待ちの状態をどう捉えるか
仕事に『待ち』は付き物です。提案のプレゼンをして結果待ち、メールを送って返信待ち。タスクリストには常に『待ち』が並ぶものです。
『待ち』の状態をどう過ごすかは人それぞれです。自分のやることは終わったと解放感に浸り、ひたすら待つだけの人もいれば、待ち状態はロスであり、何か待ちを解消する方法は無いかと考える人もいます。
傾向としては、新卒社員に近いほど前者の方が多く、社会人経験を重ねるほど後者の方が多くなる様に思います。もちろん、成果は後者の方が出ます。
理由は恐らく、仕事や成果に対する考え方の違いだと思います。新卒に近いほど成果に対する責任が軽く、自分のタスクを確実にこなすことが仕事の成果になりがちだからであり、社会人経験を重ねるほど成果に対する責任が重くなり、目標の達成こそが成果になるからだと考えられます。
待ちは待つものでなく解消するもの
『待ち』を単なる待ちにしない例を、つい最近体験しました。
先日、生命保険に加入するかどうかを検討する機会があり、保険の外交員の方と話したのですが、打ち合わせの場で結論を出せず、一旦私が持ち帰って検討することになりました。保険の外交員の方にとっては『待ち』の状態となったわけです。
私としては、他にやるべきことがいろいろあり、また、早急に加入しなくても良いもののため、つい放置してしまっていました。ただ、その方は、しつこさを感じさせない程度に電話を掛けてきて、ご検討状況はいかがですか、ご不明な点はないですかと聞いてきてくれました。
また、先日ようやく契約を結んだのですが、提案してもらった複数のプランのうち一つだけ加入し、別のプランは数年後に検討することにしました。
すると、その週末に一通の封書が送られてきて、先日のお礼と、手作りの通信紙が入っていました。
別のプランは、そもそも入るかどうかも分からないものですので、一見すると無駄なことをしているように思えますが、少なくとも手紙を受け取った私は、受け取るたびに、そういえばあれを考えなきゃなと思い出します。
数年後にあるかどうか分からない『待ち』を無為に過ごすのではなく、待ちを解消するための方法を考え、すぐに行動するその姿勢には自分も見習わねばと思いました。
キャリアも待ちでは何も始まらない
キャリアの話にも、『待ち』の話は通じるかと思います。
『本当はこういう仕事をしたいんです』という思いは、誰しも多かれ少なかれ持っておられると思います。これはいわば『待ち』の状態です。
その状態の時に、ただ待つだけではほとんどの場合、何も進みません。
例えば、上司に異動やプロジェクト変更を掛け合ってみるとか、社内で勉強会やタスクフォースを立ち上げるとか、自分でプライベートを削って何かをやるとか、カンファレンスやセミナー等の外部の集まりに参加するとか、何かの研修を受けるとか、資格試験の勉強をするとか・・・そんな『待ち』を解消向けた努力が必要です。
もちろん、直ぐには状況が変わらないかも知れません。ただ、そういった少しずつの積み重ねが、いつの間にか大きな差となり、待ちの解消タイミングが大きく変わってきます。そして、実際に一つ一つの待ちが短い人ほど、スムーズにキャリアアップしていると思います。
楽天の創業者である三木谷氏は、「1.01の365乗はいくつになるか計算してみるといい。1日1%のわずかな改善であっても、1年続ければ元の37倍以上になるのだ。」という話をされています(三木谷浩史著『成功のコンセプト』より)。地道な積み重ねが大きな差になるということを端的に言い表している言葉だと思います。
『待ち』を果報は寝て待ての姿勢で過ごすか、『待ち』を解消するためにアクションを起こすか。高い成果を出したい、スピーディーにキャリアアップしたい、夢を実現したい等々、成し遂げたい何かがあるならば、待ちを無くすための工夫を日々行って頂くのが良いと思います。