機能面などを鑑み何かしらの製品を導入しているはずです。(機器でなくクラウドの場合でも同様です。どのクラウドが自社/お客様に合っているかは必ず検討するはずだからです)

その中で「この製品が良い、伸びていくはずだ!」「この製品が単純に好きだ」といった観点から、製品自体に詳しくなっていくというキャリアもあるということです。

リスクがあるといえば、その製品のニーズが減ってしまった場合や、日本から撤退してしまった場合などです。そのため製品に尖りつつもインフラエンジニアとして全般の知見は押さえていくこと、市場の流れをつかむ必要などはありますが、時代を牽引している製品に尖るというのも重要なひとつの道です。

このキャリアの場合プラスして求められるのは技術力だけでなく、折衝力、そして英語力です。海外製品が多いのが現状ですので、最新情報などを押さえるにはマニュアルはもちろん、海外への問い合わせ、実際に現地に出張等に行く可能性も高く、自身のキャリアを広げる意味でも英語力は重要なスキルとなるでしょう。さらにはプリセールスのように動く可能性も高いため、営業力なども必要なスキルとなってきます。

もう一点挙げるとすれば、このキャリアを歩む場合、「企業を定期的に変えてしまい転職回数が多くなる」傾向にあるのは事実です。一方で、特に外資系企業の場合は年収が比較的高いということも、このキャリアの魅力のひとつと言えるでしょう。

(3)のように、セキュリティエンジニアを志すというキャリアもあります。
私自身がインフラエンジニアからセキュリティエンジニアとして経験を積んできたため、実際の経験でもありますが、ネットワークエンジニアからセキュリティエンジニアになれる可能性は十分にあります。

セキュリティ、「攻撃者の視点」を知る上でネットワークは必須でありネットワークが分からなければ攻撃の流れを押さえることは出来ません。もちろんサーバーやDB、ストレージ、そしてアプリケーション知見なども重要ですが、セキュリティ未経験から挑戦する場合に最も業務で経験していた方が良いのはネットワークであると、個人的には思っています。(セキュリティエンジニアのキャリアについては別の記事で詳しくまとめる予定です。)

各企業から実際にお話を伺っても、アプリケーション経験よりもインフラ、中でもサーバーではなくネットワークの経験を求めてくる企業は多く、実例を挙げれば脆弱性診断でも、プラットフォーム側の脆弱性診断はネットワーク知見が必須ですし(Web側はもちろん開発経験が重要ですが)、SOCやインシデント対応などにおいてもネットワークエンジニアの経験がフルに生かせます。

もちろん、セキュリティエンジニアとしての視点、考え方、そして昨今のセキュリティ情報などの情報収集も必要であるため、先述したような自己研鑽は必須です。ただ、ネットワークエンジニアからセキュリティエンジニアのハードルは実はそこまで高くない、十分に可能性はある、という点は押さえておいていただければと思います。

ネットワークエンジニアの皆様へ

さて、長くネットワークエンジニアのキャリアについて説明させて頂きましたがいかがでしたでしょうか。今後クラウドなどのニーズは一層高まるでしょうし、ネットワークだけでなく、学ぶ必要のあることや時には転換なども必要になる日が来るかもしれません。

ただ、ネットワークエンジニアは非常に貴重な経験であり、インフラエンジニアやセキュリティエンジニアの基礎にもなりえます。貴重な経験を生かし、ネットワークエンジニアの皆様が良いキャリアを築けることを切に願っています。

※疑問点や「私でもこうなれるのか」「転職できるのか」など何か相談があれば、いつでもご連絡ください。
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<ジャパ>

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