前回のコラムでは、コミュニケーション力があると言われるのに落ちるパターンのうち、区切りがない、言葉の髭がたくさんでてくる、曖昧な表現が多用される、無駄に会話を繋ぐ、の4パターンをお伝えしました。今回は残りの3パターンをお伝えします。
1-5.必要以上に細かく話す
非常に細かなところまで面接官に話をするタイプです。
「Aさんがこの発言をして、それを受けてBさんがこういう反応をして、その後にCさんがこのような行動をとりました。私はこう思ったので実際に「○○」といった話をすると、Cさんから「○○」という話がありました。それってどうかと思ったのですが、そこで何かを言っても仕方がないと考え、それならと私はこのような行動をとりました。」といったイメージです。
このタイプの方は、時系列で、自分や周りの人物がどのような発言をしたか、どのような行動をとったか、それを受けて、自分がどのように思い、どのように動いたか、といったことをこと細かく話されます。
この傾向は、特に保守運用をされている方に多く見られます。定期報告や障害報告にあたり、起こったことや考えたこと、実際に動いてきたことなどを時系列に細かく話すことが習慣化しているためと思われます。
業務においては、その習慣は業務に最適化されているため問題はありません。話の聞き手がお客様やその業務の責任者であれば、行動や判断の妥当性を検討したり、問題を特定したりする必要があるため、詳細な報告を好みます。そのため、細かく話せば話すほど喜ばれ、報告が分かりやすい、コミュニケーション力が高いという評価を得られます。そういう方は、面接でもコミュニケーション力をアピールすべく、こと細かに話をされる傾向にあります。
しかし、限られた時間で必要な情報を得なければならない面接官としては、「そこまで細かくなくていいよ。必要な情報を聞く時間が無くなっちゃうのでもっと端的に話してよ。」となってしまいます。
そのため、一挙手一投足を伝えようとせず、考えたことや話したことも全て伝えようとせず、面接官の聞きたいことはこれかな?を考え、話す内容を絞り、抽象度を高めて話すようにしましょう。
1-6.関係のない話が混ざっている
さきほどの例は、話が細かいけれども関係のない話はしていない、というものでしたが、今回のケースは、多少関連はしているけれども、本論とは関係のなさそうな話をしている例です。
「いまAチームの話をしていますが、その時にBチームはこんなことをしていました・・・中略・・・結果的にはBチームは関係なかったことが分かったので、次にCチームを調べていきました。」といったイメージです。
これも、実は保守運用、特に障害対応を数多く経験されている方に多く見られる傾向です。障害対応時は、障害箇所をすぐに特定することが難しく、何が原因だったかもすぐには分からないことから、何かヒントになりそうなことを責任者は担当者から聞き出そうとします。
そのため、一見関係のなさそうなことも担当者は責任者に対して話すことになり、その関係のなさそうなことから障害箇所が分かったり、障害の原因が分かったりもしますので、そのうち、報告時にいろんなことを話すようになります。
そうなると、業務で頑張っている人ほど、何か相手にとってヒントになることを話さねばと思い、普段からいろんなことを話すようになります。
これもまた、現場の責任者からは喜ばれるのですが、面接の場はやはり普段とは異なります。面接官としては、なぜこれを聞かされているかが分からず混乱します。そして、結局関係のない話であったと分かった時には、「なぜこんな無駄なことを話すのか?」と苛立ちを覚えてしまいます。
そのため、面接では敢えて、関係のなさそうなことは話すことを控え、必要最低限のことを伝えるようにしましょう。
1-7.先回りしすぎる
これも、自分では弱点に気付きにくいため、改善もしづらいタイプです。
頭の回転が早すぎたり、話の展開が先読みできてしまったりするが故に、質問の意図が分かりすぎてしまい、一つの質問を受けた時に、面接官が知りたいことを一気に話してしまいます。面接官は、途中から話が理解ができなくなったり、聞きたいと思ったことをその場で聞けなかったりするため、一方的に話を聞いているうちに、だんだんイライラが募ってきます。
もちろん、先読み自体は悪くありません。問題は、話すスピードが早くなってしまう場合に起こります。面接官は話を聞いてから、じゃあこれはどうなんだろう、と思考を進めます。それを面接官が考える前に矢継ぎ早に話を進めてしまうと、面接官の頭の中に聞きたいことがどんどん積もっていき、ついには覚えていられなくなります。そして、こちらの理解を確認せず話し続けるなんて相手のことが考えられていない!とイライラが爆発して、コミュニケーション力がない!となってしまいます。
そのため、少なくとも面接官が相槌を打つのを待ったり、「次は?」を意味する言葉や態度を面接官が示せるだけの時間的余裕を与えるようにしてください。
端的に答えることを心掛けましょう
以上、コミュニケーション力があると言われるのに面接で落ちるパターンをお伝えしました。これらの対策としては、ありきたりな話にはなりますが、端的に、分かりやすく回答することが有効です。
面接官は、限られた時間の中で、合否の判断に必要な情報をできるだけ多く得ようとします。
面接を受ける側としては、1時間も時間があれば十分聞きたいことを聞けますよねと思うかも知れませんが、以前面接官の気持ちを書いたコラムで書かせていただいた通り(お見送りを伝える企業の気持ち(後編))、1時間という時間は長そうで案外短く、聞きたいことが聞けていないと焦りすら感じることもあるくらいです。
そんな時に、長々と話されたり、関係のない情報を聞かされたり、分かりにくい話をされてしまうと本当に困ってしまいますし、その思いが積み重なるとイライラが募り、もうこの人いいや、となってしまいます。
多弁な人ほど、勢いに任せて回答するのではなく、必要な情報を絞り込んで回答するようにしてみてください。
(後編に続く。8月30日公開予定です)