COLUMN
コラム:転職の技術
第1064章
2022/03/18

さらに向こうへ!

『僕のヒーローアカデミア』というアニメを見ていると、予告の最後に『プルス・ウルトラ さらに向こうへ!』というセリフが毎回流れます。

まあマンガだしそう言うよね、と思っていたのですが、先日ふと、自分に言い聞かせてみたら、すごくいい言葉だなと思ったので今回のコラムで書くことにしました。

生きていれば嫌なことにもたくさん遭う

生きていると、仕事をしていると、どんなに明るくしていても嫌なことが起こります。

怒髪天を衝き怒り心頭に発すること、立ち上がれないくらい深い哀しみに打ちひしがれること、一睡もできないくらい深い絶望感に襲われること、どうしてあんなことをしたんだろう・言ったのだろうと激しく後悔すること、八つ裂きにしたくなるくらい嫉妬すること、生きることすら面倒と思うくらい無気力になること・・・生きているといろいろありますよね。

歳を重ねるごとに、感情をコントロールし、また、生まれた感情を覆い隠す術を身に付けていきますが、沸き起こる感情そのものは幼い頃より変わることはなく、時に嵐のように自らの精神を蝕み、捕まえて離しません。

そして、感情が嵐のように吹き荒れてしまうと、もう自分ではどうしようもありません。時に何日も何週間も嵐が続いてしまうこともあり、表面上は平静を装っていても精神の疲弊は酷く、確実に寿命が縮まっていることが分かります。私くらいになると、歳が歳だけに、髪が抜けたり白くなったりして、物理的にも老けてしまうので困ったものです(笑)

ネガティブな感情の正体とは

以前より落ち着いているはずの今でも、年に数回は激しい感情に翻弄されることがあります。ただ、ある時ふと、このネガティブな感情の正体ってなんなんだろうと考えました。

ネガティブな感情の元になった事象は分かっていて、そんなことはさっさと忘れてしまえばいいというのも分かっているわけです。それなのになぜこんなに尾を引いてしまうのか?なぜ忘れようと思っても記憶に何度も甦ってくるのか?それが分からずにいました。

ああ、なんか俺、同じところにずっといるな、前に進んでないな、と考えていたそんな時、ふと頭に浮かんだ『プルス・ウルトラ』という言葉ではっと気付きました。ネガティブな感情は、過去に起こったことを見続けているが故に発生しているものなのだと。

過去に起こったことを変えることはできないし、記憶も変えることができない。なのにそれを批判したい、否定したい、受け入れたくない自分がいて、必死に感情の原因を消そうとするのですが、当然起こってしまった原因は消えることはなく、一方で、感情がそれを必死に消そうとし続けます。その終わることのない無限ループが、ネガティブな感情が尾を引き、自らを疲弊させる原因になっているのではないかと考えました。

いまを変える、未来を変える

もちろん、気付いたからと言って、はい、ネガティブな感情が一気に消えました!なんて簡単にはいきません。ふとした時に思い出したら感情が揺らぎますし、夜中に目が覚めた時に思い出そうものなら、しばらく眠れなかったりもします。

でも、過去は過去として、記憶に新しい過去を作ればいいじゃないかと、いまは思うようになりました。過去の嫌なことに留まろうとしている重く動かない自らの足を、なんとかして一歩でも前へ進めること。たった一歩、でもそのたった一歩こそが、ネガティブな感情の沼から抜け出すたった一つの道だといえます。

そして、いまはネガティブな感情に押し潰されそうになったとき、『プルス・ウルトラだ!』と自分に言い聞かせ、自分を励ますようにしています(そう呟いている自分を他人から想像されると恥ずかしいですが)。

さらに向こうへ!

さて、ここで転職活動について目を向けてみます。転職活動は、必ずしも順調に進むとは限りません。自分の発言に後悔したり、面接官の心無い発言に怒りを覚えたり、同僚が良い企業の内定を得たことに嫉妬したり、選考が通らず悲しみに暮れたりします。そして、それらのネガティブな感情に捕まってしまうと、前へ進むことができなくなってしまいます。

けれどもそれは、過去に心が向き、過去を消そうとしてしまっているのかもしれません。消すことができないものを消そうとしても消えるわけがないので、どんどん疲弊してしまいます。

そうなってしまった時には、まずは自分の足が鎖で繋がれてしまっている可能性がありますので、さらに向こうへ!とご自身を励ましてみてください。鎖は重くはありますが、心を強く持つことでそれを断ち切り、前へ進めることがきっとできるようになります。

月並みな結論にはなってしまいましたが、ネガティブな感情に囚われてしまった時は、過去を見続けたいと思っている自分を振り切り、強い意思を持って前を向き、歩いてみてください。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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