COLUMN
コラム:転職の技術
第1177章
2024/08/02

転職における交渉のコツ

転職活動をご支援する中、度々企業の人事と交渉する場面があります。特に「年収」、「入社日」等の労働条件に関わる交渉は、転職者の方にとって企業選びの重要な要素ともなり得ますから、前もって希望や理由等を伺い、作戦を立て、交渉を行うよう心がけています。

例:年収交渉

例えば年収交渉は、応募手続きの段階からスタートしています。

個人で転職活動をされている転職者の方の場合、けっこう書類でも面接でも「貴社規定に従います。」と意思表示をされる方が多いですが、正直、応募段階から転職先を決める条件で年収のウェイトが高いならば、最初から本音の希望年収(内定が出ても辞退する最低額)を提示したほうが良いです。

なぜなら選考中、一貫して「貴社規定に従います。」と言っていたにも関わらず、内定が出た途端、高い希望年収を出すというのは企業側もびっくりしますし、不自然すぎてネガティブな印象を持たれかねません。(イメージ的には結婚した途端、パートナーの態度が変わるようなものです。)
またそれ以前に、企業側も転職者の方の希望年収で採用ができるか、という視点でも選考を行ってくださいますから、「貴社規定に従います。」と言い続けたことで、却って希望年収を叶える機会を自分から手放すことに繋がるわけです。

勿論、企業側も基本は現職年収を考慮の上、オファー年収を考えてくれます。しかし最低限、現職年収から下げたくないと思うならば、しっかり応募書類、あるいは応募手続き段階から、「希望年収:現職同等以上」と意思表示をする方が良いでしょう。

弊社としても、上記のような背景を踏まえ、初回面談時や応募書類作成時から、転職者の方には最低希望年収や本音の希望年収を必ず確認するようにしています。

大事なのは「内部承認」が下りる伝え方

とはいえ、あまりにも現職年収と乖離のある高い希望年収をお伝えするのも、日本人の性格、日本の中途採用の考え方的に良くありません。

ではどう伝えるかですが、大事なのは、転職者の方に出す労働条件の「最終決定者」からOKを頂ける内容で、カウンターパートである人事の方にお話をすることです。

人事の方は、会社から出されている採用目標を元に採用活動をされていますから、その目標を達成すべく、沢山の方を採用したいと思っておりますし、内定を出した方には是非入社して頂きたいとお考えです。故に、転職者の味方であり、出来るだけ転職者の希望を叶え、出来るだけ気持ちよくご入社頂けるよう、動いてくれます。

ただ人事の方にも立場がありますし、何より労働条件を決める最終決定者は、カウンターパートである人事の方ではなく、さらに上位の人事部長等です。
そのため、希望を叶えるには、味方である人事の方が最終決定者から承認を得て頂けるよう、論理的且つ効果的な提案(最終決定者の方を説得するためのネタ)を用意する必要があるわけです。

転職における交渉も、ビジネスにおける交渉も根本は同じ

この交渉の考え方は、転職支援での交渉だけでなく、どんなビジネスシーンでも同じだと思います。自分の希望をただゴリ押しするのではなく、相手の立場を考え、何を伝えれば相手にメリットを感じて頂けるのか、どうすれば最終決定者に納得して承認を頂けるのか、を考えることが大切です。

なお、冒頭でお伝えした取り、弊社も出来るだけ希望を叶えた上で気持ちの良い転職をして頂けるよう、日々企業とやり取りを行っております。
ご支援時には本音のご希望をしっかり伺い、その希望を叶えるための戦略を転職者の方と一緒に考え、良い結果を得られるようご支援をさせて頂いておりますので、何かあれば遠慮なく、担当コンサルタントにご相談頂ければと思います。

筆者 明神 江里子
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