自己認識は甘くなるもの
人材育成や組織活性化に360度評価という手法が使われることがあります。例えば、ある項目に対し、上司が自己評価し部下が上司を評価するものです。
こんな設問があります。「上司は部下とコミュニケーションを取っているか?うまく取れているか?」この設問に上司本人(マネージャ)は5段階中4という自己評価をしたのに対し、部下からはコミュニケーションが図られていない5段階中2の評価だった、というような結果が出ることがあります。
これは、自分の認識と他の認識が全く違っているということです。これはお互いが大事と感じていること、意味があると思っていることがズレている場合に起こります。例えば上司は部下にたくさん声を掛けていることがコミュニケーションと考え、部下は上司が自分の話を聞いてくれないと感じているようなケースです。
このように自己評価というものは難しいものです。自分に都合よく自分を理解するのが人間の習性です。
現状認識・自己認識が転職活動のスタート
転職活動は、まずは企業が何を求めているのか、どのような事を評価してくれるのか、逆に評価されないものは何かを的確に知ることが最初の作業です。次に、それと照らして自分はどうなのかを評価することです。そして重要なことは、例え不条理と思えることでも受け入れて対策をすることが成功のポイントです。
自己評価と他人からの評価が大きくずれる場合もあります。例えば、自分はコミュニケーション能力が高いと思っている人が、企業の評価では「よくしゃべるが話が長い、質問に対し的確に回答できない、論理的な組み立てができない」と低く評価される場合があります。これは「しゃべれる=コミュニケーション能力が高い」と錯覚していることが原因です。これを本人が納得するまでは少し時間がかかりますが、自己責任の範囲なので素直に受け入れて改善することが重要です。
しかし、自分ではどうにもならなかった部分もあります。入社後希望でない職に配属になった。3年後希望の職を得るために転職したが経験がないからと相手にしてもらえない。新しい職に就くために高額な費用をかけて留学をした、でも評価してもらえない。
これはストレスがたまりますね。しかし、これは企業側が決めることで変更することはできません。一気に目標に行くのではなく一歩でも近づける道を選ぶか、別の道を選ぶ方法しかありません。早めに現実を理解し、対応策を立てて次に進めるのが成功のポイントです。目標の仕事は3年先に延ばし、まずはその職に近い職を選ぶのも方法です。
ビルゲイツほどの成功者でも次のような事を言っています。
「人生は公平ではない。周りで起きている大半のことは自分のコントロール下になく、苛立たしく感じたり、怒りを覚えたりすることもかなり多い。対策はただ一つ、ありのまま受け入れること」
<コンサルタント T.I>