失意の中、二つ目のプロジェクトで立ち直る
前回のコラムに書いたとおり、ケンゾウのデビュー戦は、惨めなくらいの完敗でした。かみさんによると、その頃は自宅に帰ってもボーっとして生気がなく、結構まじめに心配だったそうです。
しかし、一息つく暇もなく、最初のプロジェクトから離脱した翌日には、次のプロジェクトのために地方都市に出張しました。今度は、経営不振に陥った企業の事業再生のプロジェクトです。まずは自分自身を再生せにゃいかんのに、他の企業の再生なんかに取り組めるんかい!などと自分に突っ込めるほどの心のゆとりもなく、まずは出張先でメンバーと合流です。因みに、合流するまでプロジェクトの内容は殆ど説明を受けておらず、合流したその日にはプロジェクトが開始しているという無茶な状況でした(後に、それくらいじゃ驚かなくなるわけですが)。
因みに、今回も現場メンバーは3人です。マネージャーと私、そして若手という構成です。1ヶ月ちょっとの短いプロジェクトでとても忙しかったのですが、3人で分担しながら、沢山のデータ分析やインタビューをこなし、対象企業の再生計画を作ります。もちろんテーマとしては初めて取り組むものでしたが、今回は見違えるようにバリューを出せているのが自分でもわかりました。(話がそれますが、コンサルタントは「バリュー」という言葉をよく使います。もしかすると、読者の皆様にはウザイと思われてしまうかもしれませんが、自分自身が付加価値を出せているかということを常に意識しないといけない仕事であるため、ついつい口走ってしまう言葉です。)
そしてプロジェクトが無事に終了し、何とか二つ目のプロジェクトでは合格点をもらうことができ、首の皮一枚で生き延びることが出来たのでした。
最初のプロジェクトでの学び
「学び」とか書いてしまうとちょっと硬くなってしまいますが、今思うと、なんで最初のプロジェクトであんなに苦労したのでしょうか?もちろん私のスキル不足や、根性が足りなかったなど、理由は沢山あると思うのです。でも、それだと話がつまんないので、あえてコンサルっぽく「最大の理由は何だったか?」と問われたら、「アウトプットのイメージが持てないまま作業を進めていた」ということかなと思います。
ちょっと抽象的でわかりづらいかもしれませんのでもう少し説明すると、コンサルの仕事において、インタビューをするのは、そこから何らかの示唆を出して、それらを打ち手につなげていくためなのです(こう書くと「当たり前だ!」と言われそうですが)。その時に大切なのは、インタビューを進めながら、常に「何がわかったのか?」「どんなアウトプット(報告資料)にまとめようか?」ということも同時に考えないといけないのです。インタビュー中に「こうやってまとめよう」と考えれば、必然的に「それじゃあ、追加でこれも聞いとかないと資料としてまとまらないな」となって、インタビューが終わった頃には、頭のなかでアウトプットが8割くらい完成しているような状況となります。
まずはインタビューで事前に決めた「聞きたいこと」をひと通り聞いて、インタビューが終わってから整理しようと考えていたら、最悪の場合、結局何がわかったか分からないという状態に陥るのです。プロジェクトによっては、作業内容や報告書をどうまとめるかなどが、事前にある程度かっちり決まっている場合もありますが、テーマによってはそれらを走りながら考えないといけない場合があります。というか、戦略ファームの場合、むしろそういうプロジェクトの方が多いでしょう。なので、最初のプロジェクトでその辺りに上手く適合できずに苦労する人は結構、多かったような気がします。もちろん、私と違って、最初からびゅんびゅん活躍される優秀な人もいらっしゃるのですが・・・。