COLUMN
コラム:転職の技術
第1010章
2021/01/22

自信がない人へ。

優秀なのに自信がない人は多い

最近「なぜ女は男のように自信をもてないのか」という本を読みました。邦訳のタイトルは少し挑戦的ですが、原著は「THE CONFIDENCE CODE」というタイトルで、“自信”について考察している本です。個人的には邦訳よりも原著のタイトルのほうがしっくりきており、元々男女の違いに関する話題はあまり好まなかった(そもそも男女以前に人間それぞれ全然違うと思っている)のですが、転職エージェントとして多くの人とキャリアについてお話していると、「女性は男性に比べると自信がない」と言われて頷いてしまう部分があるのも事実です。企業へのご応募時に「私のスキルで応募しても良いのか?」と心配するのは女性が多く、ご支援中ももっと自信を持ってもいいのに…と思う場面は多々あります。また、かく言う私も自信を持てない女性に含まれているかもしれません。

とはいえ、今回のコラムでは自信の男女差について述べたいわけではありません。むしろ今回は本著における男女差に関する内容は一旦置いておき、本著から得た“自信”に関する情報をお伝えすることで、みなさまが“自信”への理解を深める一助となればと思っております。

自信とは

まず“自信”の定義について、正確に定義しようとすると、学者の中でも意見が割れるようです。本著では複数の心理学者などに意見を聞いた上で、自信は「行動」を伴うもの、と捉え、「自信とは、思考を行動に変換するものである」と定義しています。そして、自信は専門分野に特定されているもの、と考えられています。(例えば、私は数学には自信がありますが、英語には自信がありません、ということもあり得るということです。)

さらに、このような議論で必ず出てくる、生まれか育ちか問題についても本著では言及しています。近年では個人でも手軽に遺伝子検査を受けられるようになって、遺伝子解析の研究も進んでいます。本著が集めた研究結果としては、自信に影響を及ぼすであろうドーパミンコントロールに関係する遺伝子型の違いはたしかにあるようです。しかし、人間そのものが遺伝と環境の相互作用によって形作られているように、遺伝子だけによって自信の有無が決定されるわけではないとも述べています。そして、自信についてはトレーニングすることができると本著ではまとめています。

Just do it

では自信を育ててくれるものは何なのか、どのようにトレーニングすれば良いのかというと、重要なのは「行動すること」、それだけです。また、その行動がリスクを含んでいるときに成功した経験は特に大きな効果をもたらし、自信を育てることを後押しするとのことです。さらに行動するにあたっては失敗を受け入れることも重要な要素なので、失敗しても大丈夫、という心持も必要となります。(もちろん最初から失敗するつもりの行動は違います。)

なんだか禅問答のような答えになってしまいましたが、自信は後からついてくるからまずは行動するべし、と知っているだけでも明るい未来がひらける気がしています。例えば、職場でマネージャーへの昇格を打診されたけど、家庭との両立が難しいのではと迷っている女性は、まずは行動してみる、のスタンスで打診を受けてみるのも良いかもしれません。また、業界トップクラスの企業に内定をもらったけど、その会社の技術力についていけるかどうかで迷っているITエンジニアがいたら、まずは行動してみる、のスタンスで入社を決めても良いかもしれません。たしかに最初は失敗するかもしれませんが、それを乗り越えればきっと(周りから見れば)自信がある女性マネージャー、業界トップクラスのITエンジニアになっているのだと思います。もしかしたら身近にいる、自信があって素敵な先輩もそうやって自信を育ててきたのかもしれません。

最後に、自信を持てない原因のひとつには考えすぎてしまうことがあるようです。真面目で優秀な人ほど深く考えすぎてしまい、なかなか行動に移せないこともありますよね。しかし、ある程度考えたら、まずは行動してみることで自信が育つということも思い出していただければと思います。

※今回は概要をまとめてしまいましたが、紹介した本にはより詳細なトレーニング項目もありましたので、ご興味がある方は参考書籍をご覧くださいませ。

<参考書籍>
CCCメディアハウス『なぜ女は男のように自信をもてないのか』キャティー・ケイ&クレア・シップマン著 田坂苑子訳

筆者 橋本 怜奈
コンサルタント実績
インタビュー記事
資格
  • 国家資格 キャリアコンサルタント
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