COLUMN
コラム:転職の技術
  1. IT転職リーベル ホーム
  2. コラム:転職の技術
  3. 年収アップの転職は日本では転職エージェント経由が多い
第1046章
2021/10/29

年収アップの転職は日本では転職エージェント経由が多い

転職活動は基本的に周囲に開示にして実施するというよりも、個人の中に留めて活動していく場合が多いかと思います。その場合、情報収集は個人で集めていくことになりますので、転職市場の全体像や他者の情報を知る機会は少ないのではと思います。

もし転職における全体像や他者の情報を把握されたいということでしたら、1つの参考としてリクルートワークス研究所の様なサイトなどを見ると、様々な調査報告が掲載されているために参考になるかと思います。

その中で「求職トレンド調査2015」という情報は、6年前で少し古い情報にはなるのですが、世界と日本の転職市場を比較した興味深い調査結果になっているため、もしご興味がありましたら参考に見られてみると良いと思います。

国別の転職手段

多くの国では、転職の手段として割合が多いのはインターネット求人サイトということが調査結果から分かります。同じ調査の最新版が出た時は是非見てみたいですが、このトレンドは今でもそこまで変化はないのではと思いますので、まずは転職活動を始める際はインターネットで情報収集が良い手段だと考えます。(昔は新聞や雑誌などが主流でしたがその時代はもう懐かしいですね。笑)

国によって特徴もあり、インドなどは約70%の転職者が家族や知人の紹介で転職しているという結果になっているため、海外で転職活動をされる際にも参考になる調査結果だとも思います。

日本において転職活動の手段として、弊社の様な人材紹介会社経由を選択されている割合は4~5%ですので、この点は我々も努力し、有効手段として選択される様に精進しなければならないと感じております。

転職後の年収の変化

この調査結果も興味深いです。転職後に年収が上がった割合は日本の23%が最下位で、海外と比較すると転職で年収が上がらないという特徴が見られます。これは転職理由の特徴にも関連してくると思いますが、海外では年収アップが転職理由の第一条件の割合が高く、職場環境や人間関係、やりがいなどの優先順位が年収アップに比べて低いのではと想定されます。転職回数も海外ではあまり気にしないという文化的な側面もあり、環境が合わなければまた転職をすれば良いという考えもあるのかもしれません。

一方で、日本の転職の場合は、現在の会社の環境に対する不満改善やキャリアアップという転職理由が多いことや、何度も転職を繰り返していると採用を見送られてしまうという文化的な側面から、長く働けられる様な環境を重視し、年収アップはできれば尚良いという意識が多いことが、この調査結果になっているのではと考えます。

年収アップの転職は日本では転職エージェント経由が実は多い

調査結果の内容から、人材紹介会社経由での転職手段を利用した人の68%が年収アップしたと回答しており、他の手段と比較すると一番割合が多い結果となっています。つまり、個人での応募や家族や知人の紹介での転職よりも、人材紹介会社経由の方が年収アップしているという結果になります。

これも文化的な側面があると思いますが、海外は年収アップが第一条件であるために、たとえ環境が良くても年収が上がらなければ内定が出ても入社しないという判断になるのだと考えます。また、個人個人が年収アップに対する意思が強く、個人で転職活動をしていても、企業に年収についてハッキリ自分の意思を伝え、企業側もそれを理解しているということが特徴に表れていると考えます。

一方で日本の場合は、企業に対して第一条件で年収を出してしまうと、採用しても他社から更に高い年収が提示されたら退職するのではという定着性懸念や、志望理由が薄いという様な理由でお見送りになり、選考で年収の話をするとネガティブな印象を与えてしまうということから、自分では年収アップが言い出しにくいという文化的側面があるのではと考えます。

その背景から、個人での転職活動では年収について言い出しにくく、転職エージェント経由の場合は第三者のエージェントが代わりに年収について企業に意思を伝えてくれるため、日本では転職エージェント経由での転職の方が年収アップの割合が高いという結果になっているのではと考えられます。もちろん、これについては個人で企業に交渉できる力があれば必ずしも該当するわけではありません。また、僅差ではありますがリファーラルだと年収アップして転職できている割合が一番少ないというのも興味深い結果です。

転職活動では、転職市場における全体像やトレンドをおさえて、今回記載の様な客観的な情報もインプットし、自分にあった転職手段を選択されるのも良いのではと考えます。

<参考>
リクルートワークス研究所&ボストンコンサルティンググループ「求職トレンド調査」2015年

筆者 南條 充
#関連記事

関連記事

注目のキーワード: