注目企業インタビュー

リーベルが探る、注目企業の強みと求める人材像。採用現場の生の声をお届けします。

PwC Japan有限責任監査法人

本質は『デジタルトラストアドバイザー』。  プロフェッショナルとして、デジタル社会に信頼を築くという使命を果たし、  社会の期待に応えたい。 

PwC Japan有限責任監査法人
上席執行役員、パートナー
リスク・アシュアランス部長
公認情報システム監査人(CISA)
綾部 泰二 氏
PwCビジネスアシュアランス合同会社
コンプライアンス・テクニカル・ソリューションズ
リスク・アシュアランス(RA)部
情報処理安全確保支援士
佐生 真由 氏
PwCグローバルネットワークのメンバーファームであるPwC Japan有限責任監査法人(以下、PwC Japan監査法人)は、日本で「監査および保証業務」、非監査業務である「ブローダーアシュアランスサービス」を提供し、PwCビジネスアシュアランス合同会社(以下、PwCビジネスアシュアランス)は会計監査の枠組みを超えて、クライアントのビジネスモデルに適応したサービスを開発・提供している。
近年の社会のデジタル化、ネットワーク化がますます進む中で監査法人への期待も高まり、会計分野以外の保証業務が拡大している。今回、リスク・アシュアランス部の綾部泰二氏(上席執行役員、パートナー/リスク・アシュアランス部長)と、PwCビジネスアシュアランス合同会社に中途入社した佐生真由氏に、その業務、組織構成、やりがい、人材に対する考え方などを聞いた。

※法人名、組織名、役職およびインタビュー内容は取材当時のものです。

会計監査と不可分のシステム監査

PwC Japanグループに含まれる法人は10社以上に及びそれぞれ独立しているが、案件によって組織の垣根を越えて協働、連携してサービス提供、課題解決に当たることも少なくない。

外からはなかなかわかりにくいところもあるので、まず一般的な監査業務について見ておこう。
企業は、財務諸表などの会計書類を、利害関係のない第三者である監査法人(そこに属する公認会計士)に定期的に確認してもらい、意見を表明してもらうことが義務付けられている。これが会計監査で、制度化された法定業務の一つである。

こうした会計上の数字やデータは、現代ではシステムで処理・運用されているため、システム自体の信用にも監査が求められる。これがシステム監査と呼ばれるものだ。
「数字を確認するのは公認会計士ですが、その数字が出てくるまでのシステムや業務プロセスが適正であり、改竄などがないことを担保する仕事が必要になってくるわけです」(綾部氏)。

PwC Japan監査法人のリスク・アシュアランス部門と、PwCビジネスアシュアランスのCompliance Technical Solutions RA部門(CTSR)はシステムに関するアシュアランス業務を担っている。どちらの業務も基本的に変わらないが、違いとしては、前者が総合的な視野でアドバイザリーサービスを提供するのに対し、後者のCTSRは、専門性の高い業務の具体的な遂行に特化していると言える。

ネットワーク化の進展で拡大する監査法人の業務

PwC Japan有限責任監査法人
上席執行役員、パートナー
リスク・アシュアランス部長
公認情報システム監査人(CISA)
綾部 泰二 氏

会計監査が的確に行われて初めて、企業のステークホールダー(取引先、消費者など)は、この企業の財務状況を正しく判断できる。このことは今も昔も変わらない。会計監査はアシュアランスの根幹にある業務とも言える。

一方、近年では、会計監査以外のアシュアランス業務、つまり第三者によって信頼を担保する必要のある業務が拡大している。まだ制度化されていない、ソフトロー的な領域も多い。

背景にはネットワーク化やデジタル化が社会のあらゆる面に広がり、問題やトラブルが発生したときの影響が甚大になっていることがある。

「例えば、クラウドベンダーが攻撃され、障害が発生すれば、影響が何100社以上に及ぶこともあります。身近な例を挙げれば、オンラインミーティングの相手が本当に自分の信じている人なのか、誰も保証していません。また、今、自動運転が普及し始めていますが、従来の車検制度のままでは自動運転車のファームウェアのアップデートなどへの対応は不可能です。このように、信頼を保証しなくてはならない分野が格段に広がっているのです」(綾部氏)。

信頼を付与する専門性

「リスク・アシュアランス」という部署名のため、リスクに目が行きやすいが、綾部氏は、この業務の本質は実は、「トラスト」だと語る。

「私たちを『デジタルトラストアドバイザー』だととらえることもできます。信頼を付与することが私たちの専門性であり、そのためにこそ知識、人材を集積しています」。
信頼(トラスト)という視点から見ると、監査法人による、これからの社会に欠かせないさまざまな業務が見えてくる。 

例えば、信頼の復旧という業務もある。銀行がシステム障害を起こして信頼を失ったとき、再発防止策の有効性を評価することもアシュアランスの一つである。

信頼が失われないようにできることは何か

現在、PwC Japan監査法人も、PwCビジネスアシュアランスも、積極的に中途採用を行っている。これまでの採用者を見てみると、SIerやコンサルファーム出身の人が多く、デジタルツールの開発や、クラウド、データ分析など、多種多様な専門性を持っている。特にCTSRの場合は、専門性を活用して特化した領域で活躍する人は多い。

しかし綾部氏は、中途採用人材に求めているのは必ずしも最新技術ではない、と明言する。言うまでもなく、最新技術はあっという間に陳腐化するからである。「それよりも大切なのは自分が何を成し遂げたいのかを意識していること。現在の社会で、信頼が失われるポイントはいくつもあります。そこでいかに保証するかを考え、そのために必要な技術をキャッチアップする覚悟が求められる。と言っても、あまり大げさに考える必要もありません。仕事の中で自然に身に付いていくので心配は無用です。私自身もそうですが、必要な知識は後から十分身に付けていくことができます」(綾部氏)。

大事にしたいのは、表から明確には見えなくても、社会の裏側で人々の役に立ちたいという思いである。そうした思いを持ち、何より、“自分らしく”働いてほしいと綾部氏は語る。「自分らしく働き、自分の専門性や持ち味を活かしてほしい。さらに言えば、自分の専門性や進路に必要なことは、誰かにお膳立てしてもらうのではなく、自ら準備する気概がほしいと思います。自分のために当社を利用するくらいの気持ちで来てほしいのです」(綾部氏)。

人間を大切による気風が企業力につながっている

PwCビジネスアシュアランス合同会社
コンプライアンス・テクニカル・ソリューションズ
リスク・アシュアランス(RA)部
情報処理安全確保支援士
佐生 真由 氏

PwCビジネスアシュアランスに中途入社したのが佐生真由氏の前職はSIerで、セキュリティの推進・支援業務に携わっていた。「今後のキャリアを模索する中で、監査が選択肢の一つとして浮かんできました」(佐生氏)。きっかけはシステム開発者にチェックリストを出してもらい、それに対してコメントを付けるといった業務を経験したことだ。「このとき自分はこうした細かい仕事が向いている性格ではないかと感じました。インシデントは、会社がきちんと対応していれば防ぐことができると思い、システム監査を手がけている企業を探したのです」(佐生氏)。

エージェントのアドバイスに従い、佐生氏は研修などが充実している法人に絞り転職活動を行った。

「中でも特にPwCビジネスアシュアランスに魅かれたのは、1次面接のときから人間関係を大切にする企業であることを感じたからです。PwCビジネスアシュアランスの最も大きな特色は、“人間の豊かさ”にあると言っても過言ではなく、メンバーの多様性を大切にし、画一的なスタイルを押し付けることがありません。これは前述した「自分らしく働く」風土にもつながっていると思います。」(同)。
佐生氏は入社後、ISMAP関連案件、セキュリティ評価など非会計監査業務中心に携わったが、社内のコーチ(PwC Japanグループでは、上司とは別に評価者兼指導役となる職員がコーチとして付く制度がある)に希望を出し、会計監査業務にも参加している。PwCビジネスアシュアランスでは、さまざまなサービス、業種、クライアントを担当する機会があり、自身の磨きたい専門性を探すことができ、突き詰めることができている。

会計監査の基本から研修で学ぶ

研修制度は充実している。会計監査は法定業務であるため、かなりの量の研修が必須である。「制度は毎年のように改定され、例えば5年前には必要のなかったサイバーリスクの評価が今は求められる、といったことがあるため、PwCでは研修として用意されています。また、こうした標準化されたもの以外に各サービスの特性に合わせた研修があります。」(同)

さらに英会話などの一般教養系の研修、職員が自らの得意な分野を互いに教え合う「プチ勉強会」といったものもあるそうだ。業務以外のおもしろいところでは、筋トレに詳しい職員による「美しい筋肉の作り方」といった講座は大変好評だったということで、そこから仕事一辺倒ではない同社の和やかな雰囲気が伝わってくる。

勤務もリモートが主体であるため、研修もリモートで受けることができるものがほとんどだ。「特にCTSRはフルリモート勤務を確約していることもあり、育児期間中にCTSRに希望して異動するといった例もあります。PwC Japanグループでは公募制の異動制度がありますので、将来的にまた監査法人に戻ることも可能です」(綾部氏)。現在、CTSRのメンバー6割は女性である。

プロフェッショナルとして専門性を磨いてほしい

「監査は法定業務であるだけに、クライアントとの付き合いが長期に及ぶという特色があります。仕事が一過性にならず、10年、20年という蓄積が力となります。長期的な信頼関係の中で仕事をしたい人には非常に適した仕事だと思います。なお、CTSRはじっくり中・長期的な視野で専門家となりたいと考えている方に向いています。」(綾部氏)。
PwCビジネスアシュアランスにおけるCTSR部門は新卒採用は実施しておらず、IT関連の経験を3年以上積んだ中途採用のメンバーで構成されている。入社時においては、メンバーの多くが監査関連業務未経験になるが、前職で培ってきたIT経験を活かして活躍している。
佐生氏は、「複数の種類の業務に関われることは刺激になるため、自分の関心が持てるものを見つけることを勧めます」と話す。
なお、PwC Japan監査法人は新卒採用しているが、クライアントのグローバル化に対応した英語力が求められるなど、早い段階から総合的な能力が求められる。

綾部氏が最近、大切にしているのはプロフェッショナリズムである。「この世界はプロスポーツの世界にも似ています。プロスポーツ選手は、プロの世界で自分を成長させ、自分の市場性を高めたいと考える。そういう人に来てほしいと思います。それがクライアントから必要とされるということですし、同時に社会から求められていることでもあります。ジャンルは問わないので、ぜひ専門性を持ち、自分の長所に注目してそれを伸ばしてほしいですね」(綾部氏)。

ライター プロフィール

織田 孝一(おだ・こういち)
1959年生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、広告制作会社および人材採用サービス会社の制作ディレクターを経て、1989年にライターとして独立。ビジネス誌などの他、企業広報・採用関連の執筆も多い。現在注力しているジャンルは、科学技術、IT、人材戦略、農学、デザインなど。

リーベルコンサルタントから一言

PwC Japan有限責任監査法人は、監査業界の中でもいち早くリスクアシュアランス・リスクアドバイザリーに力を入れてこられました。
10年以上前のインタビュー時にお聞きした「リスクアドバイザリー」という言葉が当時とても新鮮で、VUCA時代を先取りした画期的な取り組みをされているなと思いました。
時は流れ、リスクアドバイザリー、リスクコンサルティングという職種が一般的になったいま、今回は「デジタルトラストアドバイザー」という新たな言葉を頂きました。
リスクをヘッジするためのアドバイザリーはもちろんのこと、それでも発生する市場からの信頼を失うようなインシデントが発生したときに、その対処や再発防止策の有効性を評価し、市場に安心を与え、企業も守る。
「表から明確には見えなくても、社会の裏側で人々の役に立ちたいという思いを大事にしたい」という綾部様の言葉から、社会を支えたいという強い思いと自負が伝わってきました。
IT経験を活かし、誰もが安心して暮らしていける社会の実現に関わっていきたい。PwC Japan有限責任監査法人/PwCビジネスアシュアランス合同会社は、そのような思いを持つ方にお勧めの企業です。

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