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第1210章
2025/04/04

キャリアのための信じる力

キャリアアップのモデルケース

キャリアアップの成功例の一つに、専門性を特化したモデルケースがあります。セキュリティやデータ分析、クラウドなどのニーズの高い技術者は特に市場価値が高く、転職市場でも年収が高騰しているのですが、意外と知られていないのが特定プロダクトの経験者です。
私が関わった例として、未経験から運用監視だけをやってきた方でも、6年後には大手企業へのキャリアアップに成功された方がいました。ご経験はSalesforce。2社目からSalesforceの開発に関わると、プロダクトの盛り上がりと合わせて市場価値が高まり、数年後には年収1000万を超える待遇をつかみ取ることに成功しました。
もちろん、この方のキャリアアップ例は稀です。私もこれまで多くの方にSalesforceポジションを打診して来ましたが、多くの方はその専門性を磨くことに対してキャリアが狭まってしまうリスクを感じられ、大胆に尖ることを良しとしない傾向があります。Salesforceのようなプラットフォーム上での開発に特化したエンジニアは、そういった不安を感じるのもよく分かります。多くの転職者が迷った結果、それを避けてJavaなどのスクラッチ開発への道を進むことになっています。

Salesforceの専門性

今から10年以上前の話です。当時まだ珍しかった、Salesforceに特化したITベンチャーの方から話を聞く機会がありました。このSalesforceに限定されたエンジニア仕事に対して、無知な私はなぜそれを選択したのか、その企業の方に質問したことがあります。
「それはSalesforceが世の中に広がると信じているからです。このテクノロジーによって、世の中の開発は劇的に変わる。クライアントからもきっと支持を受けるはずだし、開発者にとっても戻ることは出来ない。自分はSalesforceの可能性を信じているんです」とこの質問に回答されました。Salesforceの力を信じた方が、今の時代に高い市場価値を発揮していると言えるでしょう。信じる力というのは偉大なんです。

何かを信じる人間の力

「サピエンス全史」という人類の歴史を概観した名著があります。数年前に日本でもベストセラーになった人気の本ですが、同書では人間がここまで発達して地球を支配できたのは「虚構を創作する能力」に長けているからと結論付けています。
虚構というと極端に聞こえますが、人間が物事をゼロから考えて創作すること。これをすべて虚構と称しています。虚構とは神話であり、宗教であり、法律であり、イデオロギーです。何かを考え、創造し、それを説いて展開する力があったからこそ、人間には行動する目的や意図が芽生えます。つまり、何かを生み出す力だけでなく、それを信じる力が人間には元々備わっており、その力こそが人類の発展を後押ししてきたのです。

キャリアに対する信念

信じる力といっても、何も特定の宗教や、堅苦しい話ではありません。キャリアにおいては自分の信念と言い換えて良いでしょう。
前述のSalesforceエンジニアの方は、2社目でたまたま参画したSalesforceプロジェクトでこれしかないと思い、そこから資格取得含めてキャリアの研鑚に励んで来られました。加えて大事なのは、基礎的な開発スキルを身に付けたことだと仰っています。
Salesforceに限定せず、当時経験が無かったJavaなどのオブジェクト指向言語を自己学習し、それをSalesforce開発に生かしたのが自身にとって大きかったとのこと。大事なのは信念を持って決めたキャリアに対して、真摯に向き合い覚悟を持ってスキルアップを目指していくことだと言えるでしょう。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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