転職者たちの「今」

リーベルで転職した人たちは新たな舞台でどのようなキャリアストーリーを描いているのでしょうか。転職後の「今」に迫ります。

  1. IT転職リーベル ホーム
  2. 転職者たちの「今」
  3. セコムトラストシステムズ株式会社 D.Tさん

セコムトラストシステムズ株式会社

D.Tさん

地方企業での悔しい経験から東京のシステム会社に転職
EDIの伝道師として電子帳票のやり取りを各業界で実現

プロフィール
東京の理系大学の情報システム工学科でプログラミングやシステム設計を学ぶ。卒業後、Uターン就職で出身地の地元メーカーに入社。社内の情報システム部門に所属し、EDIシステムの構築と保守運用を担う。その後、東京で働くことを志向し、リーベルの支援を伴う転職活動を経て、セコムトラストシステムズに入社。

大学卒業後は出身地に戻りたい気持ちが強く、Uターン就職で入社したのが地元の電子部品メーカー。情報システム部門に配属された。
そこで、運命的な出会いがあった。それは「人」ではなく、EDI(※)という専門的な「システム」の構築・運用の担当になったことだ。
そのメーカーではEDIを自社開発しており、要件定義から設計、構築、テスト、本番稼働、保守運用と一連の流れを経験できた。
だが、数多くの活躍にもかかわらず、年功序列の壁に阻まれ、キャリアに行き詰まりを感じていた。結婚を機に転職を志向し、セコムトラストシステムズへの入社を果たした。
配属されたのはEDIサービスを展開する部署。今度は使う側から各業界に提供する側に立場を変えた。
EDIで取引データが紙から電子に変われば、現場は圧倒的に便利になる。導入するとどの顧客からも手放しで喜ばれた。とてもやりがいのある仕事だと実感した。
今は、役職を与えられ、昇給も果たした。部下を持ち、EDIの伝道師としてチームをけん引する。
転職後に訪れた大ピンチ、それを乗り越え、勝ち取った充実した日々。そしてEDIサービスの魅力と今後、エンジニアとして携わる利点を聞いた。

※EDI:企業間取引で発生する受発注書、納品書、請求書などの帳票のやり取りを専用回線やインターネット回線で電子的に行うシステムのこと。

運命的なEDIとの出会い

大学卒業後はUターン就職をして地元企業で働くと決めていた。入社し、配属されたのは電子部品メーカーの情報システム部門。与えられた仕事がEDIシステムの構築と保守運用だった。その最初の業務がキャリアの運命を変えた。

—— 情報システム工学科で学び、地元に帰って就職した経緯を教えてください。

Tさん:私の父が地元の市役所でシステム部門に所属しており、街の情報システムを作ったり管理したりする姿を見て育ち、将来は自分も同じような仕事をしたいと漠然と思っていました。東京の大学でプログラミングを学んだのも、そうした思いがあったからです。卒業後は地元でUターン就職することしか考えていませんでした。幸い、地場の電子部品メーカーに採用が決まり、社会人としての一歩を出身地で踏み出すことができました。

—— そこで運命的なシステムとの出会いが待っていました。

Tさん:新入社員として、最初に与えられた仕事が取引先とEDIのシステムを構築して運用する業務でした。入社した電子部品メーカーは全国各地の企業と取引があり、そうした企業と個別に交渉してISDNを使った専用回線をつなげてEDIを導入し、帳票を電子データでやり取りできる仕組みを作るのが役目です。EDIという専門的なシステムではありますが、通常のシステム開発と同様に、要件定義から本番稼働、その後の保守運用まで、上流から下流まで一通り経験できたことは、エンジニアとして非常に有益だったと考えています。

—— EDIの仕事はやりがいがありましたか。

Tさん:当初はそれほど感じることはありませんでしたが、案件をこなす中、徐々にEDIというシステムの魅力に気づけるようになったことも、自分のキャリアでは大きなポイントです。自分が作ったシステムによって、取引先から送付された電子の発注データが自社工場に送られ、生産されて出荷されるとその出荷データがまた取引先に送付される。その後の受領データや支払いデータも全てシステム上でやり取りが行われる。部品という物が動くのに並行して関連する電子データが自動的に行き来し、紙や電話、ファックスで行うより格段に便利になります。その様子が手に取るように分かり、EDIが裏方でビジネスに貢献していることが、実感できたのです。世の中に様々なシステムがある中、EDIはどの企業にとっても必要で、最も有用なシステムの一つであることが理解でき、今後も携わっていく価値があると思いました。

—— そのまま地元のメーカーで勤め続ける選択肢もあったのでは。

Tさん:仕事は面白く、その点では問題ありませんでした。ただ、その会社での唯一の不満が年功序列であったこと。地方の企業で、伝統的な制度の中では仕方ないことだったかもしれません。しかし、年齢ではなく成果や能力に見合った役割を与えてくれる企業で働きたいという思いは日増しに強くなっていきました。そんな時、東京で働いていた今の妻と結婚する話が持ち上がります。地方で転職先を探すのは困難。そうであれば、東京で仕事を見つけて、結婚を機に転職して新しいスタートを切ることも選択肢の一つではないか。そう考え、私は地元から大学生活を過ごした東京に戻り、働く決心を固めたのです。

モットーは顧客に120%の回答をすること

再び東京に戻り、働く。そう決めて、転職エージェントを探した。選んだのはスカウトメールの内容に引き付けられるものがあり、信頼できると思ったリーベルだった。早速、転職の相談をするために面談を試みた。

—— リーベルとの面談ではどのような話を?

Tさん:私はEDIのスキルが武器であり、今後もずっと関わっていきたいと思っていましたので、その経験と技術が最も活かせる会社はどこかと相談しました。リーベルの担当者にはいくつか候補を挙げていただきましたが、その中で最もマッチすると感じたのがセコムトラストシステムズでした。同社では様々なEDIサービスを、あらゆる業種に提供しており、この会社であれば、私のスキルを発揮しながらEDIを各社に広く普及させ、世の中のビジネスの効率化に貢献できると思ったからです。転職先はここ以外考えられず、同社一択で臨むことにしました。一般的にEDIに精通する若手人材は少なく、面接を受けると、同社はすぐにでも採用したいという意向でした。両者の思惑は一致し、私はセコムトラストシステムズの一員として、第2のキャリアを歩むことになったのです。

—— 入社し、EDIサービスを展開する部隊に配属されました。

Tさん:同じEDIの経験でも、前職では利用するユーザーの立場でしたが、今度は顧客に提供する立場となり、営業部隊と共にサービスを次々と提案し導入していくことが仕事となりました。私の担当は、導入を希望する企業に、必要に応じて専用回線を引き、EDIサービスを要件に合うようにカスタマイズ開発して本番稼働までこぎつけ、その後の保守運用も担っていくことです。例えば、大手ホームセンター(HC)でのEDI導入を任された時は、その会社と取引する卸業者数十社に同時に入れることとなり、規模も大きくなります。入社数年後には同時に3つのHCを担当したこともあります。
そうしたマルチタスクの中でも、私は心に決めていたことがあります。それは、納期を100%守ることです。様々な問題や課題もありましたが、その目標はクリアし、私はこの会社でやっていける自信を得ることができました。

—— サービスの提供側としてやりがいを感じる瞬間は?

Tさん:顧客のビジネスの裏側で、EDIが稼働して商品が回っていることを実感する時です。導入したHCや家電量販店の売り場ではEDIがあるから今日も無事商品が陳列できます。企業向けのサービスではありますが、その貢献度が見える、いわば“可視化できるB2B”であることにも、EDIの魅力といえるでしょう。

—— 仕事で最も心掛けていたことは何でしょう。

Tさん:顧客に対し、120%の回答をして差し上げることです。要望に応えることは当然ですが、プラス20%を上乗せすることが大切だと思っています。例えば、本番稼働後、当社のEDIサービスを使っている顧客から「基幹システムが変更されることになり、EDIをどう対応させればよいか」と相談を受けたとします。通常であれば、変更するベンダーに相談することが筋であり、そう助言することも一つの手。ですが、私は変更点を聞いて確認すべきポイントを伝えたり、ベンダーに聞くべきことをリストアップしたりするなど、セコムのEDIサービスをこれからも継続して利用したいと思って頂けるよう真摯に相談に乗ることをモットーとしています。

—— サービス以上のことを行うと負担も増えます。

Tさん:確かに、自分の仕事が増え、会社としても工数が掛かるため、良し悪しの判断は分かれるところかもしれません。しかし、私は「顧客の役に立ちたい」「できることはやり尽くす」という思いを信条としています。そうして役に立つことで、満足度が向上し、ビジネスで最も重要な「顧客からの信頼」を得ることができるのです。長い目で見れば、プラス20%の精神は会社にとっても利益になると考えています。

技術を目で盗み、チームをけん引するリーダーに

転職後、実はピンチに陥ったこともある。古参社員の定年退職と属人化された技術の伝承の危機だ。これはEDIに限らず、様々なシステムや技術で起こり得る、IT業界の課題といえる。転職先で直面した由々しき事態。一体どのように解決を図ったのか。

—— 転職後、困難な局面はありましたか。

Tさん:最大のピンチは、5人いたEDIサービス部隊のメンバーのうち、3人が数年後に定年退職することになっており、その顧客との関係や技術、ノウハウを受け継がないと、部署が回らなくなる可能性があったことです。EDIは古くからあるシステムで、なおかつノウハウが属人化されがちです。業界全体的にEDIに携わっているのは高齢の社員である場合が多く、その貴重な人材の退職はどの会社でも大きなリスクとなっています。セコムトラストシステムズでも同様の問題を抱え、私ともう一人の社員で何とか解決することが至上命題となったのです。

—— どのように危機を乗り切ったのですか。

Tさん:とにかく、その3人と片時も離れず、案件には積極的に同行し、移動中も時間を無駄にせず、根掘り葉掘り質問し、彼らが持っている全てを自分が吸収する覚悟で、残された日々を過ごしました。個性的な先輩ばかりで、彼らから進んで教えてくれることはなく、どちらかというと「技術は目で盗め」という昔ながら職人気質のタイプです。ノウハウの吸収は一筋縄ではいきませんでしたが、それでも食らいつき、定年退職されるまでに何とか必要なことを受け継ぐことができました。

—— そうして吸収したものはどのように活用を?

Tさん:自分の日々の仕事の中で活かすだけでなく、新しくチームに加わった後輩に積極的に伝承していく活動を進めています。具体的には、先輩方から盗んだ技術、ノウハウを標準化、マニュアル化することで、誰でも簡単に習得して日々の仕事の中で活用できるようにしています。そうやって、知見をメンバーに展開していくことは労力がかかることですが、EDIを伝承する自分の責務として行っています。また、そんな取り組みが上司に評価され、入社5年目には「主任エンジニア」という役職を得ることができ、昇給も果たしています。

—— 前職では年功序列に悩みました。

Tさん:セコムトラストシステムズはしっかりと成果と能力を評価する仕組みが整っており、責任のある仕事を任せていただいています。今は主に案件を統括管理する立場として、東名阪の3カ所に拠点を持つEDIチーム16人のメンバーが抱える導入プロジェクトの進捗を管理し、技術面をチェックするリーダー的な役割を果たしています。毎日進捗確認して助言を与える案件は10〜20件あり、以前は、現場で顧客と直接話して、要望に応えることに喜びを見出していましたが、今は、メンバーを管理する仕事も面白くなり、やりがいを感じるようになっています。

これからが本格拡大期となるEDIサービス

EDIチームを率いることになり、今後は、国内や海外でのサービスの拡販を目標としている。中小企業ではEDIの導入がまだ道半ばであり、政府が企業間取引の電子化を後押しする中、これからが本格的な市場の拡大期となる。求めているのは、チームに入って共に普及を担うメンバーだ。

—— EDIサービスの今後の見通しはいかがですか。

Tさん:EDIは絶対になくならないサービスです。むしろこれからは今以上に普及していく局面になるでしょう。人手不足や、ビジネスのスピード化、効率化が求められる中、企業間の帳票を自動化できるEDIは、疑いなく、必然的に取り入れるべきサービスだからです。さらに、今後特需もあります。一つが、NTTがISDNのサービスを2024年に終了すると発表していることです。それに伴い、ISDNからインターネットにネットワーク部分を切り替えるニーズが生じます。もう一つが、22年1月施行の改正電子帳簿保存法と23年に導入されるインボイス制度です。この新しい法律の施行によってEDIで電子的に帳簿を管理する必要性が高まります。EDIは間違いなく注目のサービスとなるでしょう。

—— セコムトラストシステムズとしても、大きな需要に対応するため、陣容の拡充が急務です。

Tさん:EDIの構築は、裏方の仕事ではありますが、世の中に確実に役立ち、貢献できるものです。何より顧客から「便利になった」「とても楽になった」と、喜びの声が聞ける点が魅力であり、やりがいが持てる点です。技術的にはシンプルであり、EDIの構築経験がなくても、ベーシックな技術力がある人であればキャッチアップは可能です。顧客とコミュニケーションを図りながら、喜ばれる仕事がしたいのであれば、ぜひ一員に加わって活躍していただければと思います。

—— 最後に今後のキャリアプランを教えてください。

Tさん:EDIの業務には、5年、10年としばらく携わっていきたいです。しっかりとチームをマネジメントして、国内だけでなく、海外にもサービスを拡販していければと思います。当社の強みは、親会社のセコムのブランド力と、セコムトラストシステムズが持つ高いネットワーク構築力、セキュリティ力です。そうした安心・安全のブランド、高品質なサービスを背景に、EDIサービスでも成果を出していければと考えています。

—— EDIサービスの将来性や魅力が読者の方々にも伝わったと思います。ありがとうございました。

ライター プロフィール

高橋 学(たかはし・まなぶ)
1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
◇主な著書
『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。
注目のキーワード: