転職の一番の壁は、実は内にあった、なんてことも
企業情報を調べ、応募書類を一所懸命に作り、入念に面接対策を練り、辛い面接を通過して、ようやく内定を獲得、やったー!となっても、最後の最後で思わぬ壁に阻まれることがあります。それは、家族の同意を得られない、というケースです。
家族だから後で話せば分かってくれるよ、と考える方も少なくないようですが、いくら家族といえども、常にみなさんの後押しをしてくれる訳ではありません。普段は意見を尊重してくれていても、転職をすると働き方も年収も変わるなど、生活に直接的にインパクトがありますので、その転職がチャレンジングであるほど、反対される可能性が高くなります。
家族の反対にあって元の木阿弥にならないために
転職活動は、時間的にも精神的にも負荷のかかるものになります。そのため、出来れば家族の反対にあって元の木阿弥にならないように、事前に手を打っておきたいところです。
まず、家族に黙って転職活動を進めるのではなく、出来れば転職活動を始めるにあたり、転職を考えているということをご家族に話しておいた方が良いでしょう。なぜ転職したいと思ったのか、転職して何をしたいと思っているか、そのためにどういうところで働きたいと思っているかといった点をお伝え下さい。ご家族の方は大抵の場合、業界のことや、転職先として考えている企業のことをご存じないため、手間を惜しまずに説明をして頂きたいと思います。特に、その転職によって家族の生活にどの様なインパクトがあるのか、という点は、必ずお伝え頂きたいと思います。
ここで、「これを言ったら反対されるだろうな・・・」という点を隠しがちですが、どうせあとで直面する問題ですので、反対されそうなことこそ活動の初期段階で伝え、どの程度であれば許容できるかという点も議論しておくと良いと思います。
また、転職活動を始める前段階はクリアしたとしても、選考中に新たな事実・問題点が表れてくることがあります。その場合も、内定を貰ってから話せばいいやと思ってしまわずに、逐一共有をしておきましょう。一つ二つの軽いものならあとで伝えてもよいのですが、四つも五つもありますと聞き手に心理的なストレスがかかり、それが例え軽微な問題点であったとしても拒否されてしまいがちです。
そのため、転職活動前も活動中も、逐一ご家族の方と情報共有やディスカッションをして頂きたいと思います。
家族に反対されたときには
ご家族に黙って転職活動をしていたときはもちろんのこと、上記の様な対応をしたとしても、最後の最後でご家族に反対されることもあります。そして、最終的に、ご家族の意見を全面的に受け入れ、内定を辞退する、というケースも少なくありません。
辞退になるパターンとして一番よくあるのは、仕事を取るか、家族を取るかという二択になってしまうケースです。転職活動をしている当人は転職をしたがっているものの、どちらにするかと詰め寄られてしまうと、多くの方が家族を取りますと言わざるを得ません。
この場合は、二択で議論をするのではなく、仮に転職をするとして、何が問題になり得るのかといったことを、一つ一つ具体的に議論をしていく方法が有効です。例えば、年収が下がると生活が出来ない、という話題があったときに、本当に年収が下がると生活が出来ないのかを検証してみます。すると、意外に無駄使いがあり、出費を抑えれば生活できるということが分かったりします(もちろん、年収ダウンの程度によりますが)。その他の問題点についても、どうにか対処する方法が無いかと考えてみると、何かしら有効な解決策が見つかるケースがほとんどです。そのため、仕事か家庭かの議論になったときは、総論で話すのではなく、各論で具体的な問題点につき一つ一つ丁寧に議論をし、それぞれに対する打ち手を地道に考えてみて頂きたいです。
また、次によくあるパターンとしては、価値観が異なり議論が平行線となるケースです。企業の知名度や大きさが一番重要であるとか、女性が仕事で頑張る必要はないとか、仕事にやり甲斐などは不要でお金だけしっかり稼げばよいなど、ご自身とご家族の価値観が全く違うために、議論が全く進まないことがあります。特に、親子での議論になった場合、社会人経験が少ない人ほど親に従いがちです。
この場合は、時間をかけて議論をしても解決できないことが多く、対応が非常に難しいです。ただ、価値観の違いがあっても家族に迷惑をかけなければ、同意を得られる可能性もあります。そのため、自分の価値観をきちんと家族に伝え、相手の価値観も理解した上で、価値観の違うことが家族にとって不利益をもたらすわけではないこと、むしろ、家族にとっても自分にとってもメリットがあるということを伝えて頂きたいと思います。
家族の幸せを最大にするために
私は、家族一人一人の輝きの総和が、家族の幸せの総量になると思っています。
自分の思いを捨てて家族の反対を受け入れるということも一つの手ではありますが、その場合は自分自身が輝くことができず、結果、家族としての幸せの総量は変わらないか、もしかしたら減るかも知れないと思っています。
家族の幸せを最大にするために、自分の思いも叶えつつ、家族の思いも叶えられるような、そんな方法が無いかを、ご家族と共に時間をかけて考えてみて頂ければと思います。