ベンダーフリーが絶対に必要か
「ベンダーフリーで良いものを提案したいから、コンサルを希望する」という方とお会いすることがあります。特定製品に縛られた提案によって、構築されたシステムの使い勝手が悪く、想定以上にコストも悪い。お客にとってもベンダーにとっても不幸な結果を招くトラブルは少なからず経験をした方も多いはずで、その思い自体はよく分かります。ただ、果たしてベンダーフリーでの提案が、本当に価値のあるものかと言われると疑問です。
実際、今の大手コンサルティングファームにはベンダー別のテクノロジー部署がほぼ必ず存在しています。デファクトになったITツールやプラットフォームは、既に特定業務における最適解になっており、必ずしもベンダーフリーである必要性はなくなっています。つまり、コンサルティングファームでも競争力のあるベンダーとのパートナーシップは強固で、特定のIT製品/プラットフォームサービスがコンサルをする上でなくてはならない存在になっているのです。最適な製品を血眼になって探すことより、特定製品を如何に上手く使いこなし、顧客の業務変革を推進・伴走することの方が重要になってきています。
テクノロジーがイノベーションを生み出す
これはプラットフォームだけに限った話ではありません。コンサルティングにおいても、最新テクノロジーを土台とした業務変革や事業創出が増えてきています。顧客起点で個社ごとに最適なコンサルティングプランを描くだけではなく、テクノロジーの潮流を活かして新規事業を作り上げケースが徐々に増えてきています。
IoTやAIだけに限らず、スマートデバイスやAR/VR、OpenAPI、ローコードなど、扱う技術は多岐に渡ります。それら技術を起点として生み出したサービスが、業界におけるイノベーションをお越し、従来存在していた課題を覆していく。そういったテクノロジーベースの事業創出型のコンサルティングが増えてきています。
コンサルティングファームのデジタル部門は、かつてはITコンサル部門と同列で存在していました。テクノロジーという文脈、つまり技術の構築リード役として見られていたのです。それが、今はビジネスコンサル部門と同一組織になっている企業もあります。それはつまり、ビジネス戦略・企画構想を創り上げる段階で、デジタルテクノロジーが欠かせない要素になっている。という現れなのでしょう。
技術を知った人材が世の中を変えていく
より中長期的な研究技術を活用していく「ディープテック」というキーワードもあります。空型モビリティ(空飛ぶクルマ)やバイオテクノロジー、クリーンエネルギーなど、研究段階や実証実験フェーズの技術を、ビジネスへと繋げていくこと動きが活発になって来ています。研究機関やベンチャー企業との連携によって、新たなサービスが世の中に生み出される。それもテクノロジーが源泉となり、イノベーションを生み出しているのです。
技術に強い人材/デジタルに強い人材が、世の中を変えていく時代になって来ました。