転職活動においてのゴールはなんでしょうか。転職先を決めること、でしょうか。いいえ、その先のご自身のキャリアを納得のいくものにすることです。そのためには、自己理解を深める、中長期キャリアプランを考えるという2つが大事になってきます。
転職=現職から逃れたいだけではいけない
先日、ご支援していた方で転職活動を途中で終了された方がいらっしゃいました。その方は20代前半の若手の方だったのですが、現職にいてはこれ以上スキルアップができないという思いから転職を決めておられ、意欲的に活動をされていました。実際に面接にも進んでおり、さあここからという時だったのですが「転職活動を終了したい」とご連絡をいただきました。理由は「本当に転職したいのか、転職でなにを実現したいのかわからなくなった」ということでした。
転職活動を始められた当初は、会社の都合でやりたい案件ができない、経験が積めないということがあり、じゃあ転職するしかないよねということでスタートをされました。ただ、面接で必ず聞かれる質問「なぜ転職するのですか?」という転職理由について、何回も答えているうちにあれ?と思うことがあったようです。面接準備もばっちりしていたのでそつなく答えられてはいたものの、なぜかしっくりこず上辺だけのような感じもしていて、面接官にも納得してもらえてないなという感覚がおありでした。
恐らくその理由としては、「早く転職先を決めたい」「とにかく転職」という風に転職すること自体が目的になってしまっていたように感じます。元々、転職意欲は高くスキルアップしたいという意思の強い方でした。現職のどうしようもない会社都合というのがきっかけではあったのですが、=現職への不満が転職したい理由になっており、そこから早く抜け出したいという気持ちも大きかったのかなと思います。
ただそのようなネガティブ要素だけの転職理由というのは、面接では基本的にNGです。あくまでも自分がどうなりたいか、転職して何をしたいかということに置き換えて伝える必要があります。そうなったときに、あまり自分の中で納得のいく答えというのが出てきておらず、あれ?と思うようになられたのかなと思います。
転職する際に考えた方が良い2つのポイント
そこでこの方に不足していたこととして出てくるのが「自己理解不足」と「中長期キャリアプラン不足」の2点です。自己理解不足という点では、自分の強みやスキルについての洗い出しはできていたものの、自分にとって大事な価値観というのが分かっておらず、軸について具体的に落とし込めていなかったのかなと思います。
もう1つ、中長期キャリアプランというのはまだ社会人経験も浅い方でしたのでなかなか想像がつくものでは無いかなとも思いますが、やはり転職をする、キャリアを選択するという節目においては重要なポイントになるものです。私はこの2つについて考えを整理するとき、究極”自分が死ぬときにどうありたいか”というのを考えていただくのがいいかなと思っています。社会人にとって仕事というのが人生の大半を占めるのは間違いないとは思いますが、仕事だけが全てではありません。人生を終えるときにこんな感情で終えたいな、こんな人生だったらいいなということを考えていただくことで、それを実現するためにはどんなキャリアを歩んでいきたいかというのが見えてくると思っています。
実際、この方にもこのような質問をさせていただき、結果的には転職活動を一旦終了するということに至りました。まだ現職でやれるべきことは残っていると感じ、今までお世話になった会社に対しても成果として見える形での恩返しをしてから自身の次のキャリアを改めて考えたいという風に思われたようです。私としてはこの決断は非常に良いものだと思いもちろん尊重させていただきましたし、転職は達成されませんでしたが、この方の人生としては非常に納得のいく経験をされたのではないかなと思っております。まさに、転職がゴールにはならなくてよかったなと感じました。
中長期キャリアプランの重要性
今回、エピソードとして話させていただいたのは20代前半の若手の方ではありますが、人生100年時代と言われる今、中高年の方の転職というのも増えてきているなと感じております。実際に転職を決められている方もいらっしゃいますが、その方たちも自分の中長期キャリアプランというのを都度更新されて、それを追い求めて行動されてます。もちろん、ずっと常に先を見据えた行動をし続けるというのも疲れてくることはあるかもしれません。なので頑張りすぎるというのは良くないです。
ただ、転職活動において転職が目的になってしまわないために、転職というのが人生の納得のいく選択になるようには、中長期キャリアプランというのを考えて行動をしていただくことをオススメいたします。