- プロフィール
- 立正大学経営学部卒業後、二次請けのシステム会社に入社。大手銀行の年金システム開発に携わり、複数の大規模プロジェクトを経験。年金システムの再構築プロジェクトでは、一次請け会社(国内大手メーカー系ベンダー)と共同で提案書・見積書を作成するとともに、サブリーダーに任命され、二次請け複数社の管理・指導、顧客折衝、システムアーキテクト、他チーム調整なども担当した。培った経験を活かして自身の可能性を広げるため、電通総研に入社。
そしてさらなる成長に向け、自らも一次請けの会社へ。リーベルの助言を受け、面接をクリアし、第一志望の転職先に進む念願を見事かなえた。
どのようなリーベルからの転職支援が有効だったか?また、自分の弱点を強みに変える面接の秘策とは?転職を成功に導くためのポイントを聞いてみた。
大規模プロジェクトでサブリーダーを経験
新卒採用で入社した二次請けシステム会社では大手銀行の担当に。一貫して年金システムの開発に従事し、複数の大規模プロジェクトもサブリーダーとして参画した。年金システムのスペシャリストとして、一次請け会社からもユーザーからも厚い信頼を得てきた。
——大学卒業後に入社したシステム会社での業務内容を教えてください。
Tさん:入社以来、一貫してある大手銀行の年金システム開発に携わってきました。当初は法改正対応やトラブル対応などが中心でしたが、入社5年目にその大手銀行が他行と統合することになり、それに伴うシステム統合のプロジェクトに参画。要件定義から本番移行までサブリーダーとして、主に仕様管理や課題管理を担当しました。
——大規模プロジェクトを経験して得られたものは?
Tさん:一次請け会社のプロジェクトマネージャーが30代半ばで非常に有能な方で、一緒に仕事をすることで自分の経験値を上げることができました。その方はPMBOKの考え方を重視し、細かい作業単位にして管理する方法を徹底して用います。またスケジュールは納品日から逆算して組み、いつまでに何をやらなければならないかを強く意識して進めます。私もそれらの方法を取り入れることで、期日通りに品質の高いシステムを作るノウハウを身に付けられました。
——入社9年目にまた年金システムの再構築という大規模プロジェクトを経験していますね。
Tさん:このプロジェクトでは一次請け会社から年金システムの有識者となっている私に声がかかり、“超上流工程”の提案活動から参画。ユーザーとの折衝を重ねて提案書と見積を一次請け会社と共同で作成し、受注に成功しました。本来二次請けの立場でこのような超上流工程の作業をすることは難しいのですが、機会に恵まれ、これも非常に良い経験となりました。
——サブリーダーとして他にも様々な業務を担当したようですね。
Tさん:ユーザーも現場に入って一緒になって開発を進めたので、私はその顧客メンバー管理から複数の二次請け会社の管理も担当。また国内でも導入事例に少ないETLツールによる開発にも取り組んでいます。開発期間中に東日本大震災が起こり、一時遅延も発生しましたが、この新しい言語の導入でリカバリーでき、工数の圧縮と品質の向上を実現。最終的には納期の2カ月前にカットオーバーできる状態に持っていくことができました。このプロジェクトで一次請け会社、他の二次請け会社、ユーザー部門とコミュニケーションを図りながら開発する経験を積めたことは、私にとっても貴重なキャリアとなりました。
一次請けの目線で物事を語る
二次請け会社にいながら、ユーザーと直接コミュニケーションを取りながら開発を進めるという貴重な経験を積んだTさん。しかし、今後こうした案件に恵まれる可能性は高いとはいえない。Tさんは自分のキャリアプランを再考し、将来に向けて一歩を踏み出す決心を固める。
——10年以上勤めた会社を辞めてなぜ転職しようと考えたのですか?
Tさん:ユーザーと直接折衝し一緒にシステムを作っていく醍醐味を知り、ノウハウも身に付いた今、今後も同様のプロジェクトを数多く経験し、自分を成長させたいと思ったことがきっかけです。二次請け会社で今後こうした案件を続けていくことは難しく、一次請け会社への転職を志向するようになりました。
——転職活動のパートナーとしてリーベルを選んだ理由は?
Tさん:転職サイトに登録し複数のエージェントからメールをいただきました。ただ、ほとんどのメールが定型的であり、温かみが感じられず、機械的に作業をしているように見えた。それに比べ、リーベルのコンサルタントからのメールは全く異なり、「あなたならこのような業務にチャレンジできる」、「あなたならこういう方向性が向いている」と事細かに書かれていました。このコンサルタントは私の履歴書を丁寧に読み込み、親身になって考えてくれている。それが伝わってくる温かい文面であり、リーベルなら一緒に転職活動を乗り切れそうだと思いました。
——リーベルの支援や助言で有効だったことは?
