今月から新年度に入り、通勤時には新入社員の方々を見かける時期になりました。自分が新入社員だったのは今から15年前。上京、新社会人という期待、自由な学生生活から規則正しい生活への適応、最初の給料で両親に蟹を送ったことなど、今となっては初々しい記憶です。
新社会人の方々は余程のことがない限り今はまだ転職などは考えず、まずは現職で何か1つでも結果を出すこと、自己研鑽で何か1つでも同期社員と異なる知識を身に付けることを目標に、まずは3年くらい仕事に向き合ってみられると良いと思います。
15年前の自分に助言するなら
15年前の新社会人の自分に何か助言をするとすれば、月並みですが「広く知識を入れる事」を助言します。入社して2~3年はシステムエンジニアの仕事に慣れるのに精一杯でしたが、20代後半頃に少し余裕が出てきて、将来のキャリアや人間力ということを考える様になりました。今となってはもっと早く広く知識を得ておけば…と思いますが、それは今後の40代の自分で実現していこうと考えています。
「どうしようもない事」への対応
そんな30代後半の自分が最近出逢った言葉に、「変えられないものを受け入れる心の静けさと、変えられるものを変える勇気と、その両者を見分ける叡智を与えたまえ」という言葉があります。これはアメリカの神学者の祈りの言葉で、「ニーバーの祈り」と呼ばれているそうです。
15年前の自分への助言でこの言葉を送りたいなと思いましたが、若く経験が浅い時期に送っても果たして響くか…という気もします。ただ、冷静に考えてみると、日常で使える良い考え方だなと学びになりました。
「諦めない」「頑張る」「負けない」「積極的」「変革」など、力強く能動的な言動は、転職活動時の面接でも、会社組織や仕事でもアピールになりますし、自分も20代の頃は力強く能動的な言動に価値があると考えていました。ところが、人生には「どうしようもない事」というものが当たり前に存在します。
自分を成長させるために力強く挑戦して負荷をかけるということは、縮んだバネが反発して伸びる様に必要なことですが、それだけが正しいと決めつけてしまうと「どうしようもない事」に直面した時に混乱したり、心や気持ちが折れてしまったり、周囲とハレーションを起こしたりなど、力強く能動的な言動が逆に自分を苦しめる場合もあります。そんな時に、この言葉は1つの解決方法として参考になるのではと思いました。
「変えられないもの」と「変えられるもの」を見分ける叡智
「どうしようもない事」というのは、つまり「自分では変えられないもの」です。過去や他人の心、自分が持てる権限や運など、自分では変えられないものは様々です。それでも抗うことで成長できる場合もありますが、先程の記載の様に自分を苦しめる場合もあります。
そんな時に今回の言葉は、変えられないものに執着して悩んで時間を費やすことだけが正解だろうか、それよりも他の変えられるものに意識を向けて時間を費やす方が今はよいのではないか、という1つの選択肢を示してくれます。この考えは私の心に少し余裕を持たせてくれました。
ただし、まずは変えられるものと変えられないものの判別をしなければなりません。そのために必要な叡智(賢さ)というのは、やはり自分に広く知識を入れて経験も積むことで得られていくのだと思います。そのため、15年前の自分に「広く知識を入れる事」を助言と記載しました。
物事を見分ける叡智は、新社会人だけではなく、社会人15年目の自分にも、25年目のベテランにも、誰にでも必要な賢さであり、時代とともにアップデートをしていく必要があります。また、転職活動においても、企業選択やキャリア選択の際にも有効な武器となります。簡単に身に付けられるものではありませんが、もし何か壁に直面した時に知っておくと良い考えだと感じた新年度の始まりでした。