「業務での失敗経験を教えてください」
これは面接における典型的な質問の一つですが、この質問への回答ができるか否かで結果は大きく変わります。例を挙げながら理由を追って行きましょう。
失敗を失敗と認められるか否か
面接練習をしていると、冒頭の質問に対して「業務での失敗経験はありません」と回答する方が稀にいますが、私が面接官なら間違いなくお見送りにするでしょう。
失敗から学ぶとはよく言いますが、「失敗したことが無い」は「成長が無い」と同義だと私は思っています。
- 失敗したことが無い
- =業務で今まで怒られたことも、注意されたことも無い(そんな人はいないと思いますが)
- =新卒と同じである
- =中途採用する理由が無い
というのがお見送りにする理由です。
これは極端な例でしたが、この質問に対して皆さんはうまく回答できるでしょうか。
業務での失敗経験の模範解答はありません。例えば、
- 例1)
- 「設定をミスしたままリリースしてしまい、1週間気付かず顧客からクレームが入った結果、総計数千万の損失が出た」
- 例2)
- 「テスト時に誤ってデータベースを丸ごと消してしまった」
など、どんな内容でもよいと思いますが、重要なポイントはその先にあります。
失敗経験から何を学び、その後どのようにしたか
面接官が知りたいのは、失敗経験の内容そのものではなく、その失敗経験から何を学び、その後どのようにしたか、ということなのです。失敗経験の内容そのものは、面接官も正直なところあまり気にしていません。
先述の例の場合、
- 例1)
- 「そのミスを受けて、その後はダブルチェックを行うようにして手順書も更新し、対応を徹底するようにした」
- 例2)
- 「そもそも設定ミスが起こらないようにシステムで制御した」
など、単に失敗経験を言うだけでなく、その後どうしたかを、続けて話すということがポイントです。
実は「その後どうしたか」に関しても正解はありません。
この嘘のない失敗後の行動こそがその人の人間性を表しますし、軸が通った人なのか、他の質問回答との齟齬が無いか、といった面接官が本当に知りたい「この人はどんな人なのか」を知る材料になるからです。
「この人は技術者だし、問題をシステム化のような技術的に解決することが得意なんだな」
「この人は強みでも言っていた折衝力を生かして、周りと協力し合うことで苦難を乗り越えてきたんだな」
などと、回答から面接官はその人を想像し、自社にマッチするかどうかを見極めているのです。
失敗と思うかどうかは自分次第
そうは言っても、どうしても失敗経験が思い浮かばない、という方もいるでしょう。
重要なのは、「客観的に見て、反省することが出来ているか」「自責と思えているか」ということです。
先述の例の場合に、
- 例1)
- 「設定ミスを発見できなかったテストは行った者のせいであり、自分の失敗ではない」
- 例2)
- 「そんなコマンドで消えてしまうデータベースの作りが悪い」
と、他責にしてしまっては確かに自分の失敗とは気付きません。
失敗経験が思い浮かばない場合には、「自分はミスしたと思っていないだけではないか、周りにはどう思われていただろうか」「あれは今思い返すと上司に非常に迷惑をかけたかもしれない」など、客観的に振り返ってみることが大切です。
この振り返りは、面接の対策だけでなく、考え方そのものや業務での円滑な関係性構築といった、そもそもの業務改善にも繋がるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
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