“機械学習”の波が到来
ここ最近、企業側から求められる経験として、「機械学習の経験者」「ディープラーニングの知見を持つ方」というポジションが本当に増えてきました。機械学習というキーワードはIT雑誌や新聞だけに留まらず、実際にあらゆる企業の開発現場で活用が始まってきたと強く感じています。
そもそも機械学習とは何でしょう?機械学習とはAI(人口知能)の中の研究テーマとして位置づけられ、「AI自身がデータから反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出してあらゆるシミュレーションを導き出す技術」と言えます。
数年前には「ビッグデータ分析」「データマイニング」というキーワードがIT業界で広まった時期がありますが、そこから更に技術が進み、「データの分析に機械学習を活用する」というITの潮流が確実に到来しています。機械学習の活用の幅も広く、金融(株価変動)や自動車(自動運転技術)、ECサイト(マーケティング予測)など、あらゆる業態で機械学習が活用され始めています。
機械学習のプロの方との出会い
ただ機械学習への需要は多くとも、経験を持つ方はまだまだ多くありません。そんな中、先日機械学習を10年近くやってきたという専門的知識を持つ方を、転職支援する機会がありました。その方自身も、ここ数年の機械学習に関する注目度の高まりは以前はまったく考えられなかったし、それだけ技術の革新もあったと仰っていました。海外の文献や論文などを独自で収集し、機械学習・データ分析の知見を10年間磨いてきたことで、どの企業からも高く評価されるスキルを持つまでに至ったのです。(実際、誰もが知る大手ネット系企業へと転職をされていきました。)
先日、その方と食事をする機会がありました。色々と機械学習の話を聞かせていただき、その進化に驚きつつ、個人的には脅威も感じました。曰く、「どんなテーマでも、データさえ揃ってしまったらコンピュータは学習を始める。そうなれば、あとは時間の問題なんですよ」との事。データ化が出来て、そこから統計的に導けるものさえあれば、なんでも学習してしまうというのです。なんと、機械学習恐るべし・・・。
人間にしか出来ないこと
ただ、その方が自身の転職活動を振り返った際に、私に対して掛けて頂けた言葉がありました。
「リーベルさんの転職支援は、実に人間らしいアドバイスが多かったんですよね。画一的な情報をただ伝えられたのでは、こちらとしては納得しにくい。企業の文化や成り立ち、配属部署の特徴なども踏まえてアドバイスを頂けたことがありがたかったし、それは機械では出来ない、データ化が難しい領域ですね。」というようなニュアンスで、エージェント冥利につきる、ありがたいお言葉でした。
さらに、機械学習のプロから、このようなアドバイスを頂けたことは個人的にも興味深く、「人間が機械に対抗していくための術」とも感じました。機械学習・人工知能を当然否定するつもりはありませんし、人間として機械と同じ土俵で戦うつもりもありません。ただ自分たちが機械学習を上手く取り組み、そこから“人間らしい”アドバイスを加えていくことが、どんな仕事であっても大事なポイントになると再確認しました。データ化が難しい、人間らしい視点のバリューが、今後より一層求められてくる時代だと感じています。