Tさん:面接での答え方では数多くの有用なアドバイスがありました。例えば、リーベルのコンサルタントの前で面接の練習をした際、「一次請けの目線で話した方が良い」とアドバイスを受けました。二次請け会社は開発を納期内に終わらせることだけを考えますが、一次請け会社は顧客がどれだけ満足するか重視します。私は二次請け会社でしたが、ほぼ一次請け会社と同様の仕事をしてきたので、目線のレイヤーを一段上げて、顧客満足度の向上を重視したことをアピールする方が面接官の心にも響くというわけです。
——電通総研の面接の際は一次請け会社の視点でアピールしたわけですね。
Tさん:そうです。例えば「仕事に対する姿勢は常に積極的な提案型でありたいと思い、実践してきた」とアピールしました。具体例として、震災で遅延が発生した際、やむを得ない事情として全体のスケジュールを遅らせるのではなく、どう進めれば期日に間に合うかを私の方から顧客に提案したことを挙げました。あるいは通常二次請け会社ではプロジェクト計画書を作りませんが、私は常に作成し、スポンサーのオーソライズをいただいてからプロジェクトを進める方法を取っていたことも伝えました。これらの姿勢や方法は電通総研の面接で非常に評価されました。
弱点は隠さず、逆にアピールポイントに
大規模プロジェクトの経験が面接でプラス材料になる一方、年金システム以外の開発経験がないことは、Tさんにとってマイナス材料となるリスクがあった。面接官の指摘を受けた時どう答えるか。Tさんは自らが考え出した“秘策”でこの弱点をカバーしようと考えた。
——Tさんは前職で一貫して年金システムの開発を担当してきました。その道のスペシャリストではありますが、逆に他の分野は未経験です。面接の際のネックになりませんでしたか?
Tさん:私にとってもそれは懸案事項でした。そこで、その点は隠さずに最初からさらけ出し、逆にアピールポイントにつなげられるように準備しました。どういうことかというと、まず、自ら経験業務数が少ないことが課題であると認めます。一方で、キャッチアップが得意なことも伝えます。
——キャッチアップできることをどう伝えますか?
Tさん:具体例を挙げます。例えば、顧客の大幅な業務改善に際し過去の業務知識だけでは不足したため、新たな業務要件を引き出していち早く身に付けたこと、あるいは、経験者不在のツールによる開発を実施する際に、メーカーへ積極的にヒアリングし最適な開発プロセスを検討し、実施したことなど。その上で、このように未経験な業務への順応力、獲得した知識を活用する応用力があるので、経験業務数の少なさも今後キャッチアップできるとアピールしました。
——弱点を逆に自分の強みの訴求に変えるわけですね。
Tさん:弱点を隠そうとすると、突っ込まれた時の印象が悪くなります。それなら最初から出してしまおうと。こうした面接対策もリーベルのコンサルタントとの相談で一つひとつ講じていきました。
「自分がどうなりたいのか」を徹底的に考える
自分の希望通りの会社と出会い、電通総研への転職を果たしたTさん。「全体を俯瞰し、管理できるプロジェクトマネージャーとして大規模プロジェクトを数多く担いたい」と、意欲を燃やす。転職が成功した要因を聞いてみた。
——初めての転職活動を成功させることができた要因を教えてください。
Tさん:転職活動を進めていると、日々疑問に思うこと、リスクに思うことが出てきます。それらをリーベルのコンサルタントに逐一相談したところ、一つひとつの相談事に真摯に答えてくれました。コンサルタントがエンジニア出身だったので、答えや提案も非常に的確。そのアドバイスの質の良さが、面接官の心に響く面接につながったのだと思います。
——ご自分のペースで転職活動を進められましたか?
Tさん:そうですね。他のエージェントと話をする機会もありましたが、「とにかく数多く応募しましょう」と言われることもあり、そうしたやり方には疑問を持っていました。その点、リーベルは「本当にやりたいことができる会社に応募したい」という私の意図を汲み取り、応募先を絞って提示。納得できる形で転職活動を進められました。
——最後にこれから転職活動に臨む方々にアドバイスを。
Tさん:今までのキャリアの棚卸しと、近い将来、あるいは10年後に自分がどうなりたいのかを考える時間を多く取ることが重要だと思います。私もこれを考える時間を十分に取りました。この軸をしっかり持たずに面接に臨むと、答えの焦点がぶれてしまい、面接官にも見透かされてしまいます。もし自分ひとりで考えることが難しければ、エージェントに相談すると良いでしょう。リーベルであれば、親身になって一緒に考え、プロのノウハウを用いて助言してくれます。
——自分の考えとプロのノウハウが上手くマッチすると、転職が成功する確率は高まるということですね。有難うございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。