私の考え方を変えた上司の一言
私は若いとき、大手電機メーカで開発エンジニアをしていました。製品の開発部門ではいろいろな開発ツール・測定器・設備を必要とします。高額な機器はスタッフ部門に申請し承認を得て初めて購入できます。これは会社として投資額を管理するためです。私は開発の効率化に絶対役立ち必要な設備であると確信してスタッフ部門に申請しました。
しかしながら、この申請は却下され承認されませんでした。若かった私はこの結果に大変失望しました。全くわかってない無能なスタッフだと思ったのです。当然自分は正しく、それを理解できないスタッフ部門がダメだと思っていました。
ある時このことに関して、私の部門長に現場がわからないダメなスタッフだと愚痴こぼしたのです。同じ部門なので当然私に同意するものと思っての発言でした。しかし、返ってきた言葉は。
「それはなぁ、あんたが悪いんだよ。スタッフ部門を納得させることができなかったあなたの問題。予算の範囲内で他の部門には承認が出ている。承認が出た部門の書類の方があなたの申請書より説得力があったということだ。ただそれだけ。」
要はストレートに「無能なのはあなたです」と言われたのです。確かにスタッフ部門は他意があって却下したわけではない、確かにそうだと納得しました。それ以来、私はものの見方が変わった気がします。しかも、妙に自分の問題とすることでストレスがなくなる気がします。
世の中は不公平や不条理がいっぱい
さて、会社でも世の中を見てもおかしいと思うことや不満がたくさんありますね。そもそも生まれた環境から個人の能力まで実は平等ではないですね。社会に出てからも納得のいかない会社方針、わからずの上司、パワハラ上司、思うように動かない部下。仕事をしないで調子のよい同僚・・・不満は盛りだくさんです。
そんな様に色々と不満はありますが、大きなことは変えられないと諦めて受け入れているのではないでしょうか。しかし、身近なことになるとどうして分かってくれないのか?とストレスを貯めていませんか。
残念ながら、組織や上司、部下を変えることは容易ではありません。逆に組織、上司、部下変えたいと考えている自分自身が間違っているかもしれないのです。
こんな時は見方を変えて、自分を変えて組織や上司・部下に良い影響を与えると考えてみたらどうでしょうか。
ポジティブ思考はストレスを貯めず物事を前に進める
こんなこともありました。Aさんは上司の癖をよく理解していました。ある機能を入れようとしたら上司はその機能は不要と判断したそうです。しかしAさんは表向き「はい」と言いながら実はそっと隠れてその機能を盛り込んでいました。理由は、今は上司は理解できないが必ずあとで変更を言ってくる、ということを過去にもたびたび経験していたのです。あとになって機能変更するのは大変な負荷がかかるので、Aさんはその機能を入れていたのです。少なくともこれで無駄な議論や後戻りは防ぐことができました。賢いAさんの勝ちでした。
他責にしたり、理解してもらえないことをストレスに抱え込むのは非常に心身をむしばみます。脳の中は建設的なことを考える余地がなくなってしまいます。
決して会社を悪くしようとしている訳ではないと思います。上司も部下に能力を発揮してもらいたいと思っているはずです。なぜならそれがプロジェクト、組織運営の成功につながるはずだから。
他人を変えるのではなく、自分がどう変われば、どのように行動すれば、どのような言い方をすればうまくいくのかを考えていくときっと前に進むと思います。ストレスも軽減されます。
<コンサルタントT.I>