- プロフィール
- 東京の私立大学法学部を卒業後、グローバルに事業を展開する外資系SI会社に入社。ネットワーク運用・構築、エンドポイント型のセキュリティ製品の導入運用に携わる。セキュリティ業界への関心が高くなり、リーベルの支援を受けながら転職活動に挑み、NTTデータの内定を獲得し、転職。技術革新統括本部 システム技術本部 セキュリティ技術部に配属された。
ひたすら自己研さんし、仕事でも結果を出した。そして、セキュリティへの関心が高まり、リーベルの支援で、NTTデータへの転職を果たした。
配属されたのが、技術革新統括本部 システム技術本部 セキュリティ技術部。セキュリティに関して、最先端の技術研究を行い、独自のソリューションを開発しながら、それらの知見やノウハウ、スキルを社内の事業部に技術支援という形で提供する専門部隊だ。
NTTデータに中途入社すると、どのような環境で仕事をすることができ、自身を高めることができるのか。セキュリティ技術部での話を中心に、知られざるその実態を聞いた。
セキュリティの専門家として社内で縦横無尽に活躍
NTTデータに転職後、配属されたのが、技術統括革新本部(技統本)の中のセキュリティ技術部という部署だ。技統本はコストセンターであり、1000人以上が所属。人数だけ見れば、一つの会社ができてしまうほどの大きな組織だ。実際どのような活動をしているのだろうか。
—— まず、所属されている上部組織に当たる技統本について、どのような部署であるかを教えてください。
Mさん:技統本は、「先端技術の研究」「その技術を基にしたソリューション開発」「そうして得られた知見やノウハウ、スキルを使った社内事業部へのプロジェクト支援」の主に3つを担っている組織です。そうした中、私が所属するセキュリティ技術部では、①社内でセキュリティのインシデントを監視し、対処するCSIRT(CERT)チーム、②プロジェクトが守るべきセキュリティの規定を決め、全社的に展開、管理するチーム、③セキュリティの技術支援やソリューション開発、R&Dを行うチームに分かれ、私は③のメンバーとして活動しています。
—— 入社後は具体的にどのような仕事を。
Mさん:主に携わったのが、プロジェクト支援です。入社後2年間で10件ほどの案件を経験しています。その支援のアプローチも大きく3つくらいに分かれます。一つが、各事業部がシステム開発を行う時、専門家としてメンバーに加わり、セキュリティ領域の設計を支援することです。例えば、クラウドのセキュリティに詳しいメンバーがプロジェクトにいない場合、アサインされ、知見やスキルを提供します。
次が、クライアントのセキュリティに関するルール作りを行うこと。例えば、クラウドサービスを使う際のルールが無ければ、現場が独断でAWSの契約をしてしまうなど問題が起きかねません。そこで、我々のような専門家が支援して、クラウドサービス導入のルール作りを行い、社内ガバナンスを効かせてセキュリティを向上させます。こうしたルール作りにも携わりました。
最後が、緊急対応です。既に運用しているシステムでインシデントが発生した場合にその対処と、今後起きないための改善策を提案します。こうした案件も数件経験しています。
—— 通常の案件から、少し上流概念の社内ガバナンス支援、そして緊急対応まで、NTTデータのセキュリティ技術部では、短期間で幅広く経験を積めることが分かります。
Mさん:経験したのはそれだけではありません。プロジェクト支援と並行して、もう一つ、2年の間に私が担当してきたのが、R&Dの領域の仕事です。内容は、社内で活用できるセキュリティのガイドラインを策定することです。官公庁ではNISC、金融機関ではFISC、クレジットカード関連ではPCI DSSなど、システムを構築する際に準拠すべきセキュリティの統一基準が各領域で決まっています。それらを個々のプロジェクトに落とし込む際の方法を示すのがガイドラインです。従来、それぞれの案件の担当者がその都度行ってきたことを、私が中心となって社内事例を基に整理し、横断的なナレッジとして標準化したものとなります。これを全社に展開することで、効率化とリードタイムの短縮、コストダウンを図ることができるというわけです。NTTデータに入って、プロジェクト支援とガイドライン作りの両方に携わることができたのはバランスがよく、自分にとって非常に有益だったと思います。
社内のセミナーや勉強会で学ぶ機会は無数にある
前職で、セキュリティ分野では製品の導入に携わったことはあったが、多くの経験を積んでいたわけではなかった。それが、入社直後から、プロジェクト支援、さらにはガイドライン作りと、重要な案件にアサインされ、結果を出している。秘訣は何か。
—— セキュリティ分野でそれほど多くの経験がなかったことは、不安ではありませんでしたか。
Mさん:特に不安はなかったですね。前職でも、新規の仕事でキャッチアップして結果を出してきた自負があったからです、それに、NTTデータの同じ部門やチームで働く人たちが非常に優秀で、プロアクティブに動いてくれる人たちばかりだったことも、とても心強く、力となりました。自分一人でできないことも、そうした他の社員の知見や力を借りて、チームとして進めることができたのです。
—— 知識やスキルを高める点で、NTTデータの体制や仕組みはどうでしょうか。
Mさん:これも、入社してから気づいたのですが、個々のナレッジやスキルを、他の社員と共有しようという意識が非常に強い組織であると感じました。社内のイントラサイトには、様々な事業部や技術系の部署の人が、セミナー、勉強会、相談会を行うことが高頻度で告知され、自分さえ勉強したいと思えば、その機会は無数に広がっています。レベルが非常に高いため、内容についていけるかどうかはその人次第ですが、「技術を高めたい」「スキルを高めたい」と思っている人にとっては、格好の場が用意されていると言えるでしょう。私もAWSに関する知識が不足していたので、早速社内勉強会に参加し、それを足掛かりに自己研さんし、既に関連する資格を3つ取得しています。
—— NTTデータというと、上流でプロジェクト管理を行うイメージが強いですが、社内にも技術やスキルを磨く場が多数用意され、しっかり蓄積されているようですね。
Mさん:確かに、技術面などを協業するパートナー企業に任せる部分もありますが、技統本には、社内の人間である私が言うのも何ですが、驚くほどレベルの高い人たちが数多くいて、そうした人たちが全社ナレッジとして積極的に共有しているのも事実です。このことは、あまり外部に知られていない側面かもしれません。
—— 入社以降、プロジェクト支援を多く手掛けてきているようですが、そうした案件はどのようにアサインされますか。
Mさん:基本的には上司からの指示ですが、その他にも、プロジェクトや部署で社内公募が活発に行われている点が特徴です。様々な案件が社内のイントラネットに掲示され、応募できるようになっているのです。例えば、「ネットワークとクラウドのセキュリティ全般を行う部署で、やる気のあるプロパー募集」などの公募があります。私の周りからも、「違うジャンルの仕事をしたいと思っているなら、転職を考えるより、まずこの社内公募に見た方がよい」と言われるほどです。それほど多ジャンルの公募が上がっているのです。内部で手を挙げて、いわば“社内転職”ができることも、NTTデータで働く利点でしょう。
—— 技統本での労働環境はどうでしょうか。
Mさん:これは、部署によっても違うと思いますが、技統本についていえば、正直、非常に働きやすいです。リモートワークが可能ですし、業務の途中で中抜けして、用事が終わってから仕事に戻る分断勤務も許可されています。実際に、私の部署でも同僚が「子供が熱を出したので2時間抜けて病院に連れて行ってからまた仕事に戻る」といった例があり、フレキシブルです。昼間の時間が削られた分、残業になることもありますが、振られたタスクの納期さえ守って成果を出しているのであれば、働き方は基本的に自由です。
NTTデータに入ったからには新しいサービスを作りたい
NTTデータの技統本に入り、セキュリティ分野のプロジェクト支援とガイドライン策定で結果を出してきた。社内で高度な人材との交流や勉強会を通じ、自身のスキルも高まってきた。今後はどのような仕事をしていきたいか。また、どんな人材に来てほしいと思っているのか。
—— NTTデータに入社して充実した日々を送っていると思います。今後の目標は何でしょう。
Mさん:自分が人より長けているのは、人と人との間に入って調整することや、会議や折衝でファシリテーションをすること。技統本内の非常に高度な技術を持つ人たちの中で、技術的な知見やスキルを高めつつ、こうした自身の能力を活かしながら貢献できればと思っています。また、せっかくNTTデータに入ったからには、何か新しいサービスを作ってみたいという思いもあります。日本では、顧客の要望があってシステムを作る受注型ビジネスが主流ですが、海外ではAmazonのAWSを筆頭に、自分たちのサービスを作って、使ってもらうビジネスがメインストリームです。NTTデータでもサービスを作って顧客に使ってもらい、フィードバックを得ながら改善していくようなモデルに注力するようになっています。私もそうした新しいサービス作りに携わり、国内だけでなく、海外にも展開していくような大きなビジネスにチャレンジできればと思っています。
—— NTTデータの技統本で働くメリットやアピールポイントは何ですか。
Mさん:簡単に言えば、規模の大きさと働きやすさです。NTTデータだからこそ、ここまで技術やスキルを磨くことにお金を掛けられます。何度も言いますが、人材のレベルが本当に高いです。知的好奇心があって、「自己のスキルを磨きたい」「セキュリティの最先端を学びたい」「R&Dでソリューションを作っていきたい」という思いがある人は、ぜひ一員になって、一緒にチャレンジできればと思います。
一方で、技統本では、グローバルな業務にも携わることができます。NTTデータ自体が、現在海外での売り上げを急速に伸ばしており、私と同じ中途採用のメンバーが中国に出向し、他にも同じ部署のメンバーがセキュリティの専門家としてシンガポールに行っています。NTTデータがアジア、欧米でのビジネスを広げていく中で、海外で活躍するチャンスも増えていくと思われます。
—— 最後に転職を目指す人に一言メッセージを。
Mさん:SIerに勤めている人であれば慣れていると思いますが、自分がなぜ転職したいのかを、分析して徹底的に考え抜いた方がいいと思います。理由を、箇条書きで書き出しても良いですし、マッピングをすること、フレームワークで分析することも有効でしょう。そうすることで、「当初は今の職場が嫌で転職しようと思っていたが、実は、他にやりたいことがあり、その思いが強いことが分かった」など、発見や気付きが得られ、それによってジャンルや応募企業が絞れることが、往々にしてあるのです。
また、複数の内定を取得した場合も、分析が重要となります。私は、転職活動の時、NTTデータの他にもう一社内定を得たため、両社について、給料、勤務地、将来性、激務度、福利厚生などExcelで約40行に及ぶ項目を書き出し、それぞれに「◎」「○」「△」を付けて、総合点でどちらが上かを検討しました。その比較表だけで判断するわけではないのですが、参考にしつつ、そこまで考え抜いて決めれば、後悔することはないと思ったからです。こうして、自己分析や内定先分析をぜひ行って、納得のいく転職を手にしていただければと思います。
—— 普段仕事で使っているフレームワークや定量化の手法も、転職の際に使ってみると、見えなかったもの、気付かなかったものが可視化できそうです。ありがとうございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。