正しい圧迫面接とは
こんにちは、ケンゾウです。最近は、世の中で「圧迫面接」という言葉が、普通に使われるようになっているようです。今日は、圧迫面接に関する私の考えを書いてみたいと思います。
昔は圧迫面接といえば、戦略ファーム特有の面接手法という印象だったのですが、今では他の会社でも実施されることがあるようです。ただ、私が大変残念に思っているのは、世間では圧迫面接の評判は非常に悪く、ネガティブな意味で言葉がひとり歩きしていることです。
ここで私のスタンスを明確にすると、私は、「正しい圧迫面接」は非常に有効な手法だと思っています。ここで「正しい」と書いているのは、メディアで問題視される企業の圧迫面接の事例を見ていると、もはや圧迫面接とは呼べないようなひどいものが多く、そういった面接を圧迫面接と呼んで欲しくないなあと思ってしまうのです。
では「間違った」圧迫面接とはどんなものか?その最たる例が、面接官が求職者の「人格否定」と言える発言をすることです。「そんなんじゃ、キミ、駄目なんじゃないの?」などと求職者自身を一方的に否定するような発言は一線を超えていると思いますし、個人的には、そういう人が面接官に選ばれるような会社には行くべきではないと思います。
正しい圧迫面接では何を見ているか、どう対応すべきか
では、私自身が面接官としてどんな点を見ていたかというと、(1)議論する力があるか見極めるということと、(2)どんな人かを見極めるという、この二点に尽きます。
(1)についてはロジック、説得力、対応力を見ていきます。そのためは人格否定をする必要などなく、求職者の発言の中で矛盾した点を指摘してみるとか、発言内容の根拠が曖昧な点を詳しく聞いてみるとか、そういったことで十分に判断できます。人格否定的な発言について、「相手を動揺させて冷静に対応出来るかを見るんだ」と言う人もいますが、先ほど言ったように、矛盾点を指摘するとか、発言の根拠を突っ込んで聞いていくだけでも、十分に動揺した時の対応力は見ることが出来ます。
ちなみに私の場合、圧迫をしているつもりはなく、淡々と上記のような質問をしているつもりなのですが、同僚からは「ケンゾウさんは、面接中にニコニコして言葉遣いもとても丁寧ですけど、言っている内容は結構厳しい突っ込みですよね」と言われたことがあり、結果的には圧迫面接になっていたのかもしれません(苦笑)。
ところで、こういった突っ込みに対応できるかどうかというのは、実務上、非常に重要な意味を持ってきます。何故かと言うと、プロジェクト進行中、チーム内で様々な議論をするのですが、その時にはメンバー間でお互いの意見にどんどん厳しい突っ込みを入れていくことで議論を深め、より本質に迫ろうとします。ですので、突っ込まれることで自分の考えをより深めながら議論を出来ないようでは仕事にならないのです。また、クライアントとの議論において、クライアントからの突っ込みを上手くさばけないようでは信頼関係どころではなくなってきますので、そういう意味でもすごく重要なのです。
では次に(2)のどんな人かを見極めたいという点についてですが、これは、発言内容について「どうしてそう考えたのか?」「なぜこう考えなかったのか?」というのを、しつこく掘り下げて聞いてみることで、求職者の方の価値観であるとか、判断基準、行動パターンなどが見えてきます。本当に普段からそう考えているのか、面接用に思い付きで発言しているかは、質問で掘り下げれば直ぐにわかります。また、質問していく中で、そういった価値観を持つようになったキッカケというか、原体験を求職者の方が語ってくれることもあります。そういった話を聞いて、この人と一緒に仕事をしてみたいなと思えるかどうかも、面接では重要な要素となってきます。
ですので、圧迫面接では、多少厳しい突っ込みや指摘をされても軽く受け流すくらいの気持ちで構え、とにかく自分の考えを率直に話す。その時に変に飾ろうとせず、ありのままの自分をさらけ出すのが最も効果的なんじゃないかと思います。変に飾ろうとすると、話に矛盾が生じて、容赦なく突っ込まれると思います(笑)。むしろ、自分に正直になった方が、首尾一貫して話がぶれませんので、議論相手として歯ごたえがあるなと思ってもらえると思いますよ。