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第809章
2017/08/25

職務経歴書や履歴書をどこまで書くか

— ゴールは書類選考通過ではなく面接通過 —

職務経歴書と履歴書はどこまで書けば良いか

職務経歴書と履歴書はどこまで書けば良いのか。これは、転職活動をする方だけでなく、我々エージェントとしても毎回悩むところです。

1人として同じ経歴の人はおらず、転職する理由や、どういう人生を歩みたいかについても人それぞれのため、その人その人に合った職務経歴書や履歴書(以下、応募書類)を作成していただく必要があります。従って、ここまで書けば良いという正解はないといえます。

ただ、一つだけ必ず気をつけていることがあります。それは、その応募書類を書く目的です。

書類選考通過をゴールにするなら

書類選考が通過することだけをゴールとするなら、実は主だった経歴の概要をさらっと記載すれば良いです。

書類選考をする立場になって考えますと、職務経歴書の記載内容が余り充実しておらず、経歴の全体および詳細が掴みきれなくても、何か自社で活かせそうな経験をある一定期間積んでいれば、会ってみようかなという気になります。他の経験や、主だった経歴の詳しい内容については面接で聞けば良い、と、そんな心境です。こうして、職務経歴書の内容がそれほど充実していないにも関わらず、書類選考が通過になってしまいます。

え、それなら敢えて職務経歴書を頑張って書かなくても良いのでは?と思われるかもしれません。確かに、書類選考に通過することだけを考えたら、この方法が実は最も合理的です。

職務経歴を余り書かずに面接に行ったら

ただ、ここで注意が必要なのは、書類選考をする方としては、取り敢えず会ってみるか、というくらいの気持ちで面接に臨むということです。

これは、しっかり職務経歴を書いたうえで書類選考が通過した場合と訳が違います。職務経歴をみっちりと書き込んでいる場合は、面接をする方もある程度のイメージが出来ていることから、あとは自分が欲している経験があるかな、自分が欲しいキャラクターかなといったことを中心に面接で質問をしてきます。

一方、取り敢えず会ってみるか、という程度で面接が行われる場合、面接官の熱量が低くなりがちであり、ともすると、『なんで人事はこの人を面接に入れたの?』と現場の面接官が不満を抱きながら面接が始まったりします。つまりは、面接に入っているにもかかわらず、最初からネガティブな雰囲気で面接が行われることがままあるのです。

また、書いていないところについては、聞かないと分からないので一つ一つ聞いて確認していくのですが、面接官としては、その書いていないところも自分たちが求めている経験であることを期待しています。

そして、隠されていた経歴が一つ一つ明らかになり、それが単に言いたくなかったから書かなかっただけと分かった時の失望は、しっかり書いていた場合よりも数倍大きく、人によっては、『この人は都合のいいことだけ言って都合の悪いことは隠す人かも』と思ってしまうなど、良いことが余りありません。

更に、前述のようなマイナスのことが仮に無かったとしても、職務経歴を深掘りされた時に、昔の事だから覚えていないとか、エピソードを分かりやすく話せないとか、アピールが十分にできないと言ったことがよく起こります。

これらは、職務経歴書を作成する時に、面接を意識していないために起こることだと私は思っています。面接は、自分という人材を企業に提案するための場のようなものですが、では、プレゼンテーションをするとして、その提案資料をスカスカの状態でその場に臨む人はいるでしょうか。まずいませんよね。必ず、相手が何に興味を持つのか、どういうことを聞かせればいいのか、質疑応答はどのようなものが想定され、どのようなことを答えるべきかを考えたうえで提案資料を作り込むはずです。

職務経歴書に主だった経歴しか書かないというのは、要するにスカスカのプレゼンテーション資料しか作らずに勝負に赴くようなものです。それでもアドリブ力のある方であれば面接を乗り切れるのですが、そんな芸当が出来る方はそんなに多くなく、普通は面接で苦戦をします。特に、初回面接時の面接通過率は著しく低くなりがちです。

つまり、スカスカの職務経歴書を提出した場合、書類選考通過率は上がるものの、面接の通過率は実は下がってしまうのです。

『でも、ある人材紹介会社で、主要な経歴だけ書けばいい、不利なことは書くなと、真逆のアドバイスを受けましたよ』というお話もたくさん頂きます。私はその都度、こう言います。

『それはそうです。多くの人材紹介会社は、書類選考が通過すれば自分の責任は果たしたと思うからです。もし面接が通過しなくても、誰も人材紹介会社のせいにはしませんよね。面接に入った後のことまでは知らないよというのが普通の人材紹介会社の基本スタンスなので、そういうアドバイスになるのです。』と。

そして、職務経歴書をきちんと書き込むことで、面接に受かる可能性を高めましょうとアドバイスをさせていただいています。

履歴書もできれば作り込む

ここまで職務経歴書について話をしてきましたが、ついでに履歴書についても言及しておきます。

弊社の履歴書フォーマットには、転職理由と志望動機を書く欄があります。これを書こうとすると結構面倒なので、書かなくてもいいですかと聞かれることもしばしばあります。

参考:履歴書フォーマットはこちら
https://www.liber.co.jp/knowhow/rireki/

確かに、転職をする理由なんてたくさんありますので、それを端的に纏めるのは時間も労力もかかります。また、会社を志望する理由も、その会社のことをきちんと調べたうえで書かないといけないため、これまた時間も手間もかかります。

でも、これも考え方は職務経歴書と同じです。転職理由も志望動機も、ともに面接では確実に聞かれることのため、予めこれらを入念に考えておき、面接でスラスラ話せるようにしておいた方が遥かによいです。

時々、『求人は水モノ、鮮度が大事』などといって応募を急かす人材紹介会社があるようで、それは確かに一理あるのですが、だからと言って書類の作成を十分にしないまま面接に入っていい、ということにはなりません。いくら書類選考が通過しようと、内定が得られなければ全く意味が無いわけです。

そのため、一見面倒ではありますが、最終的な効果・効率を考えて、これなら面接に入っても話せると思えるくらいまで職務経歴書と履歴書を作り込んで頂ければと思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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