お見送り理由「考えが浅い」を考える
「考えが浅い」という表現、転職業界ではしばしば悪い意味で使われます。面接結果の連絡で「考えが浅いのでお見送りです」と企業から悲しい連絡がよく来るんですが、これってどんな状態なのかイメージ出来るでしょうか。
考えが浅いと言われる人は、往々にして瞬発力があります。話をする力自体はあるんです。ただ、コミュニケーションを重ねることが難しいと判断されてしまいます。これはITエンジニア/ITコンサルタントにとっては致命的で、むしろ瞬発力が乏しくても正しく会話が出来る人材の方がIT業界では重宝されがちです。これはIT業界の人材採用における特色だと感じます。
では面接のどんな点から、考えが浅いと伝わってしまうのでしょうか。大きくは2つあり一つは「主体性の欠如」、もう一つは「論理的な破綻」です。
正しい回答の前に、自分の考えを伝えること
「企業の志望動機」は、考えの深さが問われるとても良い質問です。企業を調べつつ担当業務のソリューションや業界を確認し、そこに自分との親和性とモチベーションまでを繋げて語る必要があります。企業を知らなければ当然ダメですし、自分のことも整理しておかないと乗り切れません。
ここで大事なのは、自分視点で語ることです。志望動機に向けて皆さん企業の事はちゃんと調べるのですが、意外と自分の視点が定まらないケースが多いのです。そのIT企業が金融業界に強いにせよ、AIに強いにせよ、それは志望動機にはなりません。あなたがそれを選択した理由が必要になるのです。そして、それは企業のホームページには書いていません。あなた自身が自分と向き合って考えるしかないのです。
面接は聞かれた質問に、正しい回答をする場ではありません。自分の考えを回答する場です。自分はどう捉え、どう考えているのか。自分視点での考えを整理し、語らなければならないのです。
この自分視点の考えが根底に無い場合には、回答もどこか表面的に聞こえます。人ごとのような、どこかの軽薄なコメンテーターのような。知っている知識を繋ぎ合わせるだけではなく、そこから自身の仮説や方針、それに向けた準備やビジョン等、自分視点で掘り下げた主体性が重要なのです。
瞬発力だけに頼らない
複雑なケーススタディや具体的な深堀など、面接では難しい質問もたくさんあります。事前にすべて準備することは不可能なため対応力が問われるのですが、見切り発車で話し始めるのは危険です。瞬発的な回答し始めると、どこかで矛盾が発生します。論理的に破綻している回答は、IT業界ではご法度だと思ってください。ロジカルさが乏しい回答は何よりNGです。
またアドリブで回答し始めるも、コアとなる部分が無い表面的な回答になってしまうケースも多々あります。「回答が纏まっていないだけ」なのに、「考えた上で浅い回答となっている」と受け取られてしまいます。時間を掛けてでも、よく考えてから回答しなければなりません。
質問に向き合い、自分の考えを伝えること
面接官はビジネスのプロです。質問に取り繕って回答しようとしても、それはバレてしまいます。とにかく真摯に質問と向き合い、自分の考えを整理しながらつたえるしかないのです。面接で好印象を与えることを意識し過ぎず、自分を正しく理解してもらうことが重要です。