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第1174章
2024/07/12

なぜ働いていると本が読めなくなるのか。それでもなぜ本が読みたいのか。

年を重ねて減る読書

読書は元々好きで、自宅にもそれなりに大きい本棚を構えています。理系出身でまったく読んでいなかった学生時代を経て、20代から読書量が増えてきました。
最初は推理小説や海外文学などを中心に、映画の解説本やエッセイ、旅行記などを読みふけっていました。20代後半にビジネススクールに通ったのをきっかけに、ビジネス書が増えていきます。当時は仕事もかなり忙しかったのですが、今の数倍は読んでいました。それから10年以上が経ち、気が付くと徐々に減っていく読書の時間・・・。
当然、忙しければ読書に時間の時間も減ると思うのですが、若い時の方がハードワーク環境にいました。また、今も本は読まなくてもインターネットは見ているんです。年を取るとそういうものなのかなぁと、積み上がる未読本を横目にぼんやり考えていました。

なぜ働いていると本が読めなくなるのか

そんな中、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という今の自分にマッチした興味深い本と出合いました。
同書の特徴は、明治時代から現代に掛けて日本人が読書にどう向き合ってきたのか、時代背景や当時のヒット作をなぞらえて記載している点です。サラリーマンが司馬遼太郎に夢中になっていた時代を経て、90年代から自己啓発書ブームに入ります。自己啓発書には、自分の考えや行動次第で(自分にとっての)世界を変える術が記載されています。そこには歴史や社会とオーバーラップしたロマンもストーリーもなく、全ては自分次第で人生を切り拓けるのです。人生における仕事の比重が高まって行く中、自己啓発書が日本に定着し始めるのです。
私自身も、30歳前後に自己啓発書を何冊も読みました。最新のものからクラシック本まで広く読み漁ったのですが、どんなに本を読んだとしても、それを上手く自分の人生にフィードバック出来なければ意味が無いと徐々に悟り始めました。本を読んで知識を増やすだけではダメだと思ったのです。
その後は自己啓発書を離れ、ノンフィクションを中心に歴史や経済、特定業界、テクノロジーなどに関する教養本を雑多に読んでいくことになるのですが、そういった本も徐々に読み進める力が湧いてこなくなっています・・・。

それでもなぜ本が読みたいのか

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』には、読書には知りたい目的以外の情報も頭に入れることになり、それは知識を得る上でのノイズになると記されています。一方、最短距離で目的の情報にたどり着けるインターネットには、ノイズはありません。コスパもタイパも良く、効率的に知りたい情報にアプローチ出来るのが我々が親しんだインターネットなのです。
一方で、読書をすると負荷的な情報や文脈・背景などを多方面に知ることになり、それは読み進める上での大きな負担になります。知識を得るには多大なノイズが伴うのですが、その付加的な知識こそが教養として身に付くのです。
私がなぜ読書をするのかと考えると、本によって知見を広げたり、感情を動かされることで、自身の考えを深めることにあると思っています。
自己啓発書は今も売れ続け、書籍における一大ヒットコンテンツになっていますが、今の私にとっては自己に閉じた内容より、世界に繋がる知識や教養を知りたいという知識欲が、それでも読書をしたいと思う源泉になっています。

参考文献:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」三宅 香帆 著

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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