先日の食事会から
先日、弊社のシステムを開発してくれているベンダーの担当エンジニア:Tさんと食事をする機会がありました。大阪在住の30代の方で、普段はリモートで作業をしてくれています。3年ほど前からのお付き合いなのですが、この方に担当していただいて本当に良かったと、厚く信頼しています。
依頼をする当時、弊社の基幹システムはリプレースの必要性を迎えていたのですが、既存ベンダーからの変更を考えていました。弊社のような小さい企業には、情報システムの専任担当はいません。私が業務の傍ら、既存システムの仕様を紐解いて伝えて、リプレースに向けた要件を取り纏めました。正直、伝える要望も曖昧ですし、仕様も抜けている部分もたくさんあったのですが、それをちゃんと受け止めて、細かい部分を一緒に考えながらゼロから作ってくれたのがTさんです。
エンジニアとしての2つの視点
私がTさんを信頼出来ると思うのは、「ユーザー視点」と「技術視点」。この2つの視点を持っている点です。
「ユーザー視点」で言うと、要望に対しては常に「ユーザーはもっと○○な使い方をするのでは?」「転職支援をするにあたって○○のケースもあるのでは?」と、業務に踏み込んで一緒にプロセスを考えてくれています。もちろんその認識が違うケースもありますが、システムだけでなく使い方や提供するサービスそのものまでを理解していただいた結果、出来上がった機能に対する違和感が圧倒的に少ないのです。
「技術視点」は、要望に対してリーズナブルな実現方法を即座に考えてくれます。これは技術の裏付けが無いと出来ないことですが、どういう方向性で仕様を考えれば一番効率的に開発出来るのか。それを分かりやすく教えてくれるので、発注者側としても今後の機能拡張を考えやすいのです。
平たく言えばコンサルティング力と技術力。この2つを弊社のサイズ感に合わせて上手く提供していただけています。ただ食事の場で知ったのですが、なんとITエンジニアとしての現場経験が極めて短い方でした。
エンジニアのバックボーン
エンジニアとしての実務経験はまだ数年。弊社のシステムを担当し始めていただいた時には、まだまだ駆け出しで、信じられないことにほぼ初めてのプロジェクトだったようです。発注者側として私も色々なエンジニアさんと会話してきましたが、Tさんはてっきり相当経験を積んだ猛者だと思っていました。修羅場を幾つか潜り抜け、色々なケースを経験してきたエンジニアでないと語れないような話もしてくれるのです。でも実際は、エンジニア以外の経験や知見で、それを成り立たせていました。
一つは前職経験。エンジニアになる前は経理や総務など、企業の間接業務を一通り担当されていて、Tさんは社内の色々な業務オペレーションに関わっていました。また、時にはちょっとした業務用ツールも作っていたようで、ユーザー目線で業務の効率化を常に行っていたのです。これがTさんの「ユーザー視点」の源流にあったのです。当然、社内のあらゆる人たちと会話をする役割だったため、折衝力もそこで鍛えられています。
もう一つは自己学習。前職時代でのツール開発から、徐々にプログラミングを独学で学び始めたTさん。Rubyの勉強会に積極的に参加し、熟練のエンジニアたちに交じって技術を吸収したそうです。そこでエンジニアの師匠となる今の会社の代表と出会い、技術の後ろ盾を得て、そこからスクスクと成長。今では色々なコミュニティにも参加し、エンジニアとして腕を磨いているそうです。
今の時代らしいエンジニアキャリア
エンジニアの人手不足が叫ばれ、各社の人材獲得競争も過熱しています。エンジニアの労働人口拡大に向けて、きっとTさんのようにやる気次第でエンジニアとして第二の人生を送る方も今後増えるでしょう。以前と比べて勉強もしやすく、環境も用意しやすい時代です。教材だって無料で色々なものにアプローチ出来ます。
加えて、異業種からキャリアチェンジされる方にとっては、前職の経験値も絶対にエンジニアの下地になります。20代・30代で得たビジネスパーソンとしての経験値が、その人にしかないエンジニアとしての強みになるのでしょう。