自己分析が有用なケース
キャリアを考える上で、自己分析が大事とよく言われています。自身の経験・知識の棚卸はもちろんのこと、性格面やキャラクターなどを踏まえて、自身にとって「出来る仕事」と「やりたい仕事」を考えること。そこから、転職の方向性を固めていくことが転職においても有効とされており、私も過去に自己分析から取り組まれた方を支援してきました。
一方で、全ての方に自己分析が必要とは思いません。自分が進むべき方向性が既にハッキリしている人や、実現したい未来が具体的になっている方は無理にやらなくて構いません。今まで培ってきたキャリアから一度立ち止まり、今後の方向性をフラットに考えたいという方に有効なアクションなんです。
自己分析の結果、IT業界から離れて異業種へ飛び立つ選択肢もあります。ただ、まったくの異業種への挑戦は当然大きなリスクも存在します。新卒と変わらない立場で年収も新人レベルから再チャレンジとなることを忘れてはなりません。ですので、多くの方はこれまで培った経験がちゃんとベースとなる環境で、且つ新しいキャリアが上積み出来る仕事を選んでいます。
実は同じIT業界の中でも、エンジニア以外の職種が山ほどあるんです。もし今が開発エンジニアであったとしても、その延長線上だけでキャリアを考える必要はありません。業界内で、別の職種に変わってもいいんです。プリセールス、PMO、QAコンサルタント、カスタマーサクセス、プロダクトオーナー、トレーナーなど、エンジニアとは異なる役割の仕事が多数あり、そのいずれも開発経験やエンジニア経験などを高く評価してくれます。そして、これら数ある選択肢の中から、自身にとって最適な道を探す上での指標となるのが自己分析です。
一方で、自己分析をするにも注意が必要です。分析した結果が纏まらず、今後の方向性を見失って活動を辞めてしまう方もたくさん見てきました。
自己分析の目的を見失わない
自己分析の目的を見失ってはなりません。自分の心と向き合うことではなく、あくまで将来に向けたキャリアを考える軸となるよう自己分析をするのです。なので、子供のころや学生時代、またプライベート面を変に掘り下げすぎると、発散した分析結果になりかねません。人間はとても複雑な生き物で、色々な面で二面性があります。自己分析をした結果、自分がどんな仕事に就くべきなのか分からなくなってしまった、、、という悲しいケースもあります。
特に気を付けなければならないのは、自己分析におけるネガティブな面です。出来ないこと、やりたくないここと、苦手なこと等、自分が避けたいことばかりを列挙しても将来のことは見えてきません。
大事なのは、「自身がやりたいこと」や「自身の強みとなっていること」など、ポジティブな面なのです。これを言語化し、考えを成熟させていくことが肝要です。その上で、自身に合う仕事を転職市場と照らし合わせて、じっくり検討していくのです。
人によって時間が掛かるケースもありますが、自己分析がしっかりできていると転職での軸が固まり、活動でも成功率が上がると感じています。今後のキャリアに迷った方は、是非実施してみてください。