そもそもコンサル会社を使う必要はあるのか?
こんにちは、ケンゾウです。皆さんは、クライアント企業が外部のコンサルティングファームに仕事を依頼するのには、どんな理由があると思いますか?わざわざ外部のコンサル会社に依頼しなくても、戦略なんて自社でも考えられるのでは、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回は、クライアント企業がコンサル会社を活用する理由について書いてみたいと思います。
まず、クライアントがコンサル会社に相談する時というのは、何か解決しないといけない課題がある場合です。この時、大きく2つに分けることができ、1つは高度で専門的な知識に基づくアドバイスが欲しい場合と、もう1つは自分たち固有の状況や課題に合わせてカスタムメイドの解決策を提示して欲しい場合です。
前者は法務・税務の知識が必要な課題やトヨタ式で工場の「カイゼン」を指導して欲しいような場合で、それぞれの分野毎のエキスパートが呼ばれますので、こういったプロジェクトで戦略ファームに声がかかることはあまりありません。いわゆる「先生」に教えてもらうようなイメージですね。一方、後者は、課題の整理から始まって、解決に向けて知恵を絞るイメージの仕事で、こういった相談が戦略ファームには持ち込まれます。
こう書くと、前者の知識を求めるところで外部に相談するのはわかるが、後者の知恵を絞るところは、大企業なら優秀な人材が多く揃っていて、自分たちでも出来そうじゃないかと思われるかもしれません。その答えは、YESでもありNOでもあります。
コンサル会社を使う主な理由
まず、YESでもあると書いたのは、その課題解決に十分な人材を投入できるのであれば、おそらく自分たちで解決できるだろうということです。コンサルタントの場合、他社で似たような事例を扱った経験があることも多いので、その分、提供できる解決策に深みがあることはあるでしょう。ですが、その差分がコンサル会社を使う理由となっているケースというのは、おそらく1/3あるかどうかというところではないでしょうか。
そして、NOでもあると書いたのは、上記のように社内人材を投入できないケースに加え、自分達だけでは誰かを説得することが難しいという場合もあるからです。
つまり、(1)リソース・時間を買う、(2)誰かを説得するため、という理由でコンサル会社を活用することが非常に多いというのが私の個人的な感覚です。
(1)についていうと、そもそも我々に相談が来るのは、重要かつ緊急な課題が多いのですが、我々に相談が来る前に、先ずは自社内で誰かをアサインして解決させようと考えるはずです。しかし、そういった複雑な課題を解決できるような優秀な社員の方は、既存業務でエースとして活躍しており、そこから移動させるのが難しいというパターンが多いのです。既存業務が回らなくなるリスクもあるでしょうし、あるいは優秀な部下を他部署に持っていかれることに上司が抵抗するというパターンもあるでしょう。
そういった場合、代替策として、中途採用で解決できる人を採用しようと考えることもあるかもしれません。しかしそれでは時間が掛かり過ぎる。であれば、自社内のリソース不足を補う意味や、時間を買う意味で、外部のコンサルタントに依頼しようかということになるのです。また、コンサルタントの場合は問題解決に慣れているため(+深夜まで働いてくれるため・笑)、自社の社員で解決するよりも短期間で対応してくれるというメリットもあるでしょう。
一度、コンサルタントの起用で上手く問題が解決できれば、また別の課題が発生した時にも、社内人材での対応がリソース・時間的に難しい場合、再びコンサルティングファームに依頼しようとなるのです。多くの戦略ファームでは、プロジェクトの80%前後は既存クライアントからの継続受注案件であるというのは、こういったところに理由があるのではないかと思います。つまり、コア事業の通常業務はエース社員が牽引し、通常業務以外のイレギュラーな課題解決には積極的に外部コンサルタントを起用するという使い方です。
(2)誰かを説得するため、については、次回に書いてみたいと思います。