今年一年はどんな年だったのか
今年一年は、貴方にとってどんな年だったでしょうか。今年一年で、貴方は何を成したでしょうか。
年を重ねるにつれ、年月が経つのも早く感じるものです。目の前の仕事に追われ、気付くと一年が経っている。日々のやるべきことや責任が増えれば、自然とそう感じるのでしょう。
一方であなたの長い人生において、この一年間はどんな意味があったのでしょう。一年前より、前に進んだのでしょうか。この一年で何かを始めて、何かを変えることが出来たのでしょうか。年末ですから、そんなことをふと考えたりします。
人生の終末を意識したとき
今年の初めに『生きる LIVING』というイギリス映画が公開されました。市役所に勤める初老の男性が末期がんを宣告され、これまでの人生を見つめ直すというストーリー。70年前に黒澤明監督が撮った作品のリメイクだったのですが、現代にも通じるテーマだと感じました。
ただ淡々とお役所仕事をこなし、真面目に生きてきた男性。とにかく誠実に。レールを外れることなく、問題を起こすことなく仕事をして、そして家族にも貢献して来たつもりで人生を歩んで来ました。
それが死を宣告され、これまでを振り返って感じる強烈な虚しさ。あんなに毎日休まず仕事をしてきたのに。果たしてその中で誇れる仕事はあったのか。自分は人生をしっかり楽しんできたのか。充実した日々だったのか。男性はそんな葛藤に思い至り、そこから行動を起こし始め、ストーリーが動き出していきます。
リスクのある決断をするとき
私も、転職活動における最終決断タイミングでは「数十年後に振り返った時にでも、後悔がないような決断をしましょう」というアドバイスを送っています。転職活動をしていると、つい目の前の印象や局地的な情報に心が奪われがちです。そういった直感も大事ですが、客観的な視点も重要だと思っています。ご自身の長いキャリアストーリーにとって、このタイミングではどんな意志と決断が望ましいのか。その視点も忘れずに決断していただきたいと思うのです。
転職には当然リスクがあります。失敗だったと思う日が来るかもしれません。ただ、それにどれほどのリスクがあったにせよ、自分の中で確固たる理由さえあればその決断自体を後悔することはきっと無いと思うのです。自分自身の思いから逃げずに、行動出来るときに行動をして欲しいと思います。
今の価値観のレール上を走るだけでは、人生を終える頃に後悔するかもしれないのです。
来年はどんな年になるのでしょう
初老の男性は、最後の仕事に取り掛かります。お役所的な仕事ぶりを捨て、それまでの自身を否定するかのように、周囲との衝突を繰り返して仕事を進めていきます。彼は生まれて初めて、自身がやるべき仕事を、成すべきことを理解し、地域社会に貢献しようと必死になって働き始めるのです。そしてラスト、原作と同じ映画史に残る名シーンで幕を閉じます。
彼のように行動出来る人は、本当に強いのでしょう。だから映画のように病気の宣告でなくても、何かをきっかけにして欲しいと思います。健康で良きタイミングであれば、あなたも行動を起こせるはずです。