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第773章
2016/11/25

ドレミファソラシドを疑え!

— 不協和音を無視せず、調律する方法を考えよ —

学校で教わった和音は気持ち悪い?

『ドレミファソラシドは気持ちのよい音階ではない。妥協で作られた音階なのだ。』

先日、大手メーカー等の社長を歴任された方とお食事をする機会がありました。その時にお聞きしたお話です。

その方は、仕事を引退してからバイオリンを始められたのですが、ドレミファソラシドをきちんと調律しても、和音が心地よく調和しないと気付いたそうです。そして、調律師の方に聞いたところ、実はその通りで、わざと正確な音階から少しずらして綺麗な和音になるように調律するとのことでした。

そもそも人にとって聞き心地の良い音の組み合わせとは、違う周波数でもお互いの音が変に干渉をせず、1つの音に聞こえるような組み合わせだそうです。

私は音楽については素人なので多少の間違いはお許し頂きたいのですが、お聞きした話を書きますと、ドの音の1.5倍の周波数の音を、5音上のソにすると、和音が綺麗に聞こえるようなソになるそうです。更にその1.5倍をレ、次をラ、以降、順番にミ、シ、ファと辿り、最後にようやくドに戻る。これで一通り綺麗な和音となる音たちが出来あがるということです。

一方で、人間の耳は、2の乗数の音を同種の音と認識するらしく、その理論に基づいてオクターブを作っているそうです。問題は、先ほどの手順で作った最初のドと次のドがちょうど一オクターブにならないらしく、結局はオクターブを優先して音階を定めているということでした。つまり、私たちが認識しているドレミファソラシドを使っての和音は、心地よい和音から若干ずれていることが多いそうなのです。

しかしながら、私たちは小さい頃からずれたドレミファソラシドに慣れ親しんでおり、和音についても、それが綺麗な音であると思い込んでいます。

人間の耳は結構鋭敏で、その違和感に気付いている人は少なくないそうですが、多くの方は、違和感の方が間違っていて、教わった音階や和音の方が正しいと無意識のうちに捉えているそうです。

違和感をそのままにせず、疑ってみることも大事

何の話からこんな話が始まったかというと、IT業界って、精神的に参ってしまう人が多いよね、という話からでした。

ルールや慣習などに対して、これが正しいんだ、自分は間違っているんだと思い込んで、不協和音を頭の中で奏でながら仕事をしていると、気持ち悪さが無意識のうちに頭の中に蓄積されていき、ついには精神的に参ってしまうのではないか。正しいものなんてないんだから、正しいものなんて追いかけず、自分の感性を信じて生きようよ、という、そんなお話しでした。

そもそも本来、人は自由に生きたいものであり、ルールは極力無い方がよいです。ただ、ルールがないと、人の幸せを侵害するような事件が溢れてくるので、ルールを定めて各人の幸福の均衡を保つようにしています。

ルールとはそのようなものであり、また、定めたその時代の事情に応じた暫定的なものですので、それを絶対のものとして他人を縛ったり、自らを縛って不幸になることはすべきではありません。もしルールに縛られている人がいたり、自分が縛られてしまっていて、それに違和感がある場合は、そのルールを疑ってみることも大事だと思います。

キャリアについても常識を疑ってみる

キャリアについても、違和感があるのであれば、自分が思っている常識を疑ってみることも時には大事です。

私が新卒で入社した会社では、いま思えばキャリアのイメージが画一的でした。ただ、世間知らずな私は、違和感はあったものの諦め気味に、IT業界のキャリアってこんなもんなんだなと思っていました。まさに、教えられたドレミファソラシドが正しいと思い込んでいたわけです。

結局その会社から転職して、多様性のるつぼの様な企業に入ったとき、あ、自分が常識だと思っていたことって全然違っていたんだなと気付きました。

特に新卒で入社した会社では、キャリアのイメージが植え付けられるものです。それは会社としては当然の話で、自社で最も活躍できるキャリアパターンを教え込むのはむしろ義務と言ってもいいでしょう。しかし、それを鵜呑みにしてしまうと、その会社以外では通用しない人になってしまう可能性があります。

大事なことは、それはキャリアの一つの型として覚えておきつつも、

  1. 自分の将来のイメージ
  2. 会社が自分に求めているキャリアイメージ
  3. 実際に辿っているキャリア

の3つの和音に違和感がないかを問いかけ続けることです。
そして、微妙な不協和音が発生しているなら綺麗な和音を奏でられる様に調律すればよく、どうしようもない不協和音が発生しているなら、組み合わせそのものを再編成した方がよいでしょう。

もし自分のキャリアに少しでも違和感があれば、まあ、こういうものだよねと自分の中の常識で違和感を抑え込んでしまわずに、自分の感性を信じて、今後どうすべきかを考えてみてください。

なお、再編成の方法については、辿ってきたキャリアを変えることはできないので、選択肢としては主に以下の3点に集約されます。

  • 自分の将来のイメージを変えるか
  • 会社が自分に求めているキャリアイメージを変えさせるか
  • 求めるものが違う会社に行くか

そんなに選択肢があるわけではないので、いずれかをやるというよりは、これら全部についてそれぞれ打てる手はないかを検討して頂くのが良いかと思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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