ケンゾウの戦略コンサル物語

戦略コンサルタントの仕事やふだん考えていることなど、戦略コンサルタントの実態をありのまま綴ったコラム

筆者プロフィール

ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。
第7話

恋愛における問題解決スキル

忙しくても恋愛は普通にしている?

こんにちは、ケンゾウです。前回のコラムでは、戦略コンサルに求められるスキルについて書きましたが、今回はちょっと趣向を変えて、コンサルタントのプライベートな一面について書いてみたいと思います。

戦略ファームで働くコンサルタントは非常に忙しい生活を送っています。以前も書いたように、平日は深夜まで働いてタクシー帰り、土日も時々出社しているような状況です。そんな生活を送っていると、とても恋愛する時間など無いように思えます。では、寂しいプライベートを過ごしている人が多いのでしょうか?

データが手元にあるわけではありませんが、個人的な印象としては、未婚のスタッフで彼氏/彼女がいないという人は少数派だったと思います。また、30代以上になると、既婚率は高かったです。30代以上については、中途入社で入ってくるときに既に結婚していたという人が多かったですし、若手の未婚のスタッフについても、あれだけ忙しいのにいつ彼氏/彼女と会っているのか不思議に思うのですが、たいてい何とかやっているようです。そういう状況を踏まえ、今日は、コンサルタントの問題解決スキルが恋愛においても上手く活用できるかについて考えてみたいと思います。

コンサルスキルの活用(事例)

まずありがちなのが、彼女(又は奥さん)から悩み事や愚痴を聞かされた場合。きちんと状況を整理するために、実際に何が起こったのか、その背景には何があったのか、彼女から詳細に聞き出します。コンサルタントにとって、ヒアリングはお手のものです。彼女もいくらでも話をしてくれます。ここまでは順調です。

そしてひと通り聞き終わった後、まずは、発散気味であった彼女の話を整理して、悩み事は、つまるところ3点に集約できることを教えてあげます(コンサルタントは3つの要点にまとめるのが大好きです)。この時、彼女の動きが若干止まったような気がしましたが、一応頷きながらこちらの話を聞いてくれています。

そして次に、悩みの原因について、相手に起因する部分と、彼女に起因する部分について切り分けを行います。すると、彼女の眉間に心なしかシワが入ったような気がします。いかんいかん、話が長くなりすぎたかと反省しつつ、まとめにはいって、解決策について語ります。具体的には、ここを改めて、今後こうしていけば悩みは解決できるはずだと語りかけます。すると彼女は、おもむろに席を立ち、しばらく口を聞いてくれなくなるのです。

親身になって完璧なアドバイスをしたはずなのに、なぜ彼女が不機嫌になっているのか分からない男性コンサルタントは、同僚にグチります。そして、過去に同じような経験をした同僚から「話を聞かない男、地図が読めない女」という書籍を勧められます。そしてはじめて、あのとき彼女の課題を指摘したり、解決策を講釈したりしてはいけなかったことに気付くのです。矛盾に満ちて、発散しまくる彼女の話を聞き続けることは、コンサルタントにとっては苦痛かもしれません。課題が見えてくれば、ドヤ顔で解決策を語らずにはいられなくなるかもしれません。しかし、頷きながらじっと話を聞いてあげるだけ、というスキルも必要であることを学ぶのです。

次は女性コンサルタントの事例。メーカーに勤務する男性とめでたく結婚することになり、結婚式場に打合せに行った時のこと。仕事が忙しい彼女にとって、式場での打ち合わせは苦労して捻出した貴重な時間。しかし、ブライダル・コーディネーターがどうもイケてなかったようで、なかなか決めないといけないことが決まりません。彼女の婚約者は人柄の良いエンジニアで、ニコニコしながら話を聞いています。彼女にとって、物事が決まらない打ち合わせほど苦痛なものはありません。ついつい、いつものように、打ち合わせの場を仕切ってしまい、効率よく決め事を片付けていきました。スッキリした彼女はその時、フィアンセ(=女性コンサルタント)の新たな一面を垣間見てドン引きしている婚約者(=男性エンジニア)に気付いたそうでした。

このように、ついついコンサルスキルを活用するのは危険を伴うという認識が必要です。例えば食事に行くときにリサーチ力を発揮するなど、活用すべきタイミングを見極めて上手に活用したいところですね。

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