- プロフィール
- 都内私立大学を卒業後、大手ISP(インターネットサービスプロバイダー)に就職し、代理店営業に従事。2年勤務後、大手ITグループのシステム会社に転職し、RPAツールの代理店営業を3年経験。リーベルの支援を受けて転職活動を行い、インターネットイニシアティブ(IIJ)から内定を獲得。
新卒で入った大手ISPでも、代理店営業に携わる中、有効と思われる施策は積極的に導入してきた。
インターネット回線の販売では代理店向けの勉強会に注力。代理店と深い関係を築いて売り上げを向上させ、社長賞も獲得した。
もっと顧客に役立つ商材を提供したい。そんな思いで“自力”で臨んだ転職活動。大手ITグループのシステム会社に移り、RPAツールの代理店営業へとキャリアを変えた。
だが、脳裏をよぎったのは、さらに次のステップに上がること。それは、顧客の課題に向き合い解決する「ソリューション営業」を行う仕事へのキャリアアップ。
2度目の転職も、当初は自力で活動を試みた。だが、結果が出ない。そうした中で出会ったリーベル。支援を受け、望みのポジションで内定を手にした。
20代でキャリアアップに成功した要因は何か。その秘訣を聞いた。
最初の転職活動で奇跡的にマッチしたポジション
子どもの頃、勉強でつまずくことがあった。友達を作る機会を失った時期もあった。そんな時、助けとなったのがインターネット。ネットを検索して学業を補い、ネット上で友達もできた。インターネットの可能性に希望を抱き、大学も就職もその道に進んだ。
—— 大学で社会情報学を専攻し、卒業後はISPの会社で社会人生活をスタートさせました。
Hさん:人と人とをつなぐインターネットに魅力を感じたからです。就職先もインターネット関連のサービス会社を志望し、入社したのは大手ISPでした。業務はインターネット回線を販売する代理店向けの営業。代理店がどうすれば個人にインターネット回線をうまく提案できるか、どんなキャンペーンが有効かなどを考えたり、企画したりすることが主な仕事です。コールセンターから個人宅に電話する際のトークスクリプトや営業ツール、チラシの作成も業務の範ちゅうでした。
—— 業務の中で工夫した点は。
Hさん:各地域の代理店が参加する勉強会を積極的に開催することです。内容はインターネット回線ビジネスや自社商品に関することで、その機会を通じて各社と強いつながりを持つことによって、販促につなげるのが狙いです。施策は見事に的中し、売り上げ向上を達成し、チームとして社長賞を受賞するほど目覚ましい成果を生むことができました。そうした実績が認められ、同期の中では社内評価も高く、社会人1年目としては上々のスタートを切ることができたと、当時は思っていました。
—— ただ、2年の勤務を経て、転職を考えるようになりました。理由は何ですか。
Hさん:もっと顧客に寄り添って課題解決ができるような仕事をしたいと思い始めたからです。そうした中、私が苦手としていた業務が転職先のヒントになりました。その頃、毎月月初に行っていた作業が、請求書の数字を手入力で会計システムに転記すること。これに苦手意識を持っていたところ、ある日RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を導入し、すべてが自動で行えるようになったのです。そんな自分の経験と、キャリアを見直したタイミングが重なり、「RPAを提案する営業であれば世の中の役に立てるのではないか」と考え、転職活動という行動を起こす決断をしたのです。
—— 最初の転職活動ですね。どのように進めましたか。
Hさん:ある転職エージェントに支援を依頼したのですが、提案される求人が自分の想定とマッチしていなかったのが課題でした。そこで、自力でやるしかないと思い、ネット上で求人を探していったのです。そうして自力で見つけたのが、大手ITグループのシステム会社によるRPAの代理店営業業務の求人票でした。面接では、自社がRPAの導入により業務効率化に成功した体験を話し、加えて代理店営業での自身の実績も話したところ、「今回の求人にぴったり」と面接官が即断。そうして奇跡的にポジションと私の状況がマッチしたため、“運良く”採用され、次のキャリアに進む希望がかなったのです。
2社目で感じた限界、そして再度転職活動へ
新卒で入社した会社を2年の勤務を経て退職し、新天地に移った。RPAの代理店営業は、より顧客の業務効率化や問題解決に貢献できる業務であり、やりがいを感じていた。一方で、業務を行う中で、限界も見えてきた。
—— インターネット回線からRPAへと扱うツールが変わりました。仕事はキャッチアップできましたか。
Hさん:1社目ではエンドユーザーが個人であり、技術よりも営業やマーケティングの知識が求められる仕事でした。次はエンドユーザーが法人に変わっただけでなく、技術の知識が求められました。未経験だったので苦労はしましたが、応用情報技術者試験等の資格取得や取扱製品について学びました。それらの知識を身につけた上で、代理店の営業に同行支援をして色々な事例やノウハウを自身の中で貯めていくことで、最終的にはベストなRPAのサービスを顧客に提案できるところまで力を付けました。
—— 例えば、どのような提案を。
Hさん:今では大企業を中心に多くの会社がRPAを導入しています。しかし、様々な部署に入れている「ロボット」を適切に管理できていない会社が少なくないのが課題でした。そこで、提案したのがクラウド上でロボットを管理できるツール。この提案によって、ガバナンスを保持できるようになったわけです。さらに、どの部署も共通で使えそうなロボットを効率的に広げる機能や運用も提案。ロボットの管理もでき、共通化もできるということで、顧客の中では新たな部署への横展開がしやすくなりました。提供する私たちも販売数を伸ばすことができます。こうして顧客とWin-Winの関係を築き、自社の売り上げに貢献することができたのです。
—— 新しい職場でも早速力を発揮できたわけですね。
Hさん:また、前職での経験を活かし、代理店向けに勉強会も実施しました。当初、「代理店は既に当社のRPAのことは熟知しているから、勉強会など必要ない」という意見もありましたが、営業同行から見えた実態を根拠に説得し、ひとまず行うことになりました。この施策が見事に当たったのです。代理店は当然のことながら、私たちの製品以外にも他社のさまざまな製品を抱えています。その中でどれを積極的に売るかといえば、よく知っていて自信を持って提案できる製品です。つまり、勉強会でよく理解できれば、優先して売っていただける可能性が高まるわけです。
結果、有効性は認められ、他の担当者が私の作った教材を使って勉強会を行うなど、チーム全体として注力する方針になったのです。これも売り上げ向上に寄与する施策となりました。
—— チーム全体に効果が波及し、2社目でも力を認められたのではないかと思います。
Hさん:有難いことに、社内での評価は高まり、私も自分の仕事に自信を持つことができるようになりました。ただ、2年間仕事に打ち込み、代理店やエンドユーザーの法人の方々と会話をする中で、気付いたこともありました。それは、RPAだけで解決できる課題には限界があるという現実です。自社のRPA製品を売ることが仕事ですから、どうしてもプロダクトファーストになりがちです。ですが、製品に寄るのではなく、カスタマーファーストで根本的に課題解決を図るのが本来の姿です。キャリアアップを図るのであれば、そうした「ソリューション営業」を行う方向に進みたいと考え、私は2度目の転職活動に挑む決心を固めたのです。
各社のリアルを知り、候補者に合ったポジションを提示
再度転職活動に挑むことになった。前回は自力で求人票を探し当てた。当初は今回もそのアプローチで臨んだ。だが、結果が出ず、先行きが怪しくなった。そうした中、頼ったのが転職エージェント。声をかけた中に、リーベルもあった。
—— 前回は自力で内定を勝ち取りました。今回はどうされましたか。
Hさん:最初は前回同様、自力で挑みました。応募したのは、ITコンサルタント会社や外資系SI会社、大手金融系の情シス部門などです。しかし、書類選考でことごとく落とされてしまったのです。
原因には心当たりがあります。一つは、少しでも目立てばと思い、書類を通常の形式ではなく、PowerPointでプレゼン資料のように作ってしまったこと。自分なりのチャレンジでしたが、これは裏目に出たのではないかと思っています。そして、もう一つが、応募企業がミスマッチではないかということ。ここはやはりプロの助けが必要と思い、転職エージェントに支援を依頼することにしたのです。
—— 転職エージェント選びはどのように。
Hさん:まず、3社に登録しました。業界特化ではない総合的なエージェント、コンサルに特化したエージェント、そして、IT系に強いリーベルです。その上で、この3社の担当者と面談し、どこに支援を依頼するか決めようと思ったのです。
総合的なエージェントは、ITや代理店営業への理解が浅いと感じ、依頼は難しいと判断しました。また、コンサル系のエージェントは提案してきた求人票がやや的外れで、書類や面接も「私が自力で行う」スタイルだったため、少し心細いかなと。一方、リーベルは書類のチェック、面接練習も万全で、IT業界への深い理解があることから提案された求人票も自分の希望とマッチしているように感じました。そうしたことから、今回はリーベルに依頼しようと決めたのです。
—— 具体的にどの点でリーベルが良いと感じましたか。
Hさん:例えば、悩みどころとなるのが、会社や仕事内容を深く理解し、いかに説得力のある志望動機を書けるようになるかです。応募する会社がどのような会社で、何を求めているかは自分自身でも調べますが、インターネットで集められる情報だけでは限界もあります。その点、リーベルはコンサルタント全員がIT業界出身であり、それぞれの企業に関しても非常に詳しいのが強みです。実際、私の担当者からは各企業のリアルな現状を聞くことができ、「ここなら活躍できそう」「ここはやりたいことをマッチしている」などと助言も受けられ、書類を書く上でも、会社選びの際にも、とても有益でした。
—— 面接練習はいかがでしたか。
Hさん:これも非常に有効だったと思います。リーベルの担当者は、私のような自分の考えをうまく言語化する作業が苦手なタイプでも、断片的に話す内容から、「つまり、こういう考えということですか」と、考えを整理し、共に言語化してくれようとします。そうしたレビューがとても有難く、面接の受け答えを考える上で非常に重宝しました。
—— 提案された企業の求人票と自分とのマッチングも良かったと。
Hさん:はい。実際、自分に合った求人票を自力で探し当てるのは、非常に難しい。一つの会社で色々な事業を行っているケースが多く、率直にいって、どの会社にどのようなポジションがあるのかを全て把握するのは困難です。そこを各社の内情に詳しいリーベルの担当者が行い、私に合ったポジションの求人を提示してくれるのです。「その企業にそんなポジションがあったのか」と驚くこともあり、提案には満足しています。
—— 応募はどの会社に。
Hさん:リーベルからはIIJを含めて2社に応募し、その他、友人の紹介でコンサルティングファームも1社、リファラル採用枠で受けています。IIJはグローバル関連のビジネスを展開している事業部のポジションで、面接は2回。1次面接で聞かれたことは、自分のこれまでのキャリアや、1社目を退職した理由、2社目に入った理由、2社目から転職を考えた理由、なぜその事業部を志望したのかなどです。リーベルの面接対策で準備を重ねていたため、しっかりと答えられ、私の積極的な仕事の姿勢や行動力が評価され、無事突破することができました。
—— 2次面接はいかがでしたか。
Hさん:実は、うまく話せなかったというのが正直なところです。そうした中でも、とにかく「ソリューション営業を行いたい」という熱意が伝わるように意識してアピールしました。また、私自身が未経験の「ソリューション営業」という仕事に関しては、事前に徹底的に調べあげていました。知れば知るほど興味が増して、自身のやりたい仕事だと確信していたんです。またリーベルの担当者からもどのような業務なのかを事前にレクチャーしてくれており、それも面接で答える際にとても参考になりました。聞けば、リーベルの担当者も参考となる書籍を追加で購入して読んでくれていたみたいです。そうした担当者の徹底した支援も奏功し、私はIIJから内定を獲得することができたのです。
転職活動の成功は行動力によって決まる
内定の取得はIIJも含めて3社に上った。その段階で設定されたのが各社の人事担当者と話をするオファー面談だ。その結果を踏まえて出した答えが、IIJへの入社だった。
—— 今回は、内定が出た3社とオファー面談を行ったそうですね。
Hさん:内定が決まってから行われるオファー面談は、選考される側、選考する側という関係がなくなり、実際の業務について深掘りした質問をすることができる貴重な機会です。人事担当者などが堅苦しくなく、フランクに何でも答えてくれるため、内部事情を知るためには非常に有効でした。前回の転職ではそうしたチャンスがなく、入社するかどうかを決めるのは、求人票の内容と面接の雰囲気に頼るしかなかったのが実情。内定後のオファー面談は必須だと今は思います。
—— 3社の面談で受けた印象は。
Hさん:そのうち1社は良い会社なのですが、社風が体育会系で自分がついていけるか不安に思ったのが正直な気持ち。もう1社は入社直後は代理店営業を担当し、将来的にはソリューション営業もできるポジションという説明でした。それに対し、IIJは入社直後からソリューション営業であり、さらに日本企業の海外進出時の支援ができるという最も魅力的なオファーでした。今回、転職を志した理由はソリューション営業をしたかったから。その原点に立ち返り、次のステージはIIJで働こうと決めました。
—— 振り返って、今回の転職活動が成功した要因は。
Hさん:一つは「行動力」でしょうか。何でも試してみようと、独自のレジュメを作ることや、活動の手段も自力で行うこと、3社のエージェントと面談して決めること、リファラル採用も行ってみることなど、できる手はすべてやり尽くしました。その中で失敗したこともありましたが(笑)。前回は自分で応募することにこだわってしまいましたが、今回はさまざまなプロセスにトライしたことが、良い結果を生んだのではないかと思います。
—— 20代で2度と転職回数がやや多いことを活動中に不利に感じませんでしたか。
Hさん:私は、今まで勤めてきた会社を嫌で辞めたのではなく、次のステップにキャリアアップすることを目指して、転職をしてきました。今回、ソリューション営業を志望し、IIJへの転職を決めたのも、自分のキャリアの棚卸しをして、5年後、10年後のキャリアプランを考えた時に、その方向に進むのが最適だと考えたからです。
そうした確固たる考えがあり、しっかりと頭の中で整理されていたため、面接ではそれを素直に応えるだけでよく、面接官が転職回数をネガティブに捉えることはなかったと思います。
—— キャリアアップのための選択だったんですね。
Hさん:そうです。その点でいえば、もし転職をするかどうか迷っているのであれば、まずは行動すべきというのが私の意見です。特に大事なのは信頼できるエージェントの担当者と話すこと。それによって、自分自身がやりたいこと、できることが見えてくることもあると思います。まずは何らかの行動に移してみることが重要だと考えています。
—— 転職も行動することで道が開けるということですね。若い方にも参考になると思います。ありがとうございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。