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第785章
2017/02/24

「働き方改革」がやって来た

— 実現に向けた取り組み —

大企業が本気になった

大きな波がやって来ました。その名は「働き方改革」。
今年に入って企業を訪問するたび、色々な企業が注力中の経営課題として働き方改革を挙げ始めてきました。中には「えっ!!御社が労働時間への取り組みですか!?」と、驚くような企業もこのテーマに対して真剣に取り組んでおり、日本企業における意識改革が確実に進んでいるなとヒシヒシ感じます。

きっかけの一つとして、昨年あったいたましいニュースが遠因にもなっているだろうと思います。時を同じくして、ちょうど政府も働き方改革の諮問会議を立ち上げました。経営層にとっても、重要な経営課題の一つになって来ました。企業コンプライアンスの観点からも、また従業員が健康で生活出来るよう、待ったなしで取り組みが始まっています。

IT業界でも先陣を切り、まずは各大手企業からこの困難な課題に取り組み始めています。長時間労働のイメージがどうしても拭えないIT業界ですが、残業時間の軽減/プライベート時間の充実を目指して、各社の取り組みが始まっています。今回は、いくつかの取り組みをパターン別に記載してみたいと思います。

取り組みに共通するのは「トップダウン」。どの施策も、企業のトップが重要施策として自ら取り組み、全社員への浸透を徹底してやっているようです。

労働時間の改善

働き方改革の大きな主題として、「長時間労働の是正」「残業時間の削減」が挙げられます。運送業や飲食業など、IT以外でもあらゆる労働現場で蔓延っていると言える、日本企業の伝統芸といえるかもしれません。

先日ある企業へ訪問したときのこと。長時間労働が目立っていた同社も、昨年から本腰を入れて改革に取り組んでいました。特に徹底していたのが、労働時間のKPI管理とマネジメント層の意識改革。現場が疲弊していくのを放置しないよう、マネジメント層が労働時間の実態を把握するとともに、経営層もそこに踏み込んで管理していくというコントロールラインになっていました。

印象的だったのが、「意識改革には時間が掛かった」と人事の方が仰っていたこと。マネージャー層へ「長時間労働は、悪しき習慣」という意識を浸透させ、社風・企業文化から変革しようとしているようです。

テレワークスタイルの導入

また別の企業では、働き方改革としてテレワークの導入をトップダウンで決定されていました。オフィスに来ずとも、自宅やカフェなどから仕事が出来るリモートワークスタイル。それを実現するIT環境やツール等のハード面は充実し始めている一方、そのスタイルで仕事を進めていくためのプロセスや共有方法など、運用面では課題が残っています。

既に数年前から外資系企業などで導入が始まっていますが、なかなかSIのプロジェクトでは有効に活用されているケースが少ないのが現状です。テレワークをシステム開発にどうすれば生かせるか、方法論含めてまだまだ未整備ですが、今後の成熟が避けては通れない領域なのは間違いありません。育児や介護などの負担が増していき、家庭と仕事の両立が求められる現役世代にとっては、避けては通れない働き方改革だと思っています。

AIの活用/デジタル化の推進

働き方を改革し、労働時間を削減しても、仕事の質は落とすことは出来ません。必然的に、業務の効率化が求められます。そこで期待されているのが、AIやIoTといったテクノロジーです。

雑多な業務はすべてITが行い、必要なデータの分析等もシステムが行ってくれたうえで、人間は方向性を固め、ビジネスの決断を行う。ITの力を積極的に活用し、初めて働き方改革が実現出来ると個人的には考えています。

既に「名刺管理」や「経費精算」といった間接業務は、色々なクラウドサービスの登場によって効率化が進んでいます。またAIを人事や会計などの業務へ活用して効率化を後押しするなど、IT導入が働き方改革を後押しする強力なツールになるはずです。

改革を実現するためには

「残業をしないなんてけしからん!」「早く帰るとは何事だ!」
昭和の時代にはきっとそういう人たちがたくさんいたんだと思います。そして、まだそういう文化や考え方が、日本社会に色濃く残っているのも事実です。ただ、もうそういった根性論的な考え方も、限界まで達してしまったんだと思います。

先日、運送業者が荷物に八つ当たりするというなんとも残念なニュースがありました。ただ、何度も再配達に行き、その上で荷物を持ち帰るという不毛なことを繰り返せば、現場は疲弊し蝕まれていくというのは、理解出来なくはありません。

運送業や広告業界だけに限らず、IT業界にも改革の必要性が目の前まで迫っています。ベンダーだけでなく、クライアント企業にも理解してもらい、国を挙げて改革を進めて欲しいところです。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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