コンサルティング会社の使い方
こんにちは、ケンゾウです。前回は、「誰かを説得する」ために、外部のコンサルティングファームを活用する場合があるという話を書きました。
実は、誰かを説得するためのパターンとしては、前回書いたような水戸黄門の印籠的な使い方(著名なコンサル会社も◯◯◯すべきと言っていますと主張する)だけでなく、耳の痛いことを言う役回りをコンサルティングファームに依頼するというやり方もあります。つまり、嫌な役回りを引き受けるようなパターンですね(笑)。
これはこれで立派なバリューの出し方なんです。今日は、私が実際に行った、このパターンのプロジェクトについて書いてみたいと思います。
あるプロジェクトにて:現場部門からの反発
クライアントは、ある大手メーカー企業でした。私共への相談内容は、新規事業に対して積極的に投資をしているが、なかなか成果があがっておらず、新規投資の判断基準を見なおして、投資後のモニタリングもきっちり出来るようにしたいというものでした。依頼主は、クライアント企業の管理担当役員でした。
これは、新規事業を手がけている現場社員からすると、自分たちの活動(投資予算の獲得など)に制約が課されて今まで通りに自由にやれなくなるわけで、当然、現場社員からの反発が予想されます。また、この部門は新規事業を行なう部署であるため、元気がよいというか、ちょっとクセの強い社員が集められている部署でもありました。
さて、プロジェクトが始まって最初の2週間。現場部門の部長や課長に、片っ端からインタビューをしていきます。しかし、現場部門の皆さんは、我々のような外部のコンサルタントが乗り込んでいることに、明らかに警戒感を示しています。自分たちの案件が上手くいっていないと社内で問題視されていることも、うすうす感じているのでしょう。
私がある案件で赤字が続いていることに関して質問すると、ものすごい剣幕で「今は先行投資期間中で、来期から利益が出るんだよ!先行投資が必要な事業ってこともわからないのか!」と逆ギレします。実際は、どう考えても来期から利益が出る可能性はなさそうなのですが、将来のことを出来る・出来ないと議論しても水掛け論になるので、ここは軽くスルーです。ひたすら、これまでの実績と今後の見通しについて情報を集めます。
プロジェクト開始後、1ヶ月。過去の新規案件の現状分析も終わり、課題も明らかになりましたので、新しい管理手法の設計を行います。ポイントは、クセがあって声が大きい現場部門の部長や課長が自分たちの正当性を強く主張して暴走できないようにするために、判断基準に数値基準を織り込むなど、基準から曖昧さを極力排除することでした。
その後、設計も無事に終了し、あとは、このルールをどうやって現場社員に落とし込むかです。単純にトップダウンで落としても良いのですが、クライアントは伝統的な日本企業であったため、現場部門の社員の納得感も取り付けた上で導入したいという意向です。
そこで一計を案じ、まずは現場社員の幹部を集めて、我々コンサルタントから新ルールの説明会を開催することにしました。そして説明会当日、我々は現場社員の皆さんから、徹底的に罵倒されることになるのです。しかし、これで大きなバリューを出すことができたのでした。