転職活動は現職の会社に秘密で行います。よほど信頼できる友人か限られた人脈の中でしか相談する方はいません。なかなか客観的な情報を得にくいのが現実です。このような中で犯しやすい3つの誤りを挙げてみます。
1)入社時の年収だけで会社選択
例えば、現在の年収500万円。2社から内定。A社の提示年収は450万円。B社の提示年収は550万円。100万円も違います。当然B社を選ぶのが正解のように思えます。
しかし、本当にそうでしょうか。この方の年収は経験内容から見て500万円は高いと思われます。
経験内容から見て450万円が妥当と考えます。A社の給与水準は決して低くありません。適切なオファーと思われます。また、この会社は国内大手SIerであり大規模開発、上流工程の経験を積むことができ5年後にはこの会社での経験は非常に市場価値が出ます。年収も5年間でみた場合はB社同等以上と予測されます。
一方、B社は新卒採用も中途採用でも初年度年収が高くて有名です。しかし、次年度は下がる場合もあります。または下がらなくとも数年昇給がないということが多い会社です。また、生存競争の激しいことでも有名です。高いオファーには理由があります。
もちろん、単純に企業の年収水準の差による場合もあります。その場合は素直に年収の差で選ぶということも問題ないでしょう。
どちらを選択するかの正解はありません。しかし、提示された初年度の年収だけで会社を選択するのは誤りです。折角の成長のチャンスを逃す可能性もあります。年収を考えるときには単純に初年度の提示年収で考えるべきではなく、長期的スパンで考えた上で最終選択すべきです。
2)ベンチャー企業の誤った認識
ベンチャー企業というと一律に偏った認識をする方がいます。その例を挙げてみます。
ベンチャーは危ない:
創業間もない会社は倒産、廃業のリスクはあります。しかし大化けする可能性もあるのです。今の時代、大企業は定年まで安心と思う方がむしろリスクです。それは大手電機メーカを見ればわかります。40歳で希望退職を迫られた方がベンチャーの倒産より怖い現実があります。なぜなら若いうちの挑戦はやり直しがきくからです。
ベンチャーは幅広く仕事ができる:
ベンチャーの場合、責任範囲や仕事の範囲は企業の業態と採用ポジションで大きく変わります。幅広く権限が任される場合もありますし、逆にやることが決まっていて単に加速するためのエンジンである場合もあります。ここは、どのようなビジネスか、どのような仕事をやらして頂けるかをしっかりと把握しないと入社して失敗ということになります。
経営者の熱いラブコールに舞い上がる:
「将来の幹部候補生として採用したい」こんな甘い言葉に舞い上がって良く調べずに入社して1年もたたずに退社した方がいます。「甘い言葉には注意せよ!」です。
3)仕事内容でなく社名で企業選択
3つ目は企業の知名度に迷わされないようにということです。転職について親、配偶者の意見も聞かないといけない場合です。親や配偶者がIT業界に詳しくない場合はどうしても知名度で判断してしまいます。知名度のある会社は良い会社、ということになる可能性があります。または自分でも知名度だけで選んでしまう方もいます。
でも考えてみましょう。重要なことは会社名でなく実際にどのような仕事を行うかです。これからは会社名でなくどのような仕事を行ってきたかが重要なことです。一般には有名な会社でも仕事内容が将来につながらなければキャリアとしては厳しくなります。IT業界は仕事内容でその方の評価をしてくれる素晴らしい業界です。自分のキャリアをアップできるかという視点でしっかり判断しましょう。
<コンサルタント T.I>