COLUMN
コラム:転職の技術
第1033章
2021/07/09

あいまい耐性力

前回のコラムでは現代のリーダーに求められるスキルについて記載させていただきました。その中でコンセプチュアルスキルの必要性に触れましたが、面接の際に見られる各スキルで「あいまい耐性力」を見る企業があるのもご存知でしょうか。

耐性と言うと、ストレス耐性などは良く耳にしますし、イメージしやすいと思います。では、あいまい耐性力とは何でしょうか。特に、今の様な予測不可能な社会では、あいまい耐性力を重視する企業も増えています。

予測不可能への対応力

例えば、今のコロナ禍がいつまで続くのか、今後のビジネスはどうなるのかなど、予測が難しい状況や、予測しても予測通りにならない状況など、不透明な状況が続いています。

転職活動において、自分のやりたい事や進みたいキャリアの方向性をある程度固める事は必要です。軸が無いと方向性がぶれてしまうためです。ただし、自分がやりたい事だけを強く出し過ぎると、予測不可能な状況下では、あいまいな状況に対する耐性が無いという理由で、企業とのご縁が無くなる可能性もあります。難しいですよね。

当然、自分のやりたい事や軸が無い人はマイナスなのですが、今の新型コロナの様な外的要因により、入社後にやりたい事が実現できない状況も出てきます。特に、成長中の企業や中小企業、大企業でも新規事業などの新しい取り組みを担うポジションでは、事業の方向性が変化することがあります。この様に予期せぬ変化があった時に、自分はどう対応できるのかを回答できることが大切です。軸を持ちながらも、予測不可能に対するストライクゾーンをどう考えているかが問われます。

細かさや慎重さの回答にも注意

ここも難しいのですが、あまりにも細かい内容を企業に質問したり、神経質なエピソードを話してしまうと、あいまい耐性について懸念を持たれてしまう可能性があります。

壁にぶつかった時に、解決策を考えるのは必要ですが、完璧な解決策が無い問題も多いです。ただし時間は有限です。つまり、いつまで考えるのかを決めなければなりません。あいまい耐性を示す場合は、不透明な状況のままで決断をしなければならない時の覚悟についてどう考えているのかを、論理的に言語化する必要があります。これは、チャレンジや突破力などとも置き換えることができます。

白黒ハッキリできない状況への耐性

決められたマニュアル通りに進める仕事は、指定された通りにミスなく進めることが重要なため、そこにあいまい耐性は求められないでしょう。ただ、この様な仕事は皆様も感じている通り、AIやITの技術が進歩してくると、人がやる必要がなくなる可能性が高いです。

そうなると、人にはマニュアルが無い仕事、白黒ハッキリできない仕事など、イチかゼロかで明確に分けることができない仕事を任される可能性が高いです。つまり、企業から選ばれる人材になるためには、この不透明さへの対応力が重視されることも意識する必要があります。

これまで生きてきて失敗が無いということはまずあり得ないと思います。誰でも失敗はします。自分の経験や実力を上げていくには、挑戦と失敗を重ね、その経験を糧に細かい修正をし、小さな成長を重ねていくことが、遠回りの様で近道だと私は思います。今後、あいまいな事に遭遇したら、成長できるチャンスだとポジティブに捉え、積極的に挑戦と失敗を繰り返して良いと思います。それを繰り返すことで、あいまい耐性力が鍛えられると私は考えます。

筆者 南條 充
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