失敗自慢なら話しやすいはず
面接でよく出る質問に「これまでの仕事で失敗したエピソード」というお決まりクエスチョンがあります。ITの現場であれば、失敗談は事足りるのでしょう。この質問には皆さん苦労する事無く、スラスラ回答している印象があります。
ただ、面接官が失敗談を聞く背景には大きく2つのポイントがあります。失敗談から、その人の成長曲線が分かるのです。
まず一つ目のポイントはどれほどの火事場をみて来たのか、その実体験に関心を持たれています。どれだけ大変な“苦境”を味わい、試練の時に泥臭く対応してきたのか、その実行力を知りたがっています。また、精神的負荷の高い状況での冷静な判断力など、メンタルタフネスもみられています。
失敗から、教訓を得られているのか
ただ、もう一つ別の大事な観点があります。手痛い失敗をそれで終わらせず、後日正確に検証して自分の血肉へ還元出来ているかという点。もっと言えば、失敗の中から本質的な問題を見つけ出し、それを日々の仕事に生かすべく、云わば「教訓」としてフィードバック出来ているのかという点です。
教訓の抽出とは何か。それはつまり、1の失敗から1を学ぶ人にあらず。1の失敗から10を学べる人を指します。失敗の事象から本質的な原因を確認する事が出来て、それに対する包括的な対策を導き出すという論理です。以下、2つの失敗から得た学びの例です。
【例1】(1の失敗から1の学び)
失敗 | システムの品質に問題があった |
---|---|
原因 | レビューで指摘漏れがあった |
教訓 | レビューをしっかりやる |
【例2】(1の失敗から10の学び)
失敗 | システムの品質に問題があった |
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原因 | 品質に関する計画や指標が無く、レビュー等は各個人のやり方に依存していた |
教訓 | システムやPJの特性に応じて、品質に関する計画を立てる |
変えるべきなのは業務か、自分か
失敗談は、ただ大きな失敗(事故)を聞かれているのではありません。失敗から何を学び、今日の自分を築く礎としたのかを確認されているのです。
「その失敗から自分の業務をどう変えたのか」
よりも、
「その失敗から自分がどう変わったのか」
という点に関心を持たれているのです。
失敗の大小に限らず、どんな些細なことでも学びの姿勢を恒常的に持てる、謙虚な人間でありたいと私も思っています。