COLUMN
コラム:転職の技術
  1. IT転職リーベル ホーム
  2. コラム:転職の技術
  3. 自分のワークライフバランスを定義していますか
第780章
2017/01/20

自分のワークライフバランスを定義していますか

— 時間だけでなく充実度・満足度を重視すべし —

ワークライフバランス=残業を減らすこと?

私は、帰宅してからも仕事をしています。早く帰宅したときも22時くらいからPCを開き、場合によっては24時過ぎまで仕事をするときもあります(この記事も23時半に執筆中です)。その話を誰かにすると、『忙しいんだね』『ワークライフバランス的に大丈夫なの?』などと言われるのですが、自分としては、『ワークライフバランスが取れている』と思っています。

ここまで読んでピンときた方は、恐らく、これまでワークライフバランスとは何かを考えてきた方でしょう。

いつの頃からかワークライフバランスという言葉が使われ出し、いまでは誰でも知っている言葉として定着しています。

ただ、ワークライフバランス=残業を減らすこと、というイメージが定着してしまったために、残業を嫌がるなんて軟弱者!というワークライフバランス嫌悪派と、残業が多いなんてブラックだ!というワークライフバランス推奨派に二分されてしまう事が多く、日常の中でワークライフバランスとは何か、ということについて真剣に議論されることが少ないように思います。

IT業界は、長時間残業になりがちなため、他に比べてワークライフバランスという言葉が使われることが多い業界。

そこで、今回のコラムでは、ワークライフバランスについて思うところを書いてみたいと思います。

ワークとライフを分けるべき?

よくある議論として、ワークとライフを分けること自体が無意味だ、というのがあります。この意見は、ワーク(仕事)もライフ(人生)ではないのか?という疑問が前提にあります。

確かに、ワークもライフの一部ではあるので、分けるからますます仕事が嫌になるのだ、分けずに逃げずに、仕事が楽しくなるように自分の心の持ち方を変えよう、という考え方も一理あります。ただ、それが出来るくらいならとっくにそうしてるよという話もあります。

いろいろな意見はあるとは思いますが、私はワークとライフは分けていいと思います。人はいつも同じモードで生きている訳ではありませんので。ただ、ワークとライフという言い方が分かり辛いので(分かり辛いからワークもライフの一部だなんて変な話になる)、以降、ワーク=オフィシャル、ライフ=プライベートという意味にさせて頂きたいと思います。

バランスの基準は?

次は、バランスとは何か、についてです。バランスという言葉もまた難しい言葉ですが、ざっくり言えば、二つの異なるものを、何かしらの基準で比較した時に、それが同じであることを指すものと思います。何かしらの基準とは、例えば理科で言えば質量や体積、温度などになります。

基準が違うと、バランスしているか、そうでないかが変わってきます。例えば、20gの小石と綿アメを比較すると、体積はバランスしていませんが、質量はバランスしている事になります。

ワークライフバランスの話をする場合、大抵暗黙的に残業時間が比較基準となっており、実際、残業は月平均何時間位か、という話題に帰着することが多いです。

ただ、

  • いま凄く仕事が波に乗っていて、時間がある限り仕事をしたいのに、残業が禁止されていてそれが出来ない
  • 今は歯を食いしばって仕事に打ち込むべき時なのに、早く帰宅して家のことをしなければならない
  • 残業は全くないが仕事が一日一時間くらいで終わってしまう

という状況に置かれた方がいたとします。残業が少なくプライベートの時間が多いので、世間一般的にはワークライフバランスが取れていて幸せなはずです。しかし、恐らくこの方にとってはストレスが溜まる状況でしょう。

このことから、ワークとライフがバランスしているかどうかは、単純に残業時間で測るのではなく、時間の使い方に重み付けをしたうえで測るべきということが言えます。自分が時間をかけたいことに時間をかけられるときこそ、心理的に満たされた状態となり、バランスが取れていると思えるはずです。つまり、基準が定性的なものになりますが、人生の満足度や充実度といった、心理的に満たされているかどうかを、ワークライフバランスを測るときの基準にすべきと考えます。

実際、私が転職をご支援した方の中には、前職が暇すぎて仕方がなく、転職してから思いっきり仕事ができて本当に楽しいです、という方もおられますし、前職が忙し過ぎたけど、転職してリーズナブルに働けて嬉しいです、という方もおられます。このお二人の働く時間は全然違いますが、お二人ともワークライフバランスが取れている、と思っておられます。

ワークライフバランスを語るに当たっては、時間の数字のみを基準にするのではなく、仕事の満足度などの定性面を加味して測るのが妥当でしょう。

あなたのワークライフバランスは?

正直に申し上げれば、私も転職時には、ワークライフバランスを意識していました。ただ、私は働くこと自体は好きで、一方で、家族と過ごす時間も大切にしたいという思いもあり、その両立を実現することが、ワークライフバランスの実現と考えていました。

いま、私の働いている時間は、これまで所属した会社で働いていた時間と大差はありません。ただ、早めに帰宅することができ、妻や子供との時間を持てていることが何より嬉しく、家族が寝たあとで自宅で数時間の仕事をすることになっても、全く苦ではありません。ワークとライフのそれぞれの総時間が変わらなくても、人生の満足度という観点を基準にすれば、ワークライフバランスが取れていると言えるわけです。

この基準は、人によって本当に千差万別です。そしてまた、自分自身の基準を作らず、単純に残業時間だけを見つめて、残業時間を減らすことだけがワークライフバランスを保つ=幸せな人生だと思い込んで将来を決めてしまうことは本当に危険です。私もこれまで、残業時間だけを見て転職先を決めてしまい、失敗したという方を沢山見てきました。

メディアなどにより植え付けられ、固定化されたワークライフバランスのイメージに惑わされることなく、満足のいく毎日を過ごせるか、充実した人生を送れるかといった定性的な基準をもとに、是非ご自身に合った『ワークライフバランス』を考え、定義し、その実現に向けた取り組みをして頂ければと思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
#関連記事

関連記事

注目のキーワード: