新システムのリニューアル
先日、弊社の基幹システムをリニューアルしました。マイページだけでなく、コンサルタントが使うバックオフィスシステムも含めた弊社にとっては一大プロジェクト。準備からリリースまでは1年以上かかりましたが、無事に新システムが稼働し一安心しています。
プロジェクトは難航しました。世のシステムに比べれば小規模なのですが、弊社にはこのシステムが業務の全て。システムの致命傷は即業務の停止に繋がります。私もプロジェクトを管理しましたが、私がエンジニアを引退したのは10年前。昔を思い出しながら、今はすっかり素人の自分で管理し切れるか不安が募りました。特に終盤はバグが頻出し、リリース延伸を繰り返します。何度もテストしましたが、慣れない画面と頻出する障害にすっかり辟易となった私。もうリリース後の多少のバグはしょうがない。それぐらいの気持ちにも陥りました。
ただ、触れば触るほどこのシステムの良さも分かって来ます。実際バグは多かったものの、要件定義に時間をかけた甲斐もありサービスレベルは上がっていると実感出来たのです。このシステムは悪くない。いや、これはむしろ使いやすい、かなり画期的な業務になるのでは?と盲目的に信じ込むようになった私。この時点で、長年使ってきた旧システムへの温情は消えていきます。
そう思えると、何としてもこのシステムをリリースしたい。使ってもらいたいというモチベーションに満ち溢れてきます。怒涛の勢いで運用テストを積み重ね、エンジニア時代よりも熱心にシステムを触り、高い品質でのリリースに漕ぎ着くことが出来ました。新システムで、業務の生産性も上がっています。時間を掛けた要件定義も、間違ってなかったと使い始めて実感しています。
混乱する救出プロジェクトを先導したのは
「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」という映画があります。2018年にタイで発生した、浸水した洞窟に閉じ込められた12人の少年たちをダイバーが救出しに向かうドキュメンタリーです。事件自体は日本でも報道されていたので覚えている方もいると思いますが、これが如何に困難な状況で、リスキーな救出劇だったのかが本作で語られています、
まずこの不測の事態に、プレイヤーだけがワサワサと集まって来ます。政治家、警察、特殊部隊、米軍、遂には何故か僧侶までやってきて現場は大混乱。当初は少年たちを見つけることすら出来ておらず、次第に各部門がヒートアップし、組織同士の統制がまったく取れない最悪のプロジェクト状態に陥っていきます。
そんな状況に現れたのが、世界中のアマチュアダイバー。それも一般的な海ではなく、水中洞窟だけを好んで潜るという物好きなダイバーたちが集まってきたことで、プロジェクトは好転し始めます。ダイバーたちは冷静に洞窟を分析。洞窟内の距離と水量、水の勢い、深さ等を一つ一つ確認し、ロジカルに救出計画を立て始めます。
プロジェクトを動かす志
私がこの映画を観たのが、ちょうどシステムリリースの1ヵ月前でした。タフな状況に落ち着いて対処し、リスクを取って挑戦するという姿勢に勇気をもらいました。
ダイバーたちは消防士や医師等、本業を抱えながらも有志としてタイにやって来ました。そんな彼らの言動に、特殊部隊や米軍、政治家も協力的になっていきます。アマチュアダイバーがプロの仕事をして、プロジェクトが一致団結していくのです。
「人から見ると洞窟潜水は変わった趣味だと思う。自分でも変わり者だと思うが、それでも誇りを持って水中洞窟に潜ってきた。そして、このスキルが初めて誰かの役に立とうとしている。自分にしかない経験が社会に役立てるのなら、喜んで協力したい」ダイバーたちはインタビューでこのように語っていました。
やはりプロジェクトを完遂するのは、強い志なんだと思います。専門家とか素人とか関係ありません。私ももっと早く本気になるべきだったと、本作を観ながら反省しました。
システムリニューアルにあたり、いつも冷静に対応頂いた開発ベンダーさんにも心から感謝しています。エンジニアの方って凄いですね。あれこれお願いする私たちに対して常に冷静に、プロの仕事をしていただけました。今後もより使いやすいシステムを目指して、ブラッシュアップをしていきます。