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第1167章
2024/05/24

エンジニアに求められる「ビジネス感覚」

先日、とある企業様との打ち合わせにて、「ビジネス感覚を持つエンジニアの方を採用したい」というお話を頂きました。この「ビジネス感覚」という言葉、抽象的で分かりにくい一方、先述したような企業様との打ち合わせの場だけでなく、面接でのNG理由としてもよく出てきます。

そこで今回は、企業がエンジニアに求める「ビジネス感覚」とは何か、面接ではどのように確認されるのかを解説していきます。

ビジネス感覚とは

「ビジネス感覚」という言葉を別の言葉で言い換えるならば、「自社および顧客の商売を意識できる事」だと思います。

どんなシステムおよびサービスであっても、必ずユーザーがいます。そして、それらのユーザーに提供するシステムおよびサービス開発をすることで、IT企業はお金を稼いでいます。
つまり、システムおよびサービスを開発する側が、いくら「これは良いシステムだ!」と強く主張しても、ユーザーに「便利だ」「良いシステムだ」と思って頂けなければ、企業は売り上げを出すことが出来ないわけです。

故に、エンジニアとして必要な「ビジネス感覚」は、「ユーザーにとってより良いシステムおよびサービスを開発する事」であり、ひいては「ユーザーが何のために、どういう商売・目的で利用するシステムかを理解している事」だと思う次第です。

ビジネス感覚の有無はどのように確認されるか

では、面接ではどのようにビジネス感覚があるかを確認されるかですが、ポイントは以下の2点と考えています。

① 受け身の姿勢で仕事をしていないか

コンサルティングファームや1次請けの企業に所属をされていて、常に顧客の前に立ち、悩みを聞いて解決策の提案を行っている方については、ビジネス感覚が身に着いている方が多いため、それを問うような質問は多くはありません。

ただ、コンサルティングファームや1次請けの企業に所属をされていてもメンバークラスの方であったり、2次請け以降の企業に所属をされている場合、基本的にタスクが上位者や上位企業から降りてきて、指示されたことを忠実に実行するという作業者的な役割になってしまいがちです。

しかし例えばWeb系企業などの、顔の見えない大量のユーザーに対して自社サービスを提供している企業では、顧客からではなく、自分たちで自社サービスの課題を見つけて改善していく必要がありますから、面接では、自分発信で課題を見つけて解決してきたかどうか、つまり、受け身でないかどうか、という視点で質問を受けることになります。そこで、自発的に行動できていない方は、ビジネス感覚に乏しい、ということでお見送りになってしまいます。

勿論、例として挙げたWeb系企業に限らず、SIerやコンサルティングファームであっても、先述したような「受け身の姿勢で業務を進めていないか」という観点での質疑応答が、ビジネス感覚を問う質問として出てきやすいです。

② 企業への志望動機

意外に思われるかもしれませんが、企業への志望動機でも、ビジネス感覚の有無が確認されます。

志望動機で聞かれている内容は、当然、その企業を志望する理由ですが、面接準備の時に転職者の方に志望動機をお伺いすると、「キャリアアップできると思ったから」「1次請けだから」「安定且つ長期に働きやすいと思ったから」等、ご自身の転職理由、キャリアの希望に紐づけて話す方が結構多いです。

確かに「転職理由を満たせる」というのは、志望動機の1つになり得ます。間違いではありません。しかし、企業側としては「転職理由を満たせる」だけでは志望動機として物足りないと考えています。

なぜなら、「転職理由を満たせる」だけで企業を選んでいる場合、自社の先にいるユーザーへの興味はなく、自分自身のキャリアにしか興味がない=「ビジネス感覚」がない、という風に見えてしまうからです。

先ほどもお伝えした通り、IT企業はシステムおよびサービスを利用するユーザーにとって便利なものを提供する事で対価を得ています。他者(ユーザー)への貢献意識が感じられなければ、IT企業で求められる成果は出せない、活躍が難しいと、企業側は考えているとご認識ください。

余談ですが、日本には「転職理由を満たせる」優良企業が数多くあります。それらの中で、「なぜ敢えて弊社への応募を決められたのか」が、企業が知りたい志望動機とも言えますから、「ビジネス感覚」の話に関係なく、志望動機で「転職理由を満たせる」という話のみをしてしまうのは避けたほうが良いでしょう。

「ビジネス感覚」を身に着けるには

相対する顧客(ユーザー)の事を意識し、顧客の業務や課題を理解する事が出来ればベストですが、先ずは、身近なチームのメンバーの事を意識し、その方々に貢献するにはどうすべきかを考える事からスタートしても大丈夫です。

一番大事なことは、自分本位にならないことだと思いますし、身近な人への貢献が積み重なって、最終的に社会への貢献にも繋がります。

日々、自分がどうなりたいかだけでなく、自分の能力を他者にどう提供し、貢献していきたいと思うかもセットで考えていきましょう。

筆者 明神 江里子
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