「あれ、電車の雰囲気がいつもと違うな」と感じ周りを見渡すと、一目で「新卒」とわかるスーツ姿の初々しい方達を見つけ、「あぁもう4月なのか」と実感しつつ、年をとったなと思う今日この頃です。この春社会人のスタートを切った方は、入社から2週間が経ち、研修も佳境を迎え、現場に配属され業務に関わり始めた、という方も多いのではないでしょうか。
私自身は、新卒研修で「3日、3ヶ月、3年ときつい時期の波が来る。そこで凹たれず耐え切れ!」と檄を飛ばされたことを未だに覚えていますが、入社前と入社後のギャップが大きく、「こんなはずじゃなかった」とすぐに会社を辞めてしまう新入社員の話を聞くこともあります。また、入社したばかりの方たちが既に転職サイトに登録しているのを目にします。
では実際に入社したばかりの方は、転職できるのでしょうか。答えはYesです。ただ、就職活動とは大きく違うということや、その厳しさ、その後のキャリアはどうなるのか、ということをきちんと理解した上で行動して欲しいと思います。
転職先企業はあるが、少ない
「就職活動に失敗してしまったというような1年目の方でも問題ない」という企業は実際にあります。また、「社会人経験が3年未満の方」を対象とし、育てることを前提に採用してくれる企業もあります。
ですが、そのような企業はたくさんあるわけではありません。時期的な縁(例えば9月から募集開始という場合や10月1日入社限定という場合など)もありますし、また入社したての1年目となると「第二新卒」とも異なり、いずれにしても応募できる企業数は多くはないのです。
第二新卒との違い
ところで、「第二新卒」とはどういうことでしょうか。各社それぞれ定義は違いますが、前提として企業が求めているのは「一定のマナーや社会人としての常識を身につけていること。いわゆる研修が必要ないこと」だと思います。それを理由に「2年以上の経験」を必須要件としている場合が多いです。
一方、新卒で入社し1年未満、今の時期ですとそれこそ1ヶ月未満の方々にその「常識」が身についているかというと、いくら優秀な学歴の方でも残念ながら企業はそうは見てくれません。さらに「我慢できない人なのではないか」「辛いことがあるとすぐ逃げてしまうのではないか」という目で見てきます。
「だって入社時に聞いていた話と違うし自分は悪くない!」という思いを持たれるのも理解できます。実際に私も新卒の時に、東京採用・東京希望で内定したにも関わらず、入社直前に「研修後は宮城配属」と言われ「こんな会社辞めてやる!」と毎日のように思っていました。(タフそうだから大丈夫だと思った、と後で言われたのは今では笑い話ですが、当時は怒り心頭でした)
新卒採用と中途採用の差
入社1年目での転職では、ポジションや企業が限定される、というのは先述の通りですが、その他にも新卒採用と違う点は数多くあります。
新卒採用の場合にはそれこそ「人柄、ガッツ、熱意」が重要であり、志望動機をHP情報などから熱く語るのが重要だったと思います。(もちろんこれは中途採用でも重要ですが)
一方、中途採用では「経験」を見られます。何をやってきたか、何ができるのか、その上で何がしたいのか、です。例えば、いくら「スマホアプリ開発をしたい!」と言っても未経験で何もやっていない方を採用しません。未経験の分野にチャレンジしたいのであれば、「自分でSwiftを使って個人でApp Storeにリリースしてみました!」くらいの自己研鑽(これは大げさですが)が大切で、このような「行動」を見られます。
一般的な中途採用であれば「業務経験」として積んでいないと難しいということも多いですが、1年目であれば業務での経験は言ってしまえばどなたであっても「まだまだ」なため、その行動力と本気度を見られます。行動力と本気度がなければ、企業からは「採用する理由が無い」と見られてしまうのです。
また、これらの経験に加えて新卒採用時に絶対に聞かれなかったことで最も重要なこと、それは「転職理由」です。「こんな話だったのに実際出来なかったから辞めました!」と面接で言ってしまっては、確実にお見送りになります。「1年目で出来ないのは当たり前だ、何か行動はしたのか」と思われてしまうのです。
本当に転職すべきなのか
私は、転職エージェントという立場ながら「転職はしなければしないほうがいい」と常々本気で思っています。ですが、どうしても転職せざるを得ない、頑張ったけど限界だった、と言う場合はありますし、そのまま病気になってしまっては元も子もありません。
「これが出来ると思ったのに」「人間関係が合わない」「忙しすぎる」など、どうしても入社後ギャップが激しく限界だと思ったら、例えば異動を願い出てはいかがでしょうか。いきなりは難しいかもしれませんが、会社・人のせいにせず、まずは自分でやれることをやってみるのです。他責な人を企業は求めません。努力したけどダメだった、と言うことであれば面接でも話せるはずですし、企業にも伝わるかもしれません。
一方で、「辛くても3年以上いないとダメか」というとそうではありません。
中途採用上(というよりもその後のキャリア上)大事なのが、その間何をしていたか、です。「3年間は耐えなければ」と、ただ時間が過ぎるのを待ち、何もせずダラダラするのであれば、それは時間の無駄でありチャンスを逃してしまうことにも繋がります。そういう状況になりそうなのであればそれはすっぱり辞めることをお勧めします。
ただし、辞める時には相応の覚悟を持ち、「中途採用ではこういう視点で見てくるんだ」ということを視野に入れ、再度本気で考え・行動し、その上で転職活動をすることをお勧めします。
入社直後のことは、私も未だに鮮明に覚えています。当時の同期とは会社が変わっても今も飲み仲間であり、貴重な時間でした。
今、可能性は無限大です。広げるのも潰すのも自分次第です。
エールも兼ねて、このコラムが悩める社会人1年生の一助になれば幸甚です。
<ジャパ